大学病院の赤字が深刻……参議院選挙の一方で起きた大きなニュース
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、7月24日の放送に元・日刊スポーツ編集局長の久保勇人が出演。「参議院選挙で埋もれた大切なこと」をテーマに、選挙期間にあまり報道されなかったニュースについて解説した。
久保勇人「個人的にこのニュースは大事なんじゃないかな、皆さん気に留めておいたほうがいいんじゃないかな、と思って。きょうは3つ、紹介します。まず1つ目、このままでは病院が潰れてしまう、という発信がこの選挙期間中、あったんですね」
長野智子「はい」
久保「全国にある44の国立大学附属病院の病院長が、国立大学病院長会議という組織をつくっていて。そこが7月9日に24年度決算を公表し、過去最大の2085億円の赤字になったと報告しました。23年度は初めて国立大学病院が全体で赤字に転落した年なんですね。そのときは60億円だったんです。60億円から2085億円、一気に深刻化していると」
長野「何があって?」
久保「国立大学病院長さんの会見を聴くと、前年度に比べて収益は500億円あまり増加していると。ところが医薬品、ガーゼや注射器など医療に使われる材料費、という診療経費。それから人件費、水道光熱費など固定費、その合計が合計773億円になっていると。500億円入っているけど770億円ぐらい出て。膨大な赤字になっているんです」
長野「はあ~……!」
久保「診療報酬は国が決めた法定の価格なんです。変動しにくい。収入が追いついていない状態です。診療報酬改定は2年に1回行われていて。去年もされているんですが、上昇率は1%以下でした。ところが物価上昇率は3%以上ある。全然届かない。どれだけ酷いかというと、国立大学病院が44ある中で、全体の7割弱、29病院が赤字ですと」
長野「そんなにですか」
久保「現場は本来、もう古くなって更新しなきゃいけない医療機器の更新を、がんばって我慢している。建物も古くなって建て替えないといけないのに、お金がないから更新しないなど。そういう状態がずっと続いているようです」
長野「診療にも影響が出ますね」
久保「それから国立病院で働いているお医者さんの給与もほかの病院より安いらしいんですよ。お医者さんは一生懸命働きながら、外勤の報酬で補填などして。ローン問題や人材難も深刻化している。国立大学病院側は会見で、このまま私たち、支援がなければ大学病院は潰れてしまいます、と、強い危機感を言葉で表しています」
長野「はい」
久保「東京ではあまり実感しませんけど、地方に行けば国立大学病院は地域の医療体制の中核にあるようなところがほとんど。なくなっていくことが地域全体の医療体制に与える影響は甚大なものなんですね。このニュースは無視してはいけないな、と思いました」
このほか久保は、名古屋や横浜で発生した、教員による児童へのわいせつ事案、コメの価格高騰や国の財政難で国民が苦しむ中で、昨年の衆院選や今年の参院選で国会議員から「身を切る改革」という言葉が出なかったこと、という2件を取り上げた。