社会のしくみや置かれた環境が犯罪を生むのか?薬物乱用などの犯罪に繋がる枠組みとは?【図解 犯罪心理学】
犯罪を社会的要因から見るアノミー理論
これまで、生物学的なアプローチや心理学的アプローチから犯罪の原因を見てきましたが、人を取り巻く社会に犯罪の原因があるのではないかという研究もあります。その代表的なものが、デュルケームやマートンによって形作られた、アノミー理論です。
アノミー理論では、社会の成員が共通して持っている目標(文化的目標)を受容するか拒絶するかをまず考えます。文化的目標とは、アメリカでは富や名声などがそれに当たりますし、日本では学歴などが該当するでしょう。
一方、それに対して法律や教育、勤勉に働くことなど、制度化された手段を受容するか拒絶するかを見ていきます。このふたつの軸の組み合わせでその人のスタンスがわかるのです。
マートンは、このような状態を文化的目標と制度化された手段の緊張状態として捉えました。
この状態において、文化的目標を受容して制度化された手段を拒絶した場合、非合法な手段を使ってでも、富や名声を得るということなので、犯罪につながっていきます。また、文化的目標を拒絶し、制度化された手段を拒絶する場合は、非合法であってもその場の快楽を追求するするという態度なので、薬物乱用などの犯罪につながっていくのです。
出典:『図解 眠れなくなるほど面白い 犯罪心理学』