宙星ぱる「天晴れパラダイス」インタビュー――宇宙から来た侵略猫が新曲を自身の誕生日にリリース!
──「天晴れパラダイス」がリリースされた現在の心境から聞かせてください。
「J STAR REORDSにいろんなアーティストの方がいる中で、ぱるはVTuberなのでライブのステージに立てなかったりして…。でも、“何か自分にできることがないかな?“と考えて、”そうだ、オリジナル曲を作ればいいじゃん!“と思い立って、とても自分らしい曲ができたので嬉しいです」
──J STAR RECORDからはレーベル主宰のファン太さんに続く新曲ですね。
「らしいですね。自分の誕生日(11月5日)がリリース日をなったんですけど、ただ“作りたい”と思って作ったタイミングがたまたまそうなっただけなんです。自分としては“まさか!?“って驚いていますし、ありがたいです」
──新レーベル=J STAR RCORDの立ち上げメンバーに誘われた時はどんな気持ちでしたか?
「“なんで?”と思いました(笑)。だって、ぱる、それまで一切歌っていなかったので。でも、勝手な解釈ですけど、ファン太さんがやれると思ってくださったんだったら、“やるか!”って思いました。自分は“ファン太さんに拾ってもらった恩がある”とずっと思っているので、それを形で返せるんだったら“何でもやろう!“とて思っています」
──そこまで恩を感じているんですか?
「はい。『ストグラ』というゲームでファン太さんと出会ったんですけど、ぱるをいい感じにおもちゃにしてくれて…。何回かおもちゃにされて、初期メンバーで誘ってくださって、今も『ストグラ』内の同じギャングチーム(丘猫まるとして活動中)にいます。今でもよくしてくれていますし、そんなによくしてくれる大人っていないじゃないですか?」
──今はエイベックスやJ STAR RECORDSのスタッフさんやマネージャーさんもいますよ。
「それもファン太さんが拾ってくれたからこそ出来たご縁なので。やっぱり最初に拾ってくれて、“こいつ、いいやん”と言ってくれたのが、私にとっては大きくて。ただただ活動していたというか…楽しく過ごしていた時に、ちょうど仕事がなくなったんです。VTuber専業になった時でもあったんですけど、ファン太さんがおもちゃにしてくれたおかげで生活できるようになりました。だから、いろんな意味での恩があります」
──ファン太さんからは“元気があって可愛い。みんなから愛されるキャラ”と聞いています。
「なるほど。そうらしいです。あはははは。でも、自分からすると、ファン太さんとは本当に“みんなのお父さん”みたいな感じでいつも接しています。ファン太さんは何かあったときに絶対に気にかけてくれているって感じていて。本当にお父さんみたいな感覚でいますし、売れて親孝行したいです(笑)」
──(笑)。
──改めて、VTuberを始めたきっかけを聞いてもいいですか? 2020年9月に配信を開始していますね。
「元々は演技が好きで、演劇や声優の勉強をずっとしていました。でも、声優さんはいろいろな役を演じるじゃないですか…自分は演じ分けが終わっていたんですよ。演じ分けがどうしてもできなくて。“ピカチュウだけできる”みたいな一本型で、今の時代にはそぐわないタイプだったので、“どうしたものか…?”と悩んでいて。でも、やりたい気持ちは持ち続けていたときに、ネットで“VTuber募集”って広告を見つけて、“なんだこれ?” と初めて知って。そこからはもう流れで…」
──行動力がすごいですね。そこでZero Projectに参加したのですか?
