この30年で価値が上昇したレザーは? 「Fakeα」澤田さんとレザー市場を振り返る
ロッカーズを貫く「Fakeα」の澤田一誠さんは、ヴィンテージ業界のアイコンのひとり。’90年代から現場で日本のヴィンテージシーンを見てきた。そんな澤田さんにレザージャケットの動向を解説してもらった。’90年代のヴィンテージブームではそこまで盛り上がらなかったが、2000年代から様々なアーカイブが再評価されていった。
’90年末頃から徐々に 盛り上がっていった。
日本有数の老舗ヴィンテージショップであるフェイクαの顔役でもある澤田さん。時代やトレンドが変わろうともロッカーズスタイルを貫き、その硬派な姿勢に多くのファンが惹かれている。映画『ワイルドワン』をこよなく愛し、マーロン・ブランドが扮する主人公のジョニーは、澤田さんのスタイルの原点となっている。
名店で数々のヴィンテージレザージャケットを見てきた澤田さんに、ここ30年の流れを振り返ってもらった。
「’94年は渋カジの延長もあって、アメカジが全盛だったと思います。もちろん古着ブームも盛り上がっていましたが、デニム、スウェット、フライトジャケットなどが主流で、レザージャケットにおいてはヴィンテージで探す人は少なかったと思いますね。現行品の方が主流でショットやエアロレザー、バンソンなどが人気を集めていました。
ヴィンテージはそこまで解明されていなかったので、ショットのワンスターやハーレーのサイクルチャンプなど、本当に限られたモデルがストックされているという状況でした。デニムが人気だったので、その延長にあるスウェードのトラッカージャケットは、’90年代後半になると盛り上がったりはしましたけどね。
大きなきっかけとなったのは、田中倫太郎さんが’98年に発行した『革ジャン物語』だと思います。そこからこれまで注目されていなかったマニアックなレザージャケットブランドにも注目が集まるようになり、風向きが変わってきた印象を受けました」
’90年代にはフェイクαで働いていた澤田さん。ツートン仕様のライダースジャケットや熊ジャンなどの個性的なレザージャケットを探す人が増えたことを目の当たりにしたという。ミレニアム以降は更に様々なジャンルのレザージャケットが人気を集めていく。
ここ30年で市場で注目を集めた革ジャンとは?
ここ30年で定番となった名作レザージャケットをピックアップ。’90年代はメイドインUSAのレザージャケットというだけで評価されたが、2000年代に入ると各年代を象徴するアーカイブが次々と発掘された。
Schott ONE STAR
今も定番として人気を集めているアメリカンライダースの名作。’60年代の通称サボテンタグの付いた個体。基本的なデザインは変わっていないが、年代によって革質が異なり、’60年代は雰囲気が抜群。17万3800円
Durable ONE STAR
映画『ワイルドワン』にてマーロン・ブランドが着用していたのが、デュラブルというブランドのコード33との品番を持つワンスター。こちらはカウハイドレザーだが、馬革も存在する。43万7800円
HARLEY-DAVIDSON Cycle Champ
1946年にリリースされたハーレーの名作ライダースジャケット。この頃のトレンドであったDポケットのデザインや随所にあるスタッズがポイント。裏地にはチェックのファブリックが使われている。21万7800円
LEVI’S SPORT JACKET
’30〜’40年代はスポーツジャケットが大流行し、デニムメーカーであるリーバイスでもスポーツジャケットが展開された。これは’40年代のヴィンテージで隠れた名作として知られる。14万800円
Brooks RIDERS JACKET
’60〜’70年代のアメリカではレースシーンが盛り上がり、この手のスポーティなレーシングタイプのジャケットが流行する。ツートンの派手なデザインも多く、様々なカスタムが存在。8万7780円
BECK 333
ライダースジャケットの黎明期にあったアビエイタースタイルを強く感じる名作である333。その完成されたデザインからコレクターズアイテムであり、色褪せない名作のひとつ。スタッズのバランスも秀逸。65万7800円
HARLEY‐DAVIDSON RIDERS JACKET
2000年頃になるとツートン仕様のライダースジャケットの人気が高まる。’40〜’50年代にかけて流行したスタイルで、これはハーレーのオリジナルジャケット。背面を見ると30’sの流れを強く感じるデザイン。43万7800円