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チャールズ国王のがんを発見、キャサリン皇太子妃の手術を行った「ザ・ロンドン・クリニック」とは <現地レポート>

Techinsight

チャールズ国王とキャサリン皇太子妃が入院した「ザ・ロンドン・クリニック」の現在の様子は…

英現地時間1月16日、キャサリン皇太子妃が腹部外科手術を受け、10日後の26日にはチャールズ国王がキャサリン皇太子妃と同じ病院に入院し、前立腺肥大症の治療を受けた。続く2月5日には、チャールズ国王が「がん」との診断を受けたことが発表された。キャサリン皇太子妃は一体何の病気なのか? 「がんではない」とのみ伝えられており、病名と現在の状況に関して、英王室は固く口を閉ざしたままだ。そんななか、チャールズ国王とキャサリン皇太子妃が入院、手術、治療を受け、さらに国王のがんを発見した病院「ザ・ロンドン・クリニック」に注目が集まっている。英ロンドンの名医街ハーレーストリートの医師たちによって設立された、英国内で最も設備の整った最大規模のプライベート(私立)病院「ザ・ロンドン・クリニック」。ワールドクラスの医師たちが診療を行い、過去にはエディンバラ公やマーガレット王女、エリザベス・テイラーやジョン・F・ケネディなど世界の名だたる著名人が診察に訪れた。およそ日本では見かけることはない「貴族が訪れるクリニックの街」「英国の格差社会の象徴」とも言われるこのハーレーストリートと、「ザ・ロンドン・クリニック」を現地取材した。

ロンドンの高級住宅街メリルボーンにあるハーレーストリート(Harley Street)とその周辺は、19世紀からトップクラスの医師が集まる名医街として知られている。

この界隈では専門医やクリニック、病院などが最先端の技術と専門知識、ケアをプライベート医療として提供している。

英国のNHS(国民保健サービス)による診療や治療はすべて無料だが、プライベート医療は自費負担だ。そのためハーレーストリートにあるトップクラスのプライベート医療機関では、古くから上流階級や政治家、セレブなどの富裕層が利用することで知られている。

キャサリン皇太子妃とチャールズ国王が入院した「ザ・ロンドン・クリニック」は、ハーレーストリートの医師たちの発案により設立されたひときわ大規模な病院だ。

医師たちは当時の最高水準の医療を駆使した新たな医療機関の設立を計画し、1932年にヨーク公アルバート(のちのジョージ6世)とエリザベス妃(のちのエリザベス皇太后)によって正式にオープンした。

開院以来、国際的に著名な各専門分野のコンサルタントによる質の高い医療を提供しており、英国内で最も設備の整った最大規模のプライベート病院である。

過去にはエリザベス女王の妹・マーガレット王女やエリザベス女王の夫エディンバラ公フィリップ王配のほか、ハリウッド女優エリザベス・テイラーやジョン・F・ケネディ氏が同病院で診察を受けている。

1989年にはチャールズ皇太子(当時)が理学療法病棟を、1991年にはマーガレット王女がMRI病棟、2010年にはエリザベス女王ががんセンターを正式にオープンした。現在は、カミラ王妃がパトロンを務めている。英王室と「ザ・ロンドン・クリニック」の結びつきは非常に太く強い。

「ザ・ロンドン・クリニック」の主要病棟は、ハーレーストリートの1本隣にあるデボンシャープレイス(Devonshire Place)の20番地に位置する、立派な門構えの建物だ。病院前の通りは高級住宅が立ち並び、手前の駐車スペースには高級車がずらりと並んでいる。

取材当日はチャールズ国王ががんと診断されたことが発表された翌日(現地時間2月6日)だったが、周囲には報道陣やカメラマンの姿はまったく見られず、国王と皇太子妃が入院した時のような警察警備の姿もなく、ハーレーストリートは高貴な静けさを取り戻していた。

国王が前立腺肥大症の治療を終えて退院した時、カミラ王妃に付き添われて出て来たのが、この主要病棟の正面玄関ドアだ。

ドアの上には「THE CLINIC」との看板が掲げられ、その上には洒落たバルコニーがある、貴族の館、マナーハウスのような格式ある佇まいだ。

木枠にガラス張りのドアを開けて中へ入ると、すぐ真正面にある受付で男女2人のスタッフが笑顔で出迎えた。「国王と皇太子妃が入院されていたのは、こちらの病棟ですか?」と尋ねると、笑顔で「間違いないです」と答えてくれた。

主要病棟である病院内での写真撮影は禁止だが、病室には専用のバスルームや電子ベッド、貸金庫、テレビ、ラジオなどが完備されている。入院患者には、コーンウォール産の鮮魚やスミスフィールド・マーケットで仕入れた肉類などを材料に、専用シェフが調理した食事が提供される。

このほかにも、旅行や宿泊、ツアー、劇場ショー、レストランの予約などを手伝う「コンシェルジュ・サービス」など、5つ星ホテルのようなサービスが利用できる。

そして通りを挟んで向かいに建つのが、新たに設立されたがん専門治療センターだ。こちらはモダンな建物で、壁にはエリザベス女王による開院記念と、がんセンターの別名“デボンシャー公爵病棟(The Duchess of Devonshire Wing)”を記した銘板が設置されている。

がんセンターは8階建ての施設で、最先端の放射線治療室や化学療法室、ヨーロッパ有数の幹細胞採取室、きめ細かな個別ケアを提供する個室47部屋を完備している。

センター内には患者と家族が利用できるカフェスペースがあり、売店や座り心地の良いアームチェアを備えたテーブル席が用意されている。窓際には英連邦国の国旗が飾られ、誰もが気軽に弾いてリラックスできるよう、グランドピアノが置かれている。

「ザ・ロンドン・クリニック」はハーレーストリート一帯に7軒の病棟を所有し、すべてを合わせると10の手術室と234床の病床、診察室、最新の3T、MRIスキャナーなどを含む幅広い設備を備えている。

年間12万人の患者を治療しており、あらゆる分野を専門とする数百人のワールドクラスの医療コンサルタントに相談することができる。

また同病院はチャリティ団体としても運営しており、寄付により医療の研究や教育、技術革新への貢献をしている。

「ザ・ロンドン・クリニック」でチャールズ国王の前立腺肥大症の手術を担当したのは、王室医務室の上級外科医であり、前立腺肥大症治療を専門とする泌尿器科の外科医ラナン・ダスグプタ医師(Ranan Dasgupta)だった。そして国王の「がん」も、この前立腺肥大の治療中に「別の懸念」として同病院で発見され、検査の結果「がん」の一種と判明した。

国王は英時間5日に最初のがん治療を受けたが、治療の場所や方法などについては公表していない。翌6日には米国から急遽したヘンリー王子と短い再会を果たし、その後カミラ王妃とともに英ノーフォーク州にあるサンドリンガムの邸宅に移動した。

(TechinsightJapan編集部 取材・文:寺前郁美)

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