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サノライブ×青色1号・榎本×ジャンク・小森 お笑いと音楽のハイブリッドイベント『サノフェス2025”新派”』の魅力を語り合う

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写真左から:青色1号・榎本、サノライブ、ジャンク・小森 撮影=阿刀“DA”大志

サノライブ主催によるお笑いと音楽のハイブリッドイベント『サノフェス2025”新派”』が、2025年1月8日(水)に川崎クラブチッタで開催される。3回目の開催となる今回は、かが屋、ラパルフェ、金の国、青木マッチョらテレビでもおなじみの芸人をはじめ、ネコニスズ、人間横丁、家族チャーハン、伝書鳩、群青団地などこれからくるだろう若手芸人たち、そして音楽界からは時速36kmが出演し、大喜利やダンス、音楽ライブなどを構成したお笑い中心のここにしかないステージを繰り広げる。「“みんなで売れよう”みたいな気持ちがある」と語るサノライブ、そして『サノフェス』のレギュラーメンバーでありサノライブとは公私にわたり親交の深い青色1号の榎本、ジャンクの小森とともに『サノフェス』の魅力を語り合ってもらった。

――御三方はもう長い付き合いだそうですね。

小森:サノとは長いっすね。

サノライブ:ここ(サノライブと小森)は同期なんです。榎本さんは先輩なんですけど、同じ事務所でほぼ僕の芸歴分くらい一緒で。

榎本:前の事務所の頃からずっと。

サノライブ:はい。色々あって榎本さんたちがいる事務所に入りたいということで途中から一緒になりました。

――どうやって仲よくなったんですか。

小森:昔、下北であるライブ団体のライブがあって、そこに僕とサノが出てたんですよ。

サノライブ:僕が脱サラして芸人になった頃な。

小森:1位と2位が上に上がれるシステムのライブだったんですけど、毎回自分たちのコンビとウキョウ(サノライブが組んでいたコンビ)が1位2位を争ってた時期があって。

サノライブ:面識はなかったんですけど。

小森:だから毎回、「ウキョウって奴ら、ちょこちょこ小賢しいな……」って思ってたんですけど(笑)、すぐにウキョウは面白いって話題になって、実際に話してみたら同期っていうことがわかって、そこからはもう友達ですね。

サノライブ:そこからもう、ライブはずっと一緒です。

――榎本さんとはどうやって繋がっていくんですか。

サノライブ:以前、僕が所属してたK-PROという事務所の『ブレナイ』という若手ライブが週に何回かあって、そことかで知り合ったんですよ。

榎本:そこからちょくちょくライブで一緒になることが増えて。

サノライブ:当時、他の事務所の先輩方と出ることが多くて。そのなかで一番多かったのが青色1号さんで。なので、僕が芸人を始めて最初に良くしてくれた先輩って感じです。それで後々、一緒の事務所・太田プロに入りました。

榎本:当時、他は他で仲いい人と既にくっついてたから、もう俺らはその輪には入れなくて。で、似たような境遇だったウキョウと仲よくなったんですよね。

サノライブ:学生お笑いの人たちは学生の友達がいっぱいいたりするんですけど、俺たちは違ったので、そういうこともあって仲よくなれたのかもしれないですね。

――お二人は最初、サノさんに対してどういう印象を持っていましたか。

榎本:マジでデカい奴がいるなって(笑)。喋ってみたら面白くて、気づいたらことあるごとにお茶行ったりしてましたね。

サノライブ:相方が飛ぶ前の日も、僕と相方と榎本さんでスタバに行ってましたから(その後、ウキョウは解散)。

榎本:そう。メシ行ったあとにスタバに行って、二人に「じゃんけんで勝ったほうにおごってやるよ」って言ったら、サノが負けて相方におごったんですけど、おごったのに飛んだんですよ(笑)。

――あはは!

小森:でも、榎本さんは先輩なのにどっちか一人にしかおごらんかったんですね(笑)。

榎本:本当にお金がなくて、「マジごめん」って(笑)。

小森:で、その後、サノはピンになったけど止まることなく頑張って。ライブの数も増えたし、偉いなと思いましたね。

サノライブ:コンビのときはそんなにライブはやってなかったから、たしかにピンになってからのほうが増えたかもね。

榎本:解散したあとってちょっと沈んじゃうものだけど、サノライブは逆に「やってやる!」みたいな感じだったので、それはすごいと思いましたね。

サノライブ


出囃子にも芸風が出るというか、「この人はこれ選ぶんや」っていうのも面白いし、カッコいい。そういう部分も含めてお客さんにシェアしたい気持ちはあります。

――最初にサノさんが『サノフェス』を始めることを知ったとき、どう思ったか覚えてますか。

サノライブ:最初は2019年12月で、コロナ禍のちょい前。

小森:そのときはもうピンだった?

