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「北九州は原爆を我が事として捉えていくことができる場所」北九州市平和のまちミュージアム館長・重信幸彦さん

北九州ノコト

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。今回のゲストは、北九州市平和のまちミュージアムの重信幸彦館長です。

平和の重要性を改めて考えるきっかけを提供する場として開館

甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

横山:同じく、西日本新聞社 横山智徳です。

甲木:横山さん、今年から西日本新聞の連載で始まった、“うちにも戦争があった”読んでますか?

横山:読んでます。

甲木:この前、社会部の坂本記者が書いていた風船爆弾ですが、これは北九州の勝山公園の場所のことだったので、切り抜いたんですけど。

横山:勝山公園ってそういう場所だったんですね。

甲木:今日はそのことについて、とても詳しい方をゲストにお招きしております。さっそくお呼びしたいと思います。本日のゲストは小倉北区の勝山公園にあります、北九州市平和のまちミュージアム館長の重信幸彦さんです。よろしくお願いします。

横山:よろしくお願いします。

重信:よろしくお願いします。

甲木:勝山公園には図書館とか文学館などがあって、周りは子どもが遊べる遊具のある公園があり、すごくのどかな所なんです。実はそこに新しく「平和のまちミュージアム」というのができました。リスナーの中には、まだご存じない方もいらっしゃると思いますが、まず館長からご紹介をして頂けますでしょうか?

重信:はい。まだ皆様に充分知られていないということもあり、こういう機会を与えて頂きありがとうございます。一昨年の4月19日に、勝山公園の中央図書館と清張記念館のちょうど間の部分に開館いたしました。今、かつてここで戦争があったという事を知らない世代がどんどん増えています。そういう中で平和のまちミュージアムは、戦争の記憶と記録を通して、過去の出来事をきっちりと継承して行くことを目指します。特に資料を集め研究し、皆さんに展示として提供いたします。それを通して、戦争というものの悲惨さ、また、平和の重要性というものを改めて考えて頂くきっかけを提供する場として開館をした次第です。

甲木:平和関係のミュージアムと言うと、やはり広島とか長崎が一番に頭に思い浮かびますけども、他にも全国には大和ミュージアムなど平和関係のミュージアムがある中で、「北九州市平和のまちミュージアム」が他のミュージアムと違うところはどんなところでしょうか?

重信:広島は戦争というものを記憶していく、非常に重要な場になっています。まず、広島に投下された原子爆弾の第1投下目標地は広島ですが、第2投下目標地は実は小倉でした。もし広島が天候不良で視界不良であったならば、間違いなくエノラ・ゲイは原爆を搭載して小倉に向かったはずです。さらに北九州にお住まいの皆さんは、ご承知と思いますが、長崎に投下された原爆の第1投下目標地が小倉でした。

北九州というのはそういう意味で、原爆というものをかろうじて免れた街だと言うことができるだろうと思います。しばしば、年輩から小学生までもし北九州に原爆が落ちていたら、今私はいません」とおっしゃる方がいます。北九州という街はそうやって、原爆というものを自分たちにとって「有り得た現実」として切実に受け止めて、語り伝えてきている街だと思うんです。そういう戦後の日本のアイデンティティの一角をしめてきたような原爆という問題を、この北九州という街は切実に我が事として捉えていくことができる場所だということです。

そういう意味では、他の街に、例えば空襲の展示をしている資料館はあるんですけれども、北九州でこういうミュージアムができていることは、やはりちょっと違う意味と役割があるかなと思います。

日本展示学会賞を受賞

甲木:平和のまちミュージアムは映像とか音響もすごく工夫をされていまして“日本展示学会賞”という賞を受賞されていますよね。

重信:ありがたいことに、昨年の6月に受賞させていただきました。おそらく空襲の被害だけを問うているのではなく、私たち自身が前向きに戦争に関わっていくような仕組みが、戦争の中で存在していたということも含めて語っているというところを評価していただいたと思います。そして、このミュージアムの一つの目玉が360度シアターというもので、8月8日八幡の大空襲の日と翌日の小倉上空に原爆搭載機が飛んできた日の2日間を、証言に基づいたアニメーションで再現しています。

甲木:私も見ようと思って、ルームに入ったときはアニメだからという感覚で入ったんですけど、すごく臨場感があるんです。やはり360度ということもあり、音響もあり、ストーリーもちゃんとあるので、本当に誰が見ても感じるものがある、すごく良くできたシアターだなと思いました。もう一つ私は“触れる言葉”というコーナーが大好きです。

重信:私もうちのミュージアムの展示の中で何が好きと聞かれると、気に入っているのはあの展示だとこたえます。スクリーンに赤い文字が浮かぶのですが、そこに手をかざして頂くとその言葉に関連する、いわゆる証言の言葉が浮かび上がるようになっています。だいたい10歳前後で空襲を経験した方の証言なんです。ほんの数行なんですが、数行ということで、いっぱい情報の余白があるんです。要するにこちらが想像力をたくましくして、それを読まないと見えてこない部分があります。それゆえにいろいろ立ち止まって考えさせられることになる展示ですね。

コンパクトなミュージアムなのに、濃密な展示

甲木:今日、こうやってミュージアムについていろいろご紹介頂きましたので、番組をお聴きの方にはぜひ勝山公園にある、平和のまちミュージアムに行っていただきたいと思います。

重信:甲木さんには、開館前の懇話会でお世話になっていろいろ貴重なご意見を賜って、ありがとうございます。

甲木:最初の計画が持ち上がったときに、すごく面積が狭いので何をどれだけ展示できるんだろうというところから始まって、どんな展示だったらいいのかとか、いろんな意見が出されました。しかし、開館してみたらあのコンパクトな中に、ものすごく濃密に展示されています。長崎から来た友人とか後輩の記者は2時間たっぷり見ていました。

重信:ありがとうございます。

甲木:あの小さな建物の中で2時間じっくり過ごせるぐらいの展示なので、皆さまお時間に余裕のある時にぜひ起こしいただきたいですね。

重信:よろしくお願い致します。お待ち申し上げております。

甲木:残念ながら本日はお時間となってしまいました。来週は、なぜ重信さんが館長になられたのか、それから重信さんの本職は学者さんでいらっしゃいますが、どういう研究をしてこられた方なのか、ということをお聞きしたいと思います。本日は北九州市小倉北区勝山公園にあります。北九州市平和のまちミュージアム館長の重信幸彦さんをお迎えしてお話を伺いました。重信さん、ありがとうございました。

横山:ありがとうございました。

重信:ありがとうございました。

〇ゲスト:重信幸彦さん (北九州市平和のまちミュージアム”館長)
〇出演:甲木正子、横山智徳(西日本新聞社北九州本社)

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