「いえ、それよりも前に個人で活動し始めています。最初はただの趣味だったので、ノリで始めた感じです。ぱる、基本的に何でも楽しむのが得意…と言うとおかしいんですけど、何でも楽しめる性格をしていて。だから、どのゲームをしても楽しいですし、リスナーさんと喋りながら、ヤジを飛ばし合いながら配信するのも楽しいです。“天職やん!”と思っていました」
──宙星ぱるは“宇宙から来た侵略猫で、VTuber活動は地球侵略活動の一環”ですよね? ファン太さんからは“VTuber デビュー時に固めたキャラ設定に苦しんでいる”と聞いたんですけど。
「言ってましたね!読みましたよ! でも、苦しんでいないです(笑)。設定も何もぱるは宇宙に住んでいる十七歳か十八歳の元気な宇宙猫ですからね! 演じていることもないですし、ありのまま暴れています。全然、苦しんでないです! 」
──(笑)。“歌ってみた”もやっていますね。
「配信を始める前に“VTuberとは?”を調べたんです。そしたら、VTuberさんは歌も歌ったりしていて…と“じゃあ、流れでやってみるか!”とチャレンジしてみました」
──歌の経験はあったんですか?
「演技を勉強していた頃にレッスンはしたんですけど、ずっと苦手意識がありました。ぱるは宇宙出身ですけど、宇宙なまりみたいな、なまりがあるんです。だから、歌うときも“なまりがちだな”という自覚がありましたし、テンポを取るのもすごく苦手で…」
──でも、テンポの速い曲ばかり歌っていますよね。
「そうなんですよ! めちゃくちゃになりながら歌っているんですけど、テンポを取るのが一番苦手だっていう意識があって。歌うこと自体は好きなんですけど、“テンポがずれてるよ”ってなるとシュンってなります…」
──音楽は好きでしたか?
「音楽は好きです。一人でフェスに行ったりもしていました。一人でフェスを歩き回って、推しを見つつ、知らないアーティストを見て楽しんで帰ってきたりしていました」
──推しというのは? どんな音楽を聴いていますか?
「sumikaさんが大好きでファンクラブにも入っています。結成10周年の2023年5月に横浜スタジアムでやったライブにも行きました。あとはヤバTとか、いろんなジャンルが好きでライブにも行っています」
──カラオケには行ったりするんですか?
「一切、行かないんです。人前で歌うとすごく緊張してしまうタイプなので。友達とカラオケに行ってもほぼ歌わないです。お酒ばかり飲んでいます(笑)」
──家では?
「家は逆に一人なので、歌ったり踊ったり好きにやっています…一人で“アリーナ!”とか言いながら。そういう時は、ナナヲアカリさんとか、馴染みの深いボカロ曲を歌ったりしています」
──そんなぱるさんですが、2022年10月に「猫のギャラクシー伝説」がオリジナル曲としてリリースされていますが、どんな成り立ちだったのですか?
「それこそ、“VTuberさんってオリ曲あるよね?”と気づいて、“すごいじゃん!”ってなって。当時はZero projectにいたので(同年8月に解散)、マネージャーさんに“曲を作りたい”と言って。当時、出始めだったボカロPのそりっどびーつさんを紹介していただいて、“電波曲を作ってください”とお願いしました。歌詞も話し合いながら一緒に作って、出来上がりました」
──歌詞にはどんな想いを込めていますか?
「<地球侵略宇宙猫>とか、決め台詞<君のハートにアブダクション>とか、ぱるの主軸となる要素をたくさん入れています。あと、当時は今よりももっとゲームが下手だったので、コメントで“下手”って言われたりとか、視聴者さんに煽られたりとかしていて…そのやりとりも好きだったので、リスナーさんが合いの手しやすくて一緒に楽しめる曲を作りたかったです。<下手下手>や<雑魚雑魚>という合いの手を入れたり、とにかく楽しい曲を考えていました。確か、アイドルマスターを参考にして考えていた気がします」
──当時はVtuberとしての将来像を何か思い描いていましたか? 例えば、もっとオリ曲を増やしたいとか…。
「いえ、全く。あはははは。当時はまだ普通の仕事もしていたので、ほんと趣味の範囲で、“やりたいことをやりたい”って感じでした。やれなかった声優業の鬱憤を晴らすかのように、好きなことができて楽しい。ただそれだけでずっとやっていました」
──「猫のギャラクシー伝説」は今年の4月に両国国技館で開催されたライブ『超激動 -SUPER GEKIDO-』のCD付きチケットのコンピにも収録されていましたね。
「すごくありがたかったです。レーベルに所属すること自体も“いいんですか?”なのに、“CDに収録してもらっていいんですか?”と思っていて。このメンツの中で言ったら、私って色物じゃないですか」
──あははは。そんなことないですよ。
「カッコいい歌やキレイな歌を歌う人がいる中で、電波曲でベクトル違うけど大丈夫かな?…と思いながらも、すごく嬉しかったです。ファンの方からも“ぱるに歌のイメージはないけど、まあ、頑張れ”という声をいただいて」
──ご自身でも“歌を頑張りたい“という意欲がありますよね?