サノライブ:いや、そのときはまだ。

榎本:1日を通してライブをやるという企画は当時、デカい団体がやってるのしか聞いたことがなくて、それを個人でやるっていうのがすげえなって。

小森:芸人は「フェス」って言葉は使わないじゃないですか。そういう、芸人の中にない言葉を持ってきたことでお客さんはワクワクしてましたし、サノライブのライブ企画力はすごいなと思いましたね。あと、『サノフェス』といえばリストバンドね。

榎本:そう、それを俺はずっとミサンガみたいにカバンに着けてて、5年くらいしたらボロボロになって切れちゃって。

小森:切れても何もいいことは起こらんけど(笑)。

――あはは!

小森:榎本さんに「これ、なんすか?」って聞いたら、「サノフェスのやつ」って言われて、こんなのあるんだって思ったのを覚えてます。

サノライブ:着けてるのを見て恥ずかしかったですもん。

榎本:なんでだよ!(笑) 俺はやっぱり好きだったから全部着けようと思って。

小森:お客さんにもいたもんね。思い出としてカバンに何か残るものを着けるっていう。

サノライブ:音楽的なノリですけどね。

小森:サノが芸人になる前に働いてたのが音楽系の会社だったからね。

サノライブ:そう、だからそういうことをやるのが自然というか。

――榎本さんは『サノフェス』のどんなところに惹かれたんですか。

榎本:もちろん、出演者として楽しいっていうのもありますけど、サノは企画力がありますし、やること一つひとつがしっかりしてるから、お客さんも演者もすごく満足するライブになるんですよ。なので、終わったあとに毎回「楽しかったな」って思えていたんですよね。それもあってリストバンドは着けてました。

サノライブ:榎本さんは僕が思ってる以上に『サノフェス』を楽しんでくれるんですよ。僕は芸人ですけど主催をやるにあたってはお客さんにもいっぱい笑って帰ってほしいんですけど、演者が「楽しかった」って言ってくれるのもうれしくて、また出てほしいと思うんですよね。

小森:わかるわかる。

榎本:前はネタライブが終わったあと、毎回みんなで歌ったよね?

サノライブ:昔はそうでした。サンボマスター歌った。

榎本:歌詞カード配って、みんなで「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を歌って盛り上がって。俺なんて服とかメガネとか飛ばされて、マジでフェスみたいに歌ってたよね。

サノライブ:今思うと恥ずかしい(笑)。意味わからない。あのときは令和ロマンとかラランドとかと一緒に歌ってた。コロナ前やったんで、ライブハウスにむちゃくちゃ人を入れてたんですよ。しもきたドーンっていう60~70人入ったらそこそこのキャパの劇場に100人も入って。

榎本:演者の人たちも歌詞カードもらったときは、「うわ、何これ。なんでこんなん覚えなきゃいけないんだよ」とか言ってんだけど、いざやったらみんな「楽しい~!」みたいな(笑)。

サノライブ:ネタがもちろん面白くてメインなんですけど、最後にそこで一つになるっていう。「歌、いいな」って。やっぱり、音楽が好きっていうのもベースにあるから。

――お笑いと音楽をここまでしっかりミックスしているイベントはかなり特殊ですよね。出演する芸人はどんな基準で選んでいるんですか。

サノライブ:ネタが面白い人っていうだけのつもりですけど、普通のライブだと主催者が出囃子をばーっと決めて流すみたいな感じだし、たとえば10組出るイベントで全部出囃子が同じっていうこともあるんですよね。でも、僕は毎回、全員に出囃子を何にするか聞いて用意するんですよ。そうすると、こだわりのある人もけっこう多くて。だから、音楽好きな人を選んでるってわけではないんですけど、結果的にそこも含めて楽しんでくれるお客さんとか演者が多いっていうのはありますね。

小森:『サノフェス』の香盤は事前に発表されないんですけど、何回か見に来てくれてるお客さんは俺らのことも見てくれてるので、出囃子が流れただけで「あ、次はジャンクだ」ってわかってくれるんですよ。

――出囃子で歓声が上がるっていうのは音楽フェスと似たところがありますね。

サノライブ:あ、マジそうっすね。その感覚でやってるかもしれないです。

小森:しかも、毎回『サノフェス』が終わったあとにプレイリストを公開するんですよ。だから、ライブが終わったあと、お客さんは帰り道にその日の出囃子を聴きながら、「今日のライブ楽しかったな」って余韻に浸れるんですよね。

