Variety誌が“傑作”と唸ったスペインの俊英 アントニオ・メンデス・エスパルサ監督作『サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー』予告編
「ヒッチコック経由のシャンタル・アケルマン(Film Obsessive)」「ネオレアリズモとオペラ的狂騒の見事な融合(Cinemanía)」…Variety 誌が“傑作”と唸ったスペインの俊英、アントニオ・メンデス・エスパルサ監督作『サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー』が、10月31日(金)より劇場公開される。このたび、本ビジュアルと予告編が解禁となった。
母はタクシーが好きだった
マドリードで老いた父と暮らすルシアは、勤め先の会社が横領事件で倒産し、大きな転機を迎える。タクシー運転手に転身した彼女を待っていたのは、個性豊かな乗客たちとの出会いだった。ルシアは、かつて「トゥーランドット」のアリア<誰も寝てはならぬ>に導かれて出会った謎めいた隣人に思いを寄せていた。彼は自分を「トゥーランドット」の王子になぞらえて、“カラフ”と名乗り忽然と姿を消した。ルシアは自らを姫に重ね合わせて、いつか彼がタクシーに乗り込むことを夢見るが……。
監督は、2012年に『ヒア・アンド・ゼア』でカンヌ国際映画祭批評家週間グランプリ、2017年に『ライフ・アンド・ナッシング・モア』でインディペンデント・スピリット賞ジョン・カサヴェテス賞を受賞したアントニオ・メンデス・エスパルサ。フアン・ホセ・ミリャスの原作を『リベルタード』のクララ・ロケットと共同で脚色した。また、カルロス・ベルムト監督作品『マジカル・ガール』(2014年)、『マンティコア怪物』(2022)などで知られるAquíy Allí Filmsによる制作で、16mmフィルムで撮影されたざらついた質感とゼルティア・モンテスによる不穏な旋律が、ロマンスとサスペンスが交錯する本作の世界観を支える。
主人公のルシアを演じたマレーナ・アルテリオは、ゴヤ賞をはじめ多数の主演女優賞を受賞した。そして『パラレル・マザーズ』(2021年)、『マシニスト』(2004)などで知られる名優アイタナ・サンチェス=ヒホンが 共演し、圧倒的な存在感を放つ。
マドリードの街を行き交う女性たちが幻想と狂乱、冒険に身をゆだねて変貌していくように、ルシアもまた新たに生まれ変わります。日々をただやり過ごすだけの、惨めで目立たない存在だと思っていた彼女は、ついに堂々と表舞台に立つ決意をするのです。
(アントニオ・メンデス・エスパルタ/監督)
『サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー』は10月31日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国ロードショー