特殊詐欺24年認知 港南が件数・額「大幅減」 栄区額が下がるも8件増
2024年に認知された特殊詐欺事案について、港南区は30件(昨年比24件減)、被害額約4300万円(同1億4300万円減)、栄区は58件(同8件増)、被害額約8600万円(同3100万円減)だったことが分かった。ただ、認知件数は被害届が出された数であり、実際の被害状況とは異なるとの見方もある。
神奈川県警が1月21日に発表した特殊詐欺認知状況(暫定値)によると、1年間で1999件の詐欺を認知し、被害額は約65億5800万円だった。昨年比では件数が26件減だったものの、被害額は約19億4900万円増だった。
「暗数が多い」
港南区の30件のうち最も多かったのは預貯金詐欺の16件、次いでオレオレ詐欺が7件、キャッシュカード詐欺盗が4件、還付金詐欺が3件だった。架空料金請求詐欺、融資保証金詐欺は認知されなかった。
昨年と比べると件数はほぼ半減し、被害額は4分の1以下と大幅な減少。市内の他区と比較すしても、件数は中区の20件に次いで2番目に少なく、被害額も瀬谷区の約3600万円に次いで2番目に少なかった。
認知件数減少の要因として港南署担当者は県内1位だった阻止率の高さを挙げる。家族や金融機関などが被害を防いだものだ。ただ、「被害届が出されず、認知件数に含まれない暗数も多い。被害自体が大幅に減ったとは考えていない」との見方も示した。「手口も変わるので、工夫した広報が必要」と啓発に力を入れる考えを語る。
狙われる高齢地域
栄区は58件が認知された。最多は預貯金詐欺で20件。次いで還付金詐欺が18件、オレオレ詐欺が14件、架空料金請求詐欺が3件、キャッシュカード詐欺盗が3件だった。融資保証金詐欺は認知されなった。
市内の他区比較では件数は6番目に多く、被害額は4番目に少なかった。昨年比での被害額減少について、栄署担当者は「1件多額な被害があるだけで大きく変動することもあるが、そうした被害があまりなかったことが要因」と話した。
また、目立ったのは還付金詐欺。県全体で前年比40%減だったが、栄区では125%(10件)の増加。県内で3番目に多かった。還付金詐欺は区役所職員などを謳い「還付金を渡すため」とATMに誘導。操作方法を教えるふりをしながら、送金手続きをさせる手口だ。同様に高齢化率が高い金沢区で県内最多の20件が認知されていることも合わせ、「(ATM操作に不慣れな)高齢者が多い地域が狙われたかも知れない」と分析する。
さらに、最近の特徴的な手口として挙げたのが「警察官語り」。画質の低いビデオ通話で偽の警察手帳を見せて相手を信用させるという。「警察は電話でお金の話をしたり、手帳を見せたりすることはありません」と注意を促す。
SNSから始まる手口も
また、特殊詐欺には分類されないが、県内で増加しているのがロマンス詐欺と投資詐欺だ。共にSNSを介するのが特徴として挙げられる。
ロマンス詐欺は、SNSでつながった相手に恋愛感情を抱かせ「生活に必要」など理由を付けて金を要求する。性別年齢問わず被害が出ている。また、投資詐欺はSNS上の広告で、サイトに誘導。最初は少額で投資させ、利益が出たように見せかけた後、大金を投資させるのが手口だ。栄署担当者は「サイトに入る人は『お金を増やしたい』気持ちが強いので、詐欺だと気付けない」と話す。さらに、「昨今の投資ブームを利用している」とするのは港南署担当者。「幅広い層に啓発したい」と語った。