卵巣腫瘍と診断されて…。帝王切開&腫瘍除去のダブル手術
1歳の女の子の母で、Webライターの“鈴木”です。28歳の時に妊娠しました。もともと月経前症候群(PMS)や重度の生理痛に悩まされていた私ですが、ある日、いつもの何倍も激しい体のだるさ、気持ち悪さ、眠気を感じました。「絶対に何かがおかしい! 」と思って病院に行くと、妊娠していることが判明!
しかし、医師から告げられたのはそれだけではありませんでした。なんと良性か悪性かわからない腫瘍が卵巣にあると言うのです。
妊娠の喜びもつかの間。「卵巣腫瘍」の診断
「おめでとうございます。ここに見えるのがあなたの赤ちゃんです。ただ1つ気になることが…」。そして思いがけず伝えられたのは、「卵巣腫瘍」という病名でした。
卵巣に腫瘍があることは珍しくないそうですが、私の場合は腫瘍の形がいびつであるため、その時点では、良性か悪性かの判別が難しいということでした。悪性ならば卵巣がんということになります。
卵巣がんであれば、胎児に影響が出ないうちに切る必要があるそうです。そのため急きょ、大きな病院を紹介されました。妊娠の喜びをかみしめる暇もないまま、妊婦健診と並行して卵巣腫瘍の検査を受けることになってしまったのです。
腫瘍は良性or境界悪性。手術はどうする?
卵巣腫瘍には、「良性」と「悪性」、そして「境界悪性」の3種類があるそうです。私の場合、緩やかに進行する境界悪性か良性かの区別がつきづらかったため、MRIでの検査をすすめられました。
しかし、MRIが胎児に悪影響を及ぼさないか不安でいっぱい。おなかの赤ちゃんのためにはどうすべきか、悩みました。境界悪性であった場合は早く切除しなければ、結局胎児に悪影響が出てしまう…。そう考え、MRIを受けることを決めました。
結果は、「良性だと思われるが、境界悪性の疑いがないとは言い切れない」とあいまいな回答。手術による切除をすすめられましたが、夫や両親と相談して、今は手術をせず、もしも出産時に帝王切開になった場合は腫瘍も切除してもらうことにしました。
まさかの緊急帝王切開に…!
妊娠後期には腫瘍が産道の妨げにならない場所に移動してくれたため、私は「希望通り自然分娩でいける」と安心していました。腫瘍が気がかりではあったものの、心の底にはおなかを切ることへの恐怖があったので、自然分娩以外は考えたくなかったのかもしれません。
年末の大雪の日。ついに陣痛がきて病院へ。すると「胎児の心音が弱くなっている。緊急帝王切開にふみ切るよ! 」と告げられました。あれよあれよとう間に手術台へ移動…。
麻酔はかかっていましたが、赤ちゃんを懸命に取り出そうとしている様子がリアルに伝わってきます。自分の体が手術台の上でドンッ、ドンッと何度も跳ね上がり、まるで工事されているみたいでした。
連続で手術。人生で一番つらかった時間
無事に出産し、赤ちゃんと対面したのもつかの間。続けて腫瘍除去の手術が始まりました。2つも連続して手術を受けたせいなのかどうかはわかりませんが、手術が終わると、私はそれまでの人生で感じたこともないほどの激しいだるさと気分の悪さに襲われました。
あまりにつらく苦しくて、麻酔を投与してもらうようお願いし、眠ることでなんとかしのぎました。さらに私の場合、産後の肥立ちも悪く、通常の生活ができるようになるまでに3~4ヶ月を要しました。
手術も産後もすごくつらくて本当に苦しかったですが、良かったこともあります。卵巣の腫瘍を切除したからでしょうか。産後は重度の生理痛がなくなったのです。
妊娠38週で生まれた赤ちゃんは、体重2996g、身長50.6cmのよく手が動く女の子でした。
何の前知識も覚悟もないまま臨んだ緊急帝王切開と腫瘍除去の連続手術。そのつらさと苦しさには見事に打ちのめされた私でしたが、腫瘍が良性か境界悪性かをずっと気にする必要もなくなり、重度の生理痛からも解放されて、結果として良かったのかもしれません。
何より、娘を無事に出産でき、今日もすくすく成長してくれていること、それが本当に幸せだとかみしめる毎日です。
[鈴木*プロフィール]
1歳の女の子をもつママライター。出産前までは小中学校の学校司書をしていたので、本が大好きです。子どもも本好きに育ってくれたらいいなと思い、絵本の読み聞かせを日課にしています。いずれは絵本作家を夢見ています。
※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。