サノライブ:出囃子にも芸風が出るというか、「この人はこれ選ぶんや」っていうのも面白いですし、カッコいいし、そういう部分も含めてお客さんにシェアしたいっていう気持ちはありますね。

榎本:それをきっかけに聴く音楽の幅が広がったりするんでいいなと。

青色1号・榎本


ちょっとやらしい言葉になっちゃうけど、『サノフェス』はみんなが得するライブだなって。誰も損しない。損するのはサノだけっすね(笑)。

――そして、2022年からは『サノフェス“新派”』となりました。

小森:すごかった。マジですごかったね。

榎本:マジですごかった。

小森:それまでも出囃子で曲を流したり、カラオケをやったりしてたんですけど、遂に実際のアーティストの方を呼ぶことになって「どうなるんだろう……」って。でも、音楽の畑の人たちもお笑いを見て笑ってくれますし、お笑いの人たちも音楽のライブを観て「すごいな!」ってファンになったりして、そうやってお笑いと音楽がつながるってなかなかないことだと思うんですよね。去年は、エンディングでサノがめちゃくちゃ泣いて。めっちゃ大変だったんでしょうね。それで、サノが泣いてるのを見たお客さんから「がんばれ!」って声が飛んで(笑)。

小森:あれはお笑いではなかったよね(笑)。

榎本:そう、あれはお笑いライブではなかった。音楽のライブでは多分あることなんだろうけど、お笑いで初めてお客さんから「がんばれ、サノライブー!」って(笑)。俺はそれが面白すぎて、めっちゃ笑っちゃって。今でも覚えてるなあ。

サノライブ:俺が泣いてみんなが笑ってるっていうのは、ある意味フェスの完成形ですね。

榎本:あと、人間横丁っていう4年目の芸人が人力舎にいるんですけど、出囃子にネクライトーキーさんの曲を使ってるんですよ。で、去年は自分たちのネタをやって、そのあとにネクライトーキーさんのライブになったとき、1曲目が人間横丁の出囃子の曲だったんですよ。それを聴いて「うわ~!」って。人間横丁の(内田)べえたってヤツと一緒に観てたんですけど、そいつが喜んで泣きそうになってて。あれは熱かったですね。

――各出演者の出囃子をネクライトーキーとも共有していたんですか?

サノライブ:いや、僕は言ってなかったんですけど、メンバーさんがどこかからそのことを聞いたらしくて既に知っててくれたんですよ。出囃子が人間横丁のネタの前に流れて、それをあとで生で聴けるっていうのは『新派』の理想の形でしたね。人間横丁はもちろんめちゃくちゃうれしかったやろうし、お客さんもうれしかったと思う。俺の出囃子はTHE 2さんの「恋のジャーナル」なんですけど、一昨年出てくれたTHE 2さんがライブでもその曲をやってくれて。

榎本:あれもめっちゃテンション上がった。正直、バンドのことはその頃あまり知らなかったけど、出囃子を聴いたらめっちゃよくて。最後にその曲をライブでTHE 2さんが演奏したから、「うわ! これ、サノライブのヤツじゃん!」って。最初はカバーしたのかと思って、「めっちゃすげえじゃん、この人たち!」みたいな。今年はダンスの企画もやるもんな。

サノライブ:「日陰芸人ダンス部」ですかね。

小森:ついに踊るんだ!っていう。

榎本:あと、「みんな!みんな!みんな~!」っていうコントをつなぐ企画もあって。元々、そういうライブがあるっていうことは知ってたんですけど、実際に見たことはなかったんですよ。でも、去年初めて『新派』で見てむちゃくちゃ面白くて。すごいんですよ、いろんな人たちのコントが繋がっていって、最終的に一つのコントになるんですよ。「こんなライブが東京にあったんだ!」っていう発見をさせてもらいましたね。なので、ちょっとやらしい言葉になっちゃうけど、『サノフェス』はみんなが得するライブだなって。誰も損しない。損するのはサノだけっすね(笑)。

サノライブ:俺が泣くだけ。

――さっきもその話になってましたけど、そもそもなんで泣いちゃったんですか?