「今、少しずつ蓄えています。元々、歌はあまり歌わない活動者だったんですけど、J STAR RECORDに所属させてもらったからには“精一杯、頑張ろう!”って気持ちです。“歌も頑張ってみよう”と思い始めましたし、少しずつ、いろんな歌にチャレンジしてみたいとか、抵抗なく配信や人前で歌えるように、とかを考え始めていて。でも、一人で部屋にいる時は“アリーナ!”って叫んでいるくらいなので」
──アリーナは見えていますね。
「“2階席!”とか呼びかけてもしています(笑)。根本、やりたいと思っているはずなので、いつかステージにも立ってみたいです」
──そして、オリ曲としては、「猫のギャラクシー伝説」以来。3年ぶりとなる新曲「天晴れパラダイス」の制作はどんなところからスタートしたのでしょうか?
「まず、先に“曲を作ってみたいんですけど…”と相談させてもらいました。“どんな人にお願いしてみたい?”、“どんな曲にしてみたい?”と聞かれたんですけど、“いかれていればいかれているだけいい”と思っていました」
──ファン太さんは“所属アーティストの中で一番トリッキーだ”と言っていました。
「あははははあ。ありがたいです。その要望に応えれるように、トリッキーな曲を作ってくださる方を探してもらって、かてらざわさんにイメージをお伝えしました」
──どんなイメージを伝えましたか? “テンポをとるのが苦手だ”とおっしゃっている方が、またもやポップなパーティーソングですよね。
「そうですよね。でも、セリフ調の歌が好きで、かてらざわさんがアップしている曲もどの曲もセリフっぽい感じがメインだったんです。だから、そういう味を入れつつ、ぱるの元気なパッションを入れてもらいました。かてらざわさんがぱるの動画を見てくださって、テンプレートとなる初稿のような歌詞を作ってくださって。<料理も掃除もなんにもできない>とか、<常識なけりゃやる気もない>は、ぱる要素です」
──そうなんですか!? パルさんは常識ないんですか?
「“常識ある”と思っているんですけど(笑)。でも、韻も踏んでるところなので、ちょっと尖った言い方をした方が面白いと思って。<まんまる可愛い理想図が>は完全にかてらざわ節でぱるはノータッチです。かてらざわさんの要素も残しつつ、<ステーキ食べたいね>は、ぱるが普段から“ステーキが好き”と言っているので、それを取り入れてくださいました。いい感じにかてらざわさんとぱるをミックスして出来上がった曲になっています」
──この曲では<星空みたいな最強アイドル>を目指しています。
「そうですね…はい、そうです! あはははは。歌って踊れるアイドルのような…“アイドル”という概念が夢というか。“みんなに愛されるキャラ”という意味のアイドルになることは夢です」
──かつては“たくさんの人の元気の源になることが夢”とも語っていましたが、ぱるさんのイメージする“最強アイドル”とはどんな存在でしょうか?
「自分の中に芯が一本通っている人かな?…いつも自分のままでいて、自分のことが好きで。みんなもその子のことが好きで、その子と関わると元気になる。それが最強アイドルだと思います」
──ぱるさんはご自身のことが好きですか?
「すごく好きになりました。VTuberを始めるまでは自分のことがあまり好きじゃなかったんです。でも、活動を始めてからは本当に“なんか最強やん!”と思えるようになりました。自分の配信を見返して自分で楽しんでいるくらい、とても自分のことが好きです」
──自分のことを好きになるにはどうしたらいいのでしょう?
