猫は『鏡に映る自分』を認識できる?猫が鏡を見たときに起きる3つのリアクション
1.アンタ、誰?
結論から言うと、猫は、鏡に映った姿を自分自身だとは認識できません。ただ、鏡に何かしらの像が映っていることだけは理解できます。しかも、猫の視力は0.1~0.2ぐらいなので、ぼんやりとした程度です。
鏡に映った姿を自分自身であると判断する能力は、「鏡像認知能力」と呼ばれ、ゾウやチンパンジー、イルカなど、集団性で、社会性が発達した動物に限られています。私たち人間が当たり前のように、鏡を見て自分だと認識できるのも、「鏡像認知能力」のおかげです。
鏡を見た猫のなかには、「おや、アンタ、誰だい?」と興味を持つ子もいます。前脚で鏡の表面をチョイチョイ触ったり、顔がくっつくくらいに匂いをクンクン嗅いだり。いずれも好奇心旺盛な猫の一般的な行動です。鏡の存在が不思議でしょうがないのでしょう。
2.やんのかコラ!
2つ目の反応は、鏡のなかの自分に威勢よく突っかかることです。たとえおぼろげなイメージでも、見知らぬ者は縄張りの侵入者とみなす―セキュリティ意識が強い猫にとっては、当たり前の反応かもしれません。
鏡のなかの敵に気づくと、たちまちお怒りモードに切り替わり、やんのかステップから、猫パンチを繰り出したり、「シャーッ!」と威嚇したり、忙しそうにふるまいます。その姿は、勝てるはずのないボスキャラと戦ういじましい勇者のようです。
鏡に反応しがちなのは、多くの場合、子猫で、幼さゆえに不思議な現象を見過ごせないのでしょう。いったん慣れてしまうと、鏡はただのインテリアと化し、やがて見向きもされません。
鏡との奇妙な格闘は、いわば、子猫時代の貴重な思い出です。飼い主さんは、限られたひとときを存分に堪能してみてください。
余談ですが、日本列島で越冬する渡り鳥のジョウビタキは、車のサイドミラーを盛んに攻撃することで知られています。
3.スルー…
他の猫ちゃんと同じように、鏡に激しく反応する愛猫の姿をナマで見たいし、どうせだったら動画にも記録したい、と飼い主さんは考えるところでしょう。
しかし、飼い主さんの期待とは裏腹に、鏡に対して何ら反応しない子も一定数います。鏡の前をクールに素通りするだけで、振り返って、自慢のもちもちボディにうっとりすることもありません。
興味を持ったのは最初だけで、新鮮味がなくなったら、あっさりスルーする、というパターンもあります。おもちゃ遊びと同じ猫特有の論理です。その点は、ことあるごとに鏡で「前髪チェック」せずにはいられない飼い主さんとは大きく違います。
鏡を手放した先の世界はいったいどんなふうに見えるのか、猫に尋ねてみたいものです。
まとめ
今回は、鏡に対する猫の反応を3つのタイプに分けて紹介しました。ひとつの傾向としては、初対面時はいろいろと反応しても、慣れてくるにつれて、何とも思わなくなります。おもちゃでもなければ、食べ物でもない鏡は、猫にとっては無用の産物です。
地下鉄の窓ガラスに映った、やけに疲れた自分の顔にギョッとしないように、飼い主さんは、日頃から愛猫との時間をこまめにつくって、ストレス解消に努めてみてください。