Yahoo! JAPAN

ルヴァン杯長崎戦とJ1福岡戦。ジュビロ磐田の“九州アウエー2連戦”でアピールした選手は?

アットエス

ジュビロ磐田は4月17日にルヴァン杯の長崎戦、20日にJ1リーグの福岡戦という”九州アウエー2連戦”に臨んだ。九州での”Wアウエー”は長崎戦が0−1で敗れ、2回戦でルヴァン杯から去ることに。その長崎戦から中2日の福岡戦も今季9得点目となるジャーメイン良の2ゴールでリードを広げながら、追い付かれて2−2となり、勝ち点1にとどまった。

福岡戦後に横内昭展監督は「もちろん勝ち点3を取りたかったが、アウエーで福岡相手に勝点1を持って帰れることをポジティブに捉えています。一歩、半歩かもしれませんが、積み上げることができたと思って、これをしっかり次のゲームにつなげていきたい」と前向きに語った。

2試合の結果を見れば残念なところもあるが、リーグ戦であまり出番がなかった選手がはつらつとしたプレーでアピールし、リーグ戦の主力組も奮起するという良い効果も見られた。長崎戦の後に合流し、福岡戦に先発した一人である平川怜も「刺激になりましたし、絶対に今日、勝たないといけないと思って臨んだ」と語っていたように、この九州シリーズはチームの活性化に好影響を与えそうだ。

森岡が見せた出色のプレー

多くの選手の頑張りが目についた中でも、特にインパクトが大きかったのはDF森岡陸とMF藤原健介だ。森岡は長崎戦で、今シーズンの公式戦で初スタメンだったが、そこから中2日で福岡戦にも先発起用され、今回のシリーズでは唯一、2試合フル出場となった。

もともと長崎戦にも帯同していた伊藤槙人が、リカルド・グラッサとともに福岡戦で起用される見通しだったが、横内監督は「練習で少し腰を痛めて、今日はプレーできない状態になったのでメンバーから外した」と理由に言及した。

森岡も「準備はしてたんですけど、中2日で出させるのかと・・・やるしかねえなと(笑)」と振り返るが、福岡戦のパフォーマンスは出色だった。2得点したイラン代表FWシャハブ・ザヘディにも直接の対人戦では自由を与えず、攻撃面でも相手のプレスを外して縦に持ち出すなど、意欲的なプレーが目を引いた。何より頼もしかったのが、これまでは個人にフォーカスしたコメントが多かった森岡の口から、チームの課題に向き合う回答が多く出てきたことだ。

「スライドとか、ビルドアップで、もっと俺がリーダーシップを取って、もっとしゃべっていけたらあの失点はなかったと思っている。ちっちゃなところを積みかさねなければいけない」

現在は鈴木海音がU-23日本代表の活動でチームを離れており、伊藤もコンディションが整っていない状況でルヴァン杯の長崎戦、さらに福岡戦とチャンスをもらった形だが、けがに泣かされてほとんど出番のなかった昨シーズンから、主力のセンターバックに名乗りをあげる転機になりそうなシリーズになったことは確かだ。

藤原が福岡戦で2ゴールに絡む活躍

藤原健介は第5節の鹿島戦での途中投入が、今シーズンの初出場だった。そこから3試合、ゲームキャプテンの上原力也と組む形でスタメン起用されており、今回の長崎戦と福岡戦でいきなり評価を高めたという訳ではない。

しかし、ルヴァン杯ではレオ・ゴメスと中盤を組んで、存在感ある組み立てとボール奪取で、チームを前向きにさせると、福岡戦はジャーメインの2得点で重要な役割を果たした。

1点目は藤原がボールを奪い返したところから、松本昌也のクロスボールにジャーメインが合わせる形で、見事なゴールに結び付いた。2点目も藤原がチャンスの起点となる右サイドへのパスを出していた。「直接は見ていないので分からなかったですが、感覚でいるだろうなと思っていたので、そこに蹴ったらちょうど合った」。敵陣深くで再びパスを受けて上げたクロスのこぼれをジャーメインが冷静に流し込む形だった。

「試合を重ねるごとに自信はどんどん付いている感覚はありますし、今日も守備の部分で相手より良い強度でやれていて勝っている回数も多かったので、そういったところは次に繋げられる」

藤原だけでなく森岡にもやや重なる部分として、序盤戦で中盤の主力を担っていたMF中村駿が怪我でプレーできない状態になったことも、こうしたチャンスにつながったことは確かだろう。しかし、シーズンが開幕しても出番が与えられず精神的に苦しい状況に陥っても、下を向かずに継続してきたことが、横内監督の評価と信頼を高めたことは間違いない。

もちろん、上原が心身両面で主軸となっている磐田で、そう簡単にポジションが保証されることはない。それでも現役引退した大津祐樹氏から77番を受け継ぎ「自分たちの世代が引っ張っていかないといけない」と主張する藤原だけに、ここからは試合に出て活躍することにとどまらず、チームを勝たせる存在になっていくことを期待したい。

“逆輸入アタッカー”石田が初出場

キャンプから怪我で出遅れ、リーグ戦で全く出番のなかった川﨑一輝が長崎戦で、左サイドバックとしてフル出場を果たし、韓国から“逆輸入”のアタッカー石田雅俊がようやく公式戦に初登場、磐田の強力な攻撃オプションになりうる片鱗を見せた。また開幕後もしばらく別メニューが続いていたDF小川大貴が、ボランチという慣れないポジションながら、元気な姿を見せたことも明るい材料だ。

福岡戦では森岡に加えて、これまで途中出場の多かった藤川が、スタメン起用に応えて1点目の起点になるなど、アグレッシブなプレーを見せれば、けがで京都戦と名古屋戦を欠場していたDF松原后がベンチ入りし、2−2で迎えた終盤に、古川陽介とともに左サイドを託されて、諦めずに勝ち点3を狙う姿勢を見せた。平川が語ったように、長崎戦が中2日での福岡戦に良い流れを生んでいた。

次節は同じ”昇格組”ながらJ1の首位を走る町田。ここで勝利して、ゴールデンウィークの連戦に勢いを付けることができるか。横内監督の選手起用にも注目だ。

【関連記事】

おすすめの記事