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注目集めるアイヌ料理:「魚のチタタプ」 調理法はアニサキス対策にも?

TSURINEWS

サカナの身のタタキ(提供:PhotoAC)

漫画や映画の影響で注目を集める「アイヌ料理」。ジビエを使ったワイルドな料理のイメージが強いですが、我々にもとっつきやすそうな「魚料理」もたくさんあります。

いま注目されるアイヌの魚料理

先日より、北海道を舞台とした漫画作品やそのアニメ、映画の影響を受けて注目が高まっている「アイヌ料理」。北海道の先住民族であるアイヌは狩猟採集を生業とし、非常に濃厚な食文化を現代まで伝えてきているのですが、それを再現してみたい、あるいは食べてみたいという需要が高まっているのです。

ルイベ(提供:PhotoAC)

アイヌ料理といえば、ヒグマやエゾジカなどの哺乳類を狩りその肉を食べる「ジビエ料理」のイメージが強いようです。しかし実際は、海の近くに住んでいたアイヌたちは海の幸である魚を盛んに食べてきたため、様々な魚料理が存在します。

なかでももっとも有名なものは「ルイベ」でしょう。アイヌたちは「ルイペ」と呼んでいたこの料理を簡単に説明すると「凍った刺身」。凍らせた魚を薄くスライスして食べるこの料理は、北海道では今でも様々な魚で作られています。

なめろうのような「チタタプ」とは

さて、このルイベほどには一般的に知られていないものの、アイヌ料理に興味がある人ならほぼ全員が知っている調理法があります。それはチタタプ。

チタタプとは「我々が叩くもの」という意味で、食材を刃物で細かく切り刻み、ミンチ状にしたものです。アイヌはこれを肉から魚まで幅広い食材で作り、時には骨も内臓もまるごと叩き込みます。

アジのチタタプ(あるいはなめろう)(提供:PhotoAC)

彼らは一般的に、叩いたものをそのまま食べると言いますが、時にはそれを煮込んでスープにすることもあったそうです。ミンチにすることで組織が破壊され、旨味が溶け出しやすくなるので、非常に美味しいスープになったと思われます。

チタタプにされる魚とは

魚でチタタプを作る場合、よく使われたと言われているのが「ニシン」と「サケ」です。いずれも時期になると浜に大量に押し寄せるため、様々な料理で食べられていましたが、チタタプもそのひとつだったのでしょう。

ニシン(提供:PhotoAC)

魚をチタタプにする際は、中骨も一緒に入れ、丁寧に叩いてミンチというよりペーストに近いレベルまで潰したそうです。サケに関しては内臓も入れ、頭部の先端の軟骨部や鰭までも丁寧に叩いてまるごと食べたと言います。カルシウムやミネラル、ビタミン類を効率的に摂取できる素晴らしい料理だったでしょう。

チタタプにすると「アニサキス中毒を防げる」という利点もありそうです。アニサキスは北の魚に多い寄生虫で、ニシンやサケにも多く生息しています。しかし彼らは少しでも傷がつくと死んでしまうため、包丁で細かく叩いていくことはアニサキスの殺虫にもつながるのです。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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