名作の原画がずらり!「漫画家生活30周年 こうの史代展 鳥がとび、ウサギもはねて、花ゆれて、走ってこけて、長い道のり」が10月2日まで、『佐倉市立美術館』で開催中
こうの史代初の大原画展「漫画家生活30周年 こうの史代展 鳥がとび、ウサギもはねて、花ゆれて、走ってこけて、長い道のり」が2025年10月2日(木)まで、千葉県佐倉市の『佐倉市立美術館』で開催中。漫画原画500枚以上が一堂に会する。TOP画像=《夕凪の街 桜の国》カバーイラスト 2004年 (C)こうの史代/コアミックス。
こうの史代氏が歩んだ30年の道のりを振り返る
『夕凪の街 桜の国』や『この世界の片隅に』といった名作を生み出してきた、漫画家こうの史代氏。こうの氏が漫画家生活30年を迎えたことを記念し、大規模な展覧会が開催されている。
企画展担当学芸員の西川可奈子さんは「戦時中の広島の呉を舞台にしたアニメーション映画『この世界の片隅に』の原作者として知られる漫画家・こうの史代氏の展覧会です。初期から現在にいたるまでの漫画原画500点以上に加え、コンテやメモ、映像資料などこれまでの活動を網羅する充実の展示内容となっています」と見どころを語る。
「見た目は愛らしいけれども、力強さ、柔軟さ、しぶとさがその線には宿っています。こうの漫画は、愛らしいタッチのまま、実に多彩です。どれをとっても、似た作品がありません」(本展監修者/小説家・福永信氏)
ひとつの作品を描くごとに、新しい、まだ見たことのない漫画表現を生み出し続けているこうの氏のこれまでの道のりをたどる。
作品のコンテやメモ、ブログに登場するスケッチまで網羅
本展の展示は「読める」ように工夫されているのも見どころ。連載作品の場合は1話単位、短編は全ページを基本として原画を展示。こうの氏が構成したストーリーを分断せず、制作しているその時の「漫画家の気持ち」を体感することができる。各単行本のカバーとして描かれた美しいカラー原画も必見だ。
絵本原画や作品のコンテやメモ、ブログ「こうのの日々」に登場するスケッチブックや制作風景を記録した初公開となる映像まで、画業にまつわる日々の活動を詳細にうかがい知ることができる内容が興味深い。
また展示スペースの最後には「あとがき」として、描き下ろし作品も展示。会場内にファンレターを書くコーナーも設けられ、投函したファンレターはこうの氏に直接渡してもらえる。
開催概要
「漫画家生活30周年 こうの史代展 鳥がとび、ウサギもはねて、花ゆれて、走ってこけて、長い道のり」
開催期間:2025年8月2日(土)~10月2日(木)開催時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし8月11日・9月15日は開館)・8月12日(火)・9月16日(火)
会場:佐倉市立美術館(千葉県佐倉市新町210)
アクセス:京成電鉄本線京成佐倉駅から徒歩8分、JR総武線佐倉駅から徒歩20分
入場料:一般1000円、大学生800円、高校生以下無料
※障がい者手帳をお持ちの方とその介護者1名無料。
【問い合わせ先】
佐倉市立美術館☏043-485-7851
公式HP https://www.city.sakura.lg.jp/section/museum/exhibition/2025/202508KounoFumiyo.html
取材・文=前田真紀 画像提供=佐倉市立美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。