サノライブ:なんか、去年はちょっとミスが多かったんですよ。お客さんからしたら別にそこまで気にならないような、たとえば出囃子のつなぎが上手くいかなかったとか、ステージに道具を置くときに一瞬スタッフさんが見切れたとか、そういうことだったんですけど、それがめちゃくちゃ悔しくて。こんなにいいお客さんといい演者がいるのにって。でも、最後にネクライトーキーの演奏を聴いてるときに救われたというか。ミスはあったものの、みんなの素晴らしいネタ、みんなの出演してくれた企画、ネクライトーキーさんの演奏、全部のコンテンツに救われた気持ちになって泣いたっていう。

小森:悔しかったんだ(笑)。

――去年から会場にしているクラブチッタというデカ箱の大変さはありますか。

サノライブ:去年はネタだけじゃなくて、歌、大喜利、バンドっていろんな企画があって、そのためのリハの時間も限られていて。しかも、去年からリキッドルームからチッタに場所が変わったし、企画が増えたことで関わる人の数もグッと増えたんですよね。あと、出演者の中には先輩も多いんですけど、枠組みや方向性をしっかり伝えながらも、気持ちよく帰ってもらうっていうコミュニケーションも少しだけ大変だったんですよね。

――演者1組1組と正面から向き合っていかなきゃいけないですもんね。

榎本:デカ箱になればなるほどサノライブがピリピリしちゃうっていうのはこっちもわかるから。

小森:わかる人もいれば、わかんない人もいて(笑)。

サノライブ:勝手にやりたくてやってることなのでまったく不満とかではないんですが、周りにこういうことをやってる人がいないんで、少しだけ大変な感じはありますね。

――じゃあ、今回は前回の反省も踏まえた上で開催する、ちょっとしたリベンジ的な気持ちもあったり?

サノライブ:リベンジの気持ちはめちゃくちゃあります。それで前回と同じ会場にしたっていうのもあります。もちろん内容は出てくれる芸人が作ってくれるものではありますけど、それができる環境だけは主催をやるからにはいいものを準備したいですね。

ジャンク・小森


サノのライブがなくなったら困る芸人がいっぱいいるので、無理せず今後もずっと続けてほしいです。

――前回は12月開催でしたけど、今回は年明け1月8日ですね。

サノライブ:特に大きな意味はないんですけど、年末は『M-1』があったりしてみんな忙しくて。バタバタした中でやるのも年末フェスみたいな感じでいいんですけど、年始のみんながちょっと暇なタイミングにすることで年明けを楽しみにしてもらうのはどうだろう、っていうことで1月8日にしました。よくよく考えたら『新派』ってお正月っぽい雰囲気もあるし。あと、今回はTシャツ付きチケットも販売したり。今回、デザイン担当の人にも入ってもらってロゴとかを新しくしたので、せっかくかわいいのものをデザインしていただいたので、グッズも作ろうと。

小森:いいね、思い出だからぜひ買ってほしい。サノライブのTシャツはいいのが多いですからね。

榎本:本当にそう。形に残るのはいい。

サノライブ:そうですね。あとは、最近はライブが多いので、フライヤーとかのビジュアルがしっかりあるほうがお客さんが前のめりになってくれるのかな?っていうのもあります。

小森:たしかにな。主催が本気ならお客さんも本気になる。

サノライブ:そこは伝わるところだと思うので。

――そして、今回出演するアーティストが時速36kmという。泥臭くてカッコいいバンドですよね。

サノライブ:時速の曲はライブの出囃子としても使ってるし、芸人ファンの人に知ってほしいアーティストですね。ライブもめちゃくちゃいいんで。

榎本:前からつながりあったの?

サノライブ:つながりはなくて、普通に俺が好きっていう。なので、お手紙をしたためるような気持ちでメールを送りました。

榎本:すごいな。

小森:急にお笑いライブに誘われてあっちも怖かっただろうね。去年のネクライトーキーさんのときも思ったのよ。「あ、こういうライブに出るんだ」って。ネクライさんがお笑いを見ながら笑ってくれてたのがすっごいうれしかったんだけど、その後、ご本人たちがライブやってるのを観て、「この人たち、今日どういうつもりで来て、いくらもらってこんなことしてくれてるんだろう……?」って(笑)。

榎本:ライブ中にそんなこと頭にちらつかせるなよ(笑)。

サノライブ:普通にアーティストのみなさんがお笑い好きでいてくれる部分があるのかもしれないです。

小森:たしかに。でも、こうやってライブの実績を積み上げていけば、出るほうも怖くなくなっていくじゃん。だから、毎年毎年いろんな人が出てくれるようになるのがめちゃくちゃ楽しみ。

――でも、アーティストの出演枠は毎年一つだけじゃないですか。決めるのは大変じゃないですか?

