手放して後悔したことも。「Vintage Works」堀内賢さんの、一生手放せないヴィンテージ。
ヴィンテージが流行する以前から、その文化に心酔し、多くの時間と情熱を注いできた人たちがいる。彼らのコレクションは、今や“スーパーヴィンテージ”と称されるほどに価値を高めた。趣味の域を超え、文化遺産と見なすべきものも少なくない。そんな人たちのなかから今回紹介するのは往年のヴィンテージウエアを多く所有するVintage Worksの堀内氏。これまで所有しては、手放してきたアイテムも多いようだが、失って気づくヴィンテージの素晴らしさに再度、買い直すこともしばしば。そんな堀内氏が手放せないと思うヴィンテージを見せてもらった。
好きなものは早々に変わるものじゃないんです。
ヴィンテージをこよなく愛する堀内氏。王道から変わり種まで幅広くコレクションする彼だがこれまでに手に入れた貴重なものでも「さすがにもう着ないでしょ」と手放してきたアイテムも多いという。その都度、後悔もあり、運良く買い直すことができたというものもあるが、探しても手に入らないものも多々あるという。
「年齢的に全身すんごいヴィンテージで揃えるってこともなくなってしまって、昔は意気揚々と着ていたんですけど、今着たら少し恥ずかしいなとか思うようになって、それで手放したものもあるんです。でも後々考えたらやっぱり欲しいなと後悔して買い直すんですけど、やっぱり着ない。そして手放す。後悔する。もちろん良いものやカッコよさは充分にわかっているんですけどね。ジョーダンやデッキジャケットなんてまさにそうですね。一度手放して再度手に入れたアイテム。好きなものってそう簡単には変わらないんでしょうね」
世界的にヴィンテージウエアの価値が見直され、ひとつのジャンルとして確立されている現在。流行に左右されないはずのヴィンテージウエアがモロに煽りを喰らっているこの風潮に流されることなく自分の好きなものを貫くことこそが真のヴィンテージ好きなのかもしれない。
「手放して後悔したものだからもう手放すはずはない」
1980年代にHERMESがリリースしたブルゾン。ライニングにはお得意の大判シルクスカーフが使用されており、尚且つリバーシブルで着られるアイテム。ハードに着用するとシルクのライニングが擦り切れてしまいそうで、大切に扱ってきた1着。
ゴールドのアクセサリーアクセサリー欲に駆られていた頃に手に入れたHERMESのキーホルダー。シルバーで作られた個体は見ることがあるが、ゴールドで作られたものは稀有な存在。軽々しくキーホルダーとは言えない金額でコレクターも存在するようだ。
言わずもがなヴィンテージデニムの王道アイテムとして知られるLEVI’S 506XX。いわゆるファーストモデルだが、なかでも背面のセンターに接ぎのある通称Tバック仕様は、明らかに生産数が少ないことから、ここ数年で一気に価値が見直された1着である。
1940年代にU.S.NAVYの艦上防寒服として納入されたデッキジャケット。生地の褪色のわりに襟元、袖、裾のリブは穴あきや擦れもなく美しい状態を保っている。過去に数度、手に入れては手放してしまったことのあるジャケットだが、その都度後悔していたと話す。
1970年代製のCONVERSE CHUCK TAYLOR 。箱付きデッドストックという抜群のコンディションのまま所有し続けて、すでに履くタイミングを逸してしまったと本人談。
古着としてはお馴染みのBudweiser、Harley-Davidsonなどの企業ものTシャツ。フロントやバックにデカプリントが施された面白デザインは、堀内さんが見つけるたびにこ購入していたもの。
ヴィンテージスニーカーの代表格であるNike AIR JORDAN1は色違いで多数所有。1985年のオリジナルの個体だが、現役で気兼ねなく履けるようにソールの張り替えを行なっている。右の赤黒はデッドストック。
1969年製、Vespa 150Superは5年ほど前に購入。見た目とは裏腹にエンジン周りなどはすべてフルレストアがなされている。
リアルメガネとして愛用しているのは1980〜1990年代頃に作られたボシュロム社時代のRay-ban。アウトドアーズマンとキャラバンはデザインが好きで旧くからコレクションしていたもの。