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前月残業代が多いと損!?ボーナスから引かれる税金・手取り額は?

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ボーナスシーズンになると、賞与を何に使おうかワクワクしてきますよね。しかし会社から支給される金額が全て使えるわけではありません。それは、社会保険料や税金が引かれるためですが、ボーナスは支給額が大きい分、引かれる額もそれなりに大きくなります。

ここでは、社会保険料や税金がいくら引かれるのか、ボーナスの平均額を参考に手取りを試算してみます。同じボーナスでも独身と既婚(扶養家族あり)による手取りの差も見ていきましょう。

税金は所得税のみ、残業で前月の給与が増えたら不利!? 

【画像出典元】「stock.adobe.com/Atstock Productions」

ボーナスから差し引かれる税金は、所得税のみです。住民税は、ボーナスからは差し引かれず給与からのみとなります。所得税は、国税庁が定める「源泉徴収税額表」に基づいて計算され、ボーナスから差し引かれます。

実際の一覧表で見方を確認してみましょう。

引用:国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和6年分)」より一部抜粋

この一覧表を見ると、左端に「賞与の金額に乗ずべき率」とあります。これが、源泉徴収される所得税の税率で、復興特別所得税も含まれます。税率は、扶養人数と前月の給与が関係します。

「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合は、「甲欄」のうち扶養親族の該当欄を見ます。次に「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」の該当金額欄から源泉徴収される所得税率を確認します。

ここで気付いた人もいるのではないでしょうか。ボーナスから源泉徴収される所得税は、前月に残業が多かったら税率が高くなり負担が増えるということを。仮に、昨年と今年のボーナス(額面)が同じだったとしましょう。そして今年は、前年のボーナス支給前月より残業が多かった場合、ボーナスから源泉徴収される額が昨年より増え、手取りが減ることになります。

不平等だと感じると思いますが、安心してください。年末調整で、1年間に支給された給与やボーナスの額面金額をもとに所得税を再計算し、多く徴収していた場合は還付されます。

ボーナスから引かれる社会保険料は、概算で把握しよう

次に、社会保険料の負担額です。社会保険料とは、次のものをいいます。

・健康保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料

30代男性は、上記について保険料を納めますが、40歳を迎えると介護保険にも加入することになります。

各保険料には計算式が与えられており、おおよそ「ボーナス(額面)の15%程度」です。正確な保険料を知りたい場合は、保険料の一覧表等で確認できますが、複雑になるため、まずは「おおよそ15%」と覚えておくと良いでしょう。

・健康保険料:全国健康保険協会「令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)」

・厚生年金保険料:健康保険料の一覧表に記載されています

・雇用保険料:厚生労働省「令和6年度の雇用保険料率について」

30代男性のボーナスの手取りをシミュレーション

【画像出典元】「stock.adobe.com/Richard Villalon」

それでは、具体的に手取り額を概算してみましょう。転職サービスdoda(※)の調べによると、30代のボーナス平均は、夏が47万円、冬が46.6万円とのこと。夏のボーナスをもとに試算してみます。また、独身と既婚での手取りの違いも比較してみましょう。
(※)転職サービスdoda「職種や年代でボーナス・賞与はどう変わる?ボーナス平均支給額の実態調査【最新版】(冬・夏、年代別、職種別の賞与)」

【例1】独身の30代男性の場合

・前月の給与(額面):30万円
・前月の社会保険料:4.5万円
・夏のボーナス:47万円

手順1:「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」を求める

(前月の給与)30万円ー(前月の社会保険料)4.5万円=25.5万円

手順2:ボーナスにかかる社会保険料を計算する

(夏のボーナス)47万円×(概算の社会保険料率)15%=7万500円

手順3:「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から源泉徴収税率を確認し、所得税を計算する

この場合、「扶養親族0人」欄のうち、「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」を手順1で求めた25.5万円が該当する部分を見ると計算できます。源泉徴収税率は、6.126%です。

引用:引用:国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和6年分)」より抜粋し一部筆者加工

なお、所得税率は、「ボーナスの額面から社会保険料を差し引いた額」に掛けるルールになっているので注意が必要です。よって、源泉徴収される所得税は次のようになります。

(夏のボーナス:47万円-社会保険料:7万500円)×(税率)6.126%
=(源泉徴収税額)2万4473円

手順4:手取りを計算する

(夏のボーナス)47万円-(源泉徴収税額:2万4473円+社会保険料:7万500円)
=(手取り)37万5027円

よって、独身の30代男性のボーナス手取りは37万5027円となります。

次に既婚で扶養人数は2人を想定したケースです。

【例2】既婚の30代男性(扶養2人)の場合

・前月の給与(額面):30万円
・前月の社会保険料:4.5万円
・夏のボーナス:47万円

手順1:「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」を求める

(前月の給与)30万円―(前月の社会保険料)4.5万円=25.5万円

手順2:ボーナスにかかる社会保険料を計算する
社会保険料は、扶養をしていても負担は増えないため、前述通り15%で計算します。

(夏のボーナス)47万円×(概算の社会保険料率)15%=7万500円

手順3:「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から源泉徴収税率を確認し、所得税を計算する

「扶養親族2人」欄のうち、「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」を手順1で求めた25.5万円が該当する部分を見ると計算できます。源泉徴収税率は、2.042%です。

引用:引用:国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和6年分)」より抜粋し一部筆者加工

よって、源泉徴収される所得税は次のようになります。

(夏のボーナス:47万円-社会保険料:7万500円)×(税率)2.042%=(源泉徴収税額)8157円

手順4:手取りを計算する

(夏のボーナス)47万円-(源泉徴収税額:8157円+社会保険料:7万500円)
=(手取り)39万1343円

よって、2人を扶養する30代の既婚男性の手取りは、39万1343円となります。

この事例では、独身と既婚の手取りの違いは、1万6316円ということです。

このようにボーナスの手取りは、源泉徴収される所得税や社会保険料が差し引かれます。自身のボーナスの手取り額はどうか計算してみましょう。会社員は税金や社会保険料が天引きされるため意識が薄くなりがちですが、この機会に税金や社会保険料の負担額やその使い道・役割について調べてみるとマネーリテラシーの向上に繋がりますよ。

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