サノライブ:本当に迷った結果、スタッフさんから「サノさんが好きな人でいきましょうよ」と言われて最後の1歩を踏み出すことは多いですね。僕が好きなものをみんなに伝えていくのも『新派』だ、って。だから、時速も迷いなく好きなバンドなので、面識はなかったですけど勇気を持って声をかけました。全体的な組み合わせを見て考えるというやり方もあるとは思うんですけど、意外と自分の好きなものを届けることって伝わるっていう。でも、絶対に合うという自信もあったんですよね。それで今回は時速さんに声をかけさせてもらいました。

小森:楽しみ楽しみ。絶対観よ。

みんな間違いなく売れると僕は思ってるので、それが『サノフェス』をやってる理由というか。そこを信じてくれよって。

――前回サノさんに話を聞いたときは、『新派』はそんなに規模を大きくしたくないと言ってましたけど、ここまでくると大きくしてほしくなります。

小森:ね。毎年やってほしいし、どんどん大きくしてもらいたい。

サノライブ:いや、大変なんで無理です。

小森:俺らは楽しむだけだからやってよ(笑)。

サノライブ:やっぱりデカくする感じではないと思います。去年は『ボロフェスタ』みたいにしたい、みたいな話もしたように、やっぱり基本的にはお笑いなので。お笑い芸人がやってるお笑いのイベントなので、そこを大事にするとこの形になるのかなと思います。みんなのネタと僕のネタを見てほしいからやってるというのは揺るがないです。

――榎本さんと小森さんは今後、サノさんにどうなっていってもらいたいですか。

小森:ライブの運営っていうのは辛いんですよ。俺は絶対にやりたくないですし、そもそもできないと思う。しかも、お客さんを笑顔にしたくてこんなに面倒くさいことをたくさんやってるのに外からはそこが見えづらくて、SNSでいろいろと言われることもあるんですよ。でも、辛いのは辛いですけどそこで折れずに、サノのライブがなくなったら困る芸人がいっぱいいるので、無理せず今後もずっと続けてほしいです。たとえ売れても、「サノのライブなら出ようか」って思わせるようになるまでずっとやってほしいです。

榎本:サノには企画力や主催力がめちゃくちゃあると思うので、続けることはもちろん、デカくなってほしいですね。芸人としてもそうですし、主催者としてもデカくなるところを見たいです。で、自分もそこに出ていたい。

サノライブ:そう思ってもらえるのはうれしいですけど、僕も芸人なんで主催はメインじゃないです。ただ最近、ライブの数が増えてきて、音楽もそうだと思いますけど、お客さんの取り合いになるんですよ。そういう意味では、もっと意味のあるものにできたらいいなという想いはこの1年でより強くなってます。『サノフェス』のいいところがもしあるとしたら、いつも割と同じメンツで同じ目線を持っている人たちと一緒に、「もっと売れたいな」と思いながら「ライブを盛り上げますよ!」っていう気持ちでやれていることがデカくて。青色1号さんもジャンクもそうで、「みんなで売れようぜ」みたいな気持ちがどっかであるんですよね。というかあったらいいなって思う。だからこそ、メンバーを固定しているところもあるので。大きくなるという目標を達成したいならもっと人気のある人を呼べばいいんでしょうけど、大事なのはそこじゃないっていうか。やっぱり、このメンバーで盛り上げたい。それはここ何年か続けてきたからこそ思うことかもしれないですね。

――自分だけのためではなくて、仲間のため。

サノライブ:恥ずかしいですがそれはマジであると思いますね。僕が大好きなトロピカルマーチっていう先輩がいるんですけど、僕ら以上に売れてなくて(笑)、でも僕はお世話になってますし、面白いし……。その人がチッタのステージに立ってるっていうのが本当にうれしくて。そこが『サノフェス』の肝みたいなところではあります。ほんとに偉そうで他人のこと言えないおせっかいなんですけど、そういう気持ちは他のみんなに対してもあって。ジャンクや青色さんがああいうデカいところでネタをやってるのはうれしいし、そういう意味でも継続していきたいんですよね。フェスとなると出演者の入れ替えが激しいところもあるとは思うんですけど、ここまで固定のメンバーを残してやってるところはあまりないんじゃないですかね。ユニット感というか。だから、僕が去年の『R-1』で2回戦で負けようが、ジャンクが今年『M-1』の3回戦で負けようが、数年前に青色1号さんが2年連続2回戦で敗退しようが……。

榎本:言うな!

サノライブ:それでも面白いし、みんな間違いなく売れると僕は思ってるので、それが『サノフェス』をやってる理由というか。そこを信じてくれよって、お客さんに伝えたいのはありますね。

――いい話ですね。夢があって。

サノライブ:夢があるというか、僕らはやっぱりね、現実を見れないだけなんで(笑)。

取材・文・撮影=阿刀“DA”大志

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