【福岡カフェ巡り】興味が広がるきっかけに出会う大人のくつろぎの場(福岡市・西新)
ロースタリーカフェで自家焙煎のコーヒーを味わうのはカフェ巡りの楽しみの一つですが、豆をセレクトするカフェで知らなかったロースタリーに出会うことにもまた違う楽しみがあります。今回訪れた「bound(バウンド)」も、そんな体験の場になったカフェでした。
人気の居酒屋「食堂うめぼし」などを手がける「アトモスダイニング」が2022年に渡辺通にオープンさせた「bound」は、2024年3月に西新へ移転。中西商店街から横道に入った、飲食店やケーキショップ、ベーカリーなどが建ち並ぶ活気あふれる路地に新しい店を構えています。渡辺通の店舗は2階にありましたが、ここは建物の1階にあるので見つけやすく入りやすいですね。日中はカフェ、夜はバーとして営業しています。
アート好きのオーナーによる「昼から夜まで、アートに囲まれながら大人がゆっくりとくつろげるカフェを」というコンセプトは移転後も健在。店内にはアートキュレーターが注目する作品が並び、現在は、アパレルブランドとのコラボレーションなども手がける村上貴信さんの油彩作品が3月末頃まで展示されています。
店長を務める堺莉子さんは、パティシエを志して働いていた頃にスペシャルティコーヒーのおいしさに目覚め、コーヒー専門店で知識や経験を積んで現職へ。店内で提供されるベイクスイーツの企画や製造も手がけています。
こちらで使用するコーヒー豆は東京・蔵前にある「LEAVES COFFEE ROASTERS」のもの。焙煎士・石井康雄さんによる、素材の味を引き出す焙煎が評判のスペシャルティコーヒー専門店です。「福岡にも優れたロースタリーはたくさんありますが、県外のおいしいコーヒーを紹介することもカフェのひとつの楽しみ方だと思い、『LEAVES COFFEE ROASTERS』のコーヒーが大好きなスタッフが交渉しました」と堺さん。私も初めて「bound」を訪れた時に淹れてもらったコーヒーのおいしさに驚き、「LEAVES COFFEE ROASTERS」に興味をもちました。確かにこういう出会いがあるのもカフェの楽しみの一つですね。継続的に「LEAVES COFFEE ROASTERS」のコーヒー豆を使用しているカフェは福岡県内ではめずらしいそうです。
コーヒードリンクはハンドドリップコーヒーや「イーグルワン」のマシンで抽出するエスプレッソ系など。そのほかに自家製レモンスカッシュやビールなどのアルコール、フルーツジュースなどが用意されています。また、堺さんが作る、コーヒーにもお酒にも合うベイクスイーツも人気です。
「ハンドドリップコーヒー」(500円~)は、3種類前後から豆を選ぶことができ、選んだものによって価格が変わります。この日はエチオピアのハマショウという地域で収穫された豆を選びました。「LEAVES COFFEE ROASTERS」の石井さんからレクチャーを受けたという方法でドリップしてもらったコーヒーは「浅煎りらしいフルーティーさがありながら、コーヒーらしい」という堺さんの表現がまさにぴったりの味わい。ここで浅煎りコーヒーが好きになった人も多いというエピソードも納得のおいしさです。信楽焼の大原拓也さんのカップも素敵ですね。
自家製レモンシロップで作る「スパイシーレモンスカッシュ」(550円)はスパイスの複雑な香りを楽しめる一杯。お酒の代わりにもなりそうな大人のレモンスカッシュです。コーヒーをプラスした「コーヒーレモンスカッシュ」(600円)も気になります。
昼のカフェタイムのスイーツは、パウンドケーキなど焼き込み系が中心です。キャラメリゼしたココナッツの層やスポンジ生地にココナッツをたっぷり使った「ドリームココケーキ」(600円 ※写真左)は、人気が高かったため季節限定から定番商品になった一品。「いちじくのラム酒漬けパウンド」(500円)は、てんさい糖などを使った深みのある味わいの生地に自家製のいちじくのラム酒漬けが入り、プチプチとした食感も楽しい。添えられた山椒を付けると香りがプラスされ、さらにおいしさが広がります。
18:00からのバータイムには、薬院のアシェットデセール専門店「Ni to Ni」の三小田翔さん監修のパフェも登場。今の時期は「冬茜のパフェ~あまおういちご、ブランマンジェ~」(1,800円)をお酒やコーヒーと共に楽しめます。
コーヒーやデザート、そしてアートもこの場所を起点に興味や関心が広がりそうな仕掛けが楽しい「bound」。居心地のよさも間違いないので、西新散策の途中に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
bound
福岡市早良区西新5-6-2
092-407-7622