実際に行って明らかに!「鳥人間コンテスト」初心者が知りたい疑問の数々を解き明かしてきました!
1977年の第1回大会から始まり、今年で第46回を迎えた「鳥人間コンテスト」。テレビで一度は見たことがあっても「どんな競技をしているの?」「実際に観に行けるの?」といった疑問もよく耳にします。
そこで今回annaでは、2024年7月27日(土)・28日(日)に開催された「Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2024」の会場に赴き、鳥人間初心者が知りたい疑問の数々を解き明かしてきました!
( Index )
そもそも鳥人間ってなんなの?鳥人間の競技の種類や魅力って?生観戦でしか伝わらない感動も!
そもそも鳥人間ってなんなの?
「鳥人間コンテスト」は「空を飛びたい」という人類の夢を叶えるべく、バードマンたちが自ら作り上げた飛行機を操縦し、その飛行距離などを競い合う大会で、7月最終の土・日曜の2日間、滋賀県彦根市の琵琶湖・松原湖岸で開催されます。
長く、遠く飛ぶチームが注目されがちですが、たとえ飛距離が短くても“大きな意味ある飛行”を見せてくれるチーム、空を飛ぶための斬新なアイデア、ユニークなデザイン、カラーリング、独創性、チャレンジ精神、そしてSDGsへの取り組みなど、チームそれぞれの発想も大きな見どころです。
出場するためには、安全に飛行するための厳しい審査があります。まず、必ず「出場希望者説明会」に参加し、その後「出場申込書」「機体三面図」の2つの書類を提出します。春ごろに出場の合否通知が届きますが、図面関係で主催者側が危険だと判断した箇所や説明が不十分であると思われた場合は、設計の見直しや、追加の説明書類を要求される場合があります。
さらに大会前日には、実際の機体が提出された書類や図面どおりに製作されているか、またその構造に安全性が認められるかを、大会審査員がチェックし、合否を判定する「機体安全検査」があります。「設計図」「機体の安全性」「パイロットの健康」この3枚の合格ステッカーが貼られた機体のみが大会に参加できるのですが、せっかく琵琶湖まで来てもこの検査で合格が出ずに、参加できないチームもあります。
鳥人間の競技の種類や魅力って?
開催期間は2日間で、まず1日目に「人力プロペラ機部門」が行われます。人力で回すプロペラを動力として飛行距離を競い、己の肉体と精神の限界に挑む過酷なこの競技。南ルートと北ルートの往復を目指し、両ルートを往復した場合の記録はなんと70km!
2023年には「BIRDMAN HOUSE伊賀」の渡邊悠太パイロットが70kmのわずか18m手前で着水。完全制覇には及びませんでしたが、死力を尽くしたフライトが感動を呼びました。
2日目に行われるのは、一切動力を使わずグライダーのように飛行機を飛ばして距離を競う「滑空機部門」。琵琶湖の風とプラットホームから機体を押す力、パイロットの操縦技術だけが動力で、プラットホームの先端から着水した機体の最後尾までの飛行距離を競います。
大学生の出場が多い人力プロペラ機部門に比べ、この部門は経験豊かな社会人チームと怖いもの知らずの学生チームが入り乱れ、近年は群雄割拠の時代に突入。どのチームが優勝するか予想できないのも魅力の一つとなっています。
会場は一般にも開放されていて、約300席の観覧エリアからバードマンたちの飛行を楽しむことができます。すぐに着水してしまう機体もあり、観覧席でも「あーー……」という大きなため息がもれます。逆に飛び続ける機体が現れると、興奮は想像以上! 見ず知らずのチームでも「いけー!とべー!」と思わず大声で応援してしまうほどです。また、人力プロペラ機部門も滑空機部門も飛行する機体がとても美しく、生で観ると本当に感動しますよ!
生観戦でしか伝わらない感動も!
会場に入ってまず目に入るのは、湖上に作られた高さ約10mのプラットホーム。このプラットホームは、作り上げるのに約2ヶ月、解体するのに約2週間かかるのだとか。
放送ではなかなか映りませんが、参加する各チームは、機体を壊さないようゆっくりとプラットホームへ運びます。風が強く、なかなか離陸できない時は機体の渋滞が発生し、風で浮き上がる機体をチームスタッフが必死に押さえる姿も。並々ならぬ思いでこの大会に臨んでいることが分かります。
プラットホームから飛行機が飛び立つと、たくさんのボートが機体を追跡します。機体と併走しながら迫力の映像を収めるカメラマンや、パイロットの笑顔や悔し涙を伝える番組には欠かせないボートリポーターが、フライトごとに音声スタッフと共にボートで駆け回ります。
ボートに乗るのはカメラやリポーターだけではありません。救助用のレスキューボートも各所に用意されていて、船上にはダイバーもスタンバイ。湖面に着水したパイロットをいち早く救い出します。また、湖を汚さないのは当たり前ということで、ジェットスキーやボートは機体の残骸の回収にも活躍しています。
岸に帰ってきた機体は無惨な姿になっていることも多く、チームメンバーたちによっていとおしそうに迎えられます。パイロットが帰ってくると、笑ったり、抱き合ったり、時には悔し涙をみんなで流したりと、そういった輝かしい青春の1ページを間近で見ることができるのも、会場観覧の醍醐味なんです。
鳥人間のルールや競技の種類、そして46回も続いている魅力が伝わったでしょうか? 災害級の暑さや琵琶湖の複雑な風、そんな逆境に立ち向かうバードマンたちの姿には本当に心を奪われます。私は来年も必ず現地で観覧することを誓いました。
写真/ⓒytv、anna 取材・文/日高ケータ