野菜までもメイン級の美味しさ!“farm to table”のフレンチレストラン【福岡市・薬院】
薬院六つ角を西に入り、歩いて5分ほどの場所、レンガ調の趣あるビルの1 階に、昨年11月、フレンチレストランがオープンしました。それが「le plus」です。
店内は、レストランでは珍しい丸テーブルを採用。希少なチーク材が使われており、心地よくも上質な空間です。
カウンターで迎えてくれるのは、オーナーシェフの車崎さん。福岡のホテルで料理人として働いた後、上京。東京でもフレンチレストランで研鑽を積み、帰福後、「le plus」をオープンさせました。シェフが目指すのは、「farm to table」。農場から食卓へ直接食材を届けることで、鮮度や安全性を確保するという考え方です。さらに、地元の食材を農家から直接仕入れることで、旬の味を最大限に楽しめるというメリットもあります。
中でもシェフが力を入れるのが「野菜」です。その造詣を深めるため、糸島市で自然農に取り組む「糸島どんたく農園」で野菜の栽培を学ぶことに。「自分が畑に入っていくことで、これまで以上に野菜を大切にするようになりました」と話し、自ら作る料理にも刻々とその影響が現れています。
メニューは1万2000円のコースが基本。アミューズ、前菜2種、メイン2種、デザート2種の構成で、デザートのうち1種類は「ほうれん草のチーズケーキ」や「ゴボウのプリン」など旬の野菜が主役です。
アミューズは、野菜、魚介、肉それぞれの食材を活かした3種類。ほうれん草ペーストを混ぜたカスタードクリームを挟み、ほのかに苦味のある菜の花パウダーをアクセントに加えたマカロンは、まるで抹茶菓子をいただいているかのよう。さらに、旨味が凝縮されたアサリのコロッケ、爽やかな香りのスパイスがアクセントのウサギ肉の煮凝りと趣向が異なる料理が一皿に盛り付けられています。「一口ごとに合わせるワインを変えていただいてもいいかな」と話すシェフの言葉通り、一つ一つ、素材の個性が楽しめる味に、ワクワクした気分でコースのスタートを切りました。
魚・肉と2種類ある前菜。この日のお肉の前菜は、鴨肉のパテをチリメンキャベツ、網脂、黒キャベツで巻いた「ロールキャベツ」。パテにはクルミが入っていて、ナッツ特有の香ばしさと食感がアクセントとなっています。さらに、手作りの粒マスタードで爽やかに、フルーティーなカリンのジャムで華やかな香りとともにと、食べ応えがあり満足感ある前菜です。
メインも魚と肉の2種類で、この日は「大地のこくみ牛のロースト」。程よくサシが入った赤身は、歯応えと旨味、コクがバランスよく味わえます。セリを使ったソースのおかげで重たくなり過ぎず、コース終盤でもペロリと食べられるのが個人的にうれしいポイント。一方、ポテトサラダをクレープ状の生地で巻いたポテトサラダは、サツマイモの皮のパウダーを混ぜ込んだ手作りマヨネーズを使って、まるで黒糖のようなねっとりと濃厚な味が印象的。2種の大根を使ったサラダはシャキシャキと瑞々しく、箸休めにもぴったりです。
ワインの種類も充実。フランスだけでなく、多種多様なワインを用意しています。ボトルでオーダーするのも良いですが、おすすめはグラス。赤・白ワインを各4種、シャンパン・ロゼ・オレンジワインを各1種ずつ用意しているので、料理に合わせてあれこれ楽しめるのがうれしいです。
なおアラカルトのメニュー表はありませんが、対応は可能。好みやおなかの具合を伝えれば、シェフがぴったりの料理を提案してくれます。席に余裕があれば当日対応もOKとのことなので、仕事終わりにふらっと立ち寄ってみるのもありです。さらに、予約制のランチタイムはお子さまとの来店も歓迎なのだとか。
肉や魚はもちろんですが、驚いたのはガルニチュールとして添えられる野菜料理までも食材のポテンシャルを最大限に引き出したメイン級のおいしさだったこと。食材の旬に合わせて変わる料理を味わいに、季節ごとに訪問したくなる期待のフレンチレストランです。
le plus(ル プリュス)
福岡市中央区薬院2-10-2王丸ビル105
(InstagramのDMで予約が可能)