「難しいですよね…。でも、誰しも、“これをしてる時は楽しい“ということが絶対に1つくらいはあると思うんです。それがあればいいんじゃないかな?って思います。自分はたまたまそれが仕事になって、今、人生そのものが楽しくなっていますけど、全部が楽しいって無理じゃないですか。だから、”楽しい瞬間が1つでもあれば勝ちじゃん“と思っています」
──ありがとうございます。
──レコーディングはどうでしたか?
「すごく難しかったです。早口があまり得意じゃないというか…早口言葉もできたことがないので、とても難しかったです。しかもイントネーションも独特なところがあって。<まんまる可愛い>のイントネーションも難しかったです。でも、セリフになるとみんなに“すごくいいね!”と言ってもらえたりするので、“歌ってやっぱり難しいんだな”と自覚しました。8割方セリフの曲の方がいけるかもしれないです」
──テンション的には無理なく?
「“やれ!”って言われたらすぐにいけます(笑)」
──では、“何かテンション上げたいな”という時に必要なことも聞いていいですか? “なんか今日はテンション低いなー”みたいな日はどうしていますか?
「二択です。諦めて全脱力して映画を観るか、観客0人のソロライブを家で開催するか。それをやると、手っ取り早くテンション上がります」
──映画の同時視聴もされていますが、そういう時に見る映画って何ですか?
「MARVEL作品です。全作品を観ているくらいにはオタクで。リスナーさんにMARVEL作品を程よく説明しながら一緒に観ているような感じでやっています」
──ヒーローものが好きなんですか?
「いえ、元々はヒーローは好きじゃなくて…。あと、恋愛多めの昔のスパイダーマンも刺さっていないです。そもそも恋愛ものが得意じゃなくて、恋愛系の映画は一切観ません」
──それも珍しいですね。
「恋愛アンチなんです。人のキスシーンが苦手で…MARVEL作品ってそういうのがほぼないので。大人の描写がなくて、カッコよくて、アメリカンジョークが多い。“こんなに面白かったんだ!”となって、そこからはもう沼でした」
──MARVEL作品で、誰が推しとかはあるんですか?
「1つ前のスパイダーマンが推しです。一番新しいスパイダーマンも好きなんですけど…この話、止まらなくなっちゃいそうで怖いので、これくらいくらいにしておきます」
──(笑)。完成した「天晴れパラダイス」を聴いて、ご自身ではどう感じましたか?
「“早っ!”って。でも、お祭りみたいな感じなので、リスナーの人にきっと“楽しい”って感じてもらえると思いました。「猫のギャラクシー伝説」と合わせて聴いてもらって、より元気が出るような曲に出来上がったと思います」
──J STAR RECORD所属アーティストとしてのこれからの目標を聞かせてください。
「勝手に“電波ソングを求められている”と思ってるので、貫いていきたいです。たまに少し雰囲気を変えて違うことをやったとしても、デフォルトはアイドル的なソングを歌っていくのがぱるらしいと思っているので。バラードはあまり似合わないし…」
──何か“これをやりたい!”と思っていることはありまかす?
「3Dライブがしてみたいです。映像だから座席はどこまでも高く作れちゃうので、5階席くらいまで作ってもらって、挨拶したいです。“5階〜!”って」
──(笑)。リアルのお客さんの前でのライブはあまり考えていないですか?
「うわぁ〜、どうだろうな?…ファン太さんに“ステージに立て”と言われたら立つかもしれないです。どういう形で出るのかは難しい問題かもしれませんけど、機会があればやりたいですし、何かしらが実現できると面白いとは思っています。スクリーン越しだったら全然やれるし、“顔を隠したらいける?”と言われたら、まあ半々くらいでやるかな…って思います」
──では、最後にレーベルの今後に何か期待していることありますか?
「いや、“ありがとうございます”の気持ちでいっぱいなので、“これからもお願いします!“しかないです!」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
RELEASE INFORMATION
2025年11月5日(水)配信
宙星ぱる「天晴れパラダイス」