【高知家の後継者募集】 高知県西部の観光スポット足摺岬に立つ家庭的な食事処を引き継ぐ 外国人観光客にも人気の「ケープ」
高知県内で「岬」といえば、足摺岬を挙げる人は多いだろう。昭和の時代は多くの観光客が詰めかける観光地として人気を博していた。
今は往時ほどの勢いはないが、それでも国内はもとより、外国人観光客も訪れるスポットになっており、古いホテルを買収してリゾートホテルにリノベーションする動きも出てきている。
足摺岬といえば、ジョン万次郎で知られる中浜万次郎像が立ち、2020年7月にオープンした水族館「高知県立足摺海洋館 SATOUMI」まで車で30分、
「海中天然ミュージアム 足摺海底館」までも30分ちょっとと、観光スポットに囲まれた場所。
そんな“老舗観光地”に立つ家庭的な人気料理店が「御食事処 ケープ」。
オーナー夫妻の川村泰利さん(77)、久美さん(65)が、35年前に立ち上げ、それ以来ずっと二人三脚で切り盛りしてきた。
泰利さんはこの地域の出身。高校卒業後、大阪などで料理人としての修業を積み、愛媛県で働いている時に久美さんと出会った。
結婚後、四万十市などで賃貸の物件を借り、飲食店を経営、平成元年に今の立地場所に念願の自分の店をオープンさせた。
店の名前の「ケープ」は、四万十市で開業していた時からずっとこの名称。
泰利さんが足摺岬出身だから、岬という意味の「ケープ」にしたという。
ケープという名前から受ける印象は喫茶店的なイメージだが、同店のメニューはどちらかというと、街の“食堂”のよう。
天ぷら定食や焼肉定食などの定食類のほか、カツ丼や天丼、カレーや焼きそば、ラーメンなど大衆メニューがずらりと並ぶ。
来店客は、地元住民はもとより地域内ホテルの紹介で訪れる観光客なども多いそう。
特に人気なのは地元の新鮮な魚を使った刺身定食で、外国人観光客に非常に受けがいいという。外国人用の英語のメニューも完備している。
長きにわたり二人で続けてきた店だが、泰利さんも引退を考える年齢になってきた。
子供たちは全員が県外で仕事を持っており、親族にも引き継ぎ手はいない。
「せっかく築き上げてきた店なので、誰かが引き継いでくれれば」とネットでの情報発信を決断したという。
店舗の広さは約30坪で、定員は30人ほど。椅子のボックス席と小上がりの座敷席がある造りになっており、小規模の宴会には十分対応できそう。
譲渡を希望しているのは、店舗のほか隣接して建っている住宅(約30坪)と、両建物がある約1,100平方メートルの敷地。
これらすべてを一括して譲渡したいという。
「子供たちの成長も、ずっとこの店をやりながら見守ってきました。色々な思い出がつまった店なので、やる気のある方が引き継いでくれたらうれしい」と久美さん。朴訥な泰利さんがその隣でゆっくりとうなずく。
ケープは、足摺岬を貫く「足摺スカイライン」の南端付近に位置する。
店舗前の道を下っていくと、すぐに海沿いの国道につながり、太平洋が真正面に見える。
この雄大な自然に囲まれた地で、おしどり夫婦が築き上げてきた憩いの場所「ケープ」。
その存在をさらに昇華させ、地域に貢献してくれるような有意の人材を求めている。
店舗情報
ケープ
住所:高知県土佐清水市足摺岬1437-1
経営は上手く行っているのに、後継者がいないために廃業せざるを得ない――そんな悩みを持つ企業が全国的に激増し、大きな社会問題になっている。
高齢化先進県である高知県は全国に輪をかけて、事業承継の課題が山積している。
「県内での事業承継を少しでも増やしたい」。このコーナーは、事業を譲りたい人と受け継ぎたい人を繋ぐ連載です。
高知県事業承継・引継ぎ支援センター
連絡先:088-802-6002
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担当:谷、野本