南仏で初開催「スローファッションウィーク」 リサイクルや持続可能がテーマの地元密着型
ファッションを「消費」から「循環」へ
南仏マルセイユで「スローファッションウィーク」が6月7〜14日、初めて開催された。主催したのは、現地の非営利団体、バガ・コレクティブ(Baga Collective)。中古品やリサイクル、地元、持続可能性をテーマに、地元デザイナーたちやコミュニティーとともに、ローカルかつサステナブルなファッションのあり方を模索することを目的としている。
期間中は、刺繍やアップサイクルのワークショップ、リペアのセッション、アトリエ見学、トークショーなど50を超える催しが市内で行われた。地元の素材、ヴィンテージや中古品の利用など、「持続可能&丁寧なものづくり」を体現するコンテンツが人気を集めた。
また最終日には、サステナビリティや社会的責任をカリキュラムの柱に据えている、ファッション教育機関 Studio Lausiéによるファッションショーも実施された。
「スローファッション」とは、環境、製造にかかわる人の人権、動物などに配慮しながら、使用する人が「本当にいい」「本当に必要」と思ったものだけを厳選して、「長く大切に愛用する」ファッションの楽しみ方のこと。
今回開催された「スローファッションウィーク」は、世界各地で開催される有名ブランドが新作を大々的に発表するファッションイベントとは異なり、「既存の資源を活かすこと」、「使い捨てなどの廃棄を減らすこと」、「循環させる文化をつくること」を大きな狙いとしている。
大量生産・大量消費のサイクルに疑問を投げかけ、ファッションを「消費するもの」から「ともに育てるもの」へと転換する姿勢が明確に示された。
ローカルを基点に、産業変革のプラットフォームに
バガ・コレクティブでは、今後は単発のイベントにとどまらず、産業全体の変革につながるプラットフォームを育てることを目標としている。目の前のファッション産業への疑問、そして若手デザイナーと考える未来へのサステナブルな価値観の模索により、ファッションをより日常に根ざしたものとしての関わりを増やしていく。
マルセイユという港町から始まった小さな動きは、“使い捨てから循環へ” というファッションのパラダイムシフトを象徴する試みとして、さらなる広がりを見せるかもしれない。
※参考
BAGA MODE Responsable & Engagee
Slow Fashion Week 2025
France's first Slow Fashion Week champions a simple, recycled approach to fashion|Le Monde