〈奈良みやげ〉こんがり皮で包まれたこしあん 奈良銘菓「さつま焼」(春日庵)
明治30年創業の老舗、一つずつ手焼きされて変わらぬおいしさ
さつまいもを象った手のひらサイズの焼き菓子「さつま焼」。北海道産小豆であっさり味に仕上げたこしあんを小麦粉と卵の皮で包み、一つずつ串に刺して香ばしく焼き上げたお饅頭です。二口三口ぐらいでパクパクと食べられるのですが、その香ばしい薄皮の歯ごたえ、そして口中に広がるなんとも言えないやさしさの甘み♪ 奈良に嫁いできた日から50余年食べ続けているのに一向に飽きません。
さつま焼 1個 155円/抹茶セット620円明治39年の創業から、成形はオートメ化、炭火はガス火になったものの、一本ずつ竹串に刺して火の上を手でくるくる回しながらこんがりとした焦げ目がつくまで焼く作業は、今も続いています。これはお店の販売コーナーから、ガラス戸越しにいつでも見学できます。 その後、冷ましてから和紙風の袋に個包装されるのですが、これも今はオートながら、つい近年までは手作業で一つずつ和紙にくるまれていました。奈良町散策のお供に1個買いもOKです。奈良では手土産や贈答、また慶弔時にも重宝されています。
さつま芋の形をした焼きまんじゅう、大阪住吉で生まれ奈良銘菓に
初代の野崎豊吉さんは、いろいろな菓子を作っていましたが、二代目の大三さんが大阪・住吉大社前の老舗で修業中、職人仲間で考案したのが「さつま焼」。当時の住吉大社の前は大阪湾。その砂地で作っていたサツマイモの蒸し芋が人気だったことから、それをかたどった和菓子を創作したところ人気を呼び、のれん分けの形で奈良へ持ち帰り、今に至っています。
上質の材料の風味を生かした製法で、心を込めてじっくり焼く
北海道産小豆をあっさりめに炊いたこしあんを、卵と小麦粉で練った皮でくるみ、竹串を刺して一本ずつ丁寧に焼く。現在でこそ、あんの成型・くるみは自動化されましたが、昔はオール手作業でした。
「片手のひらであんを皮でくるむのや、備長炭が入った火箱の上でムラなく焼くのは難しかった」と三代目夫人。大三さんが言い続けた「心込めてじっくり焼け。でないといい味は出ない」を、三代目・充亮さん、四代目・勝義さんも引き継いでいます。電熱でローリングしながら焼けるようになった今も、職人さんの目で一本ずつ焼き具合をチェックしています。
上品な味のこしあんと香ばしい皮
小ぶり・持ち運びやすさ・日持ちで人気!
日常のお茶菓子としてはもちろん、慶事・仏事、茶事、手土産と、広く重宝されるさつま焼。
店の歴史同様、四世代にわたる顧客も多いそう。白ザラメで炊き、小豆の風味を残すため、さらし過ぎないこしあんと、香ばしく焼かれた皮との絶妙なおいしさはもちろん、数口で食べられる小ぶりさ、生菓子に比べ持ち運びも楽で、日持ちも1週間、というのがロングラン人気の理由なのだと思います。
1個からでも買えるよ!
店内から焼いているのを見ることができます1984年には、全国菓子博覧会で大臣賞に輝きました。2016年に店舗を改装、工場を店舗裏に移設、2階をカフェに。そこでは、焼きたての「さつま焼」と緑茶やコーヒー、お抹茶などで一服できますし、〝氷の聖地 奈良〟でブームの創作かき氷も大人気です♪
【MENU】
1個 155円
竹皮箱入り(20個入)4,000円
紙箱入(8個入)1,430円
紙箱入(10個入)1,750円
紙箱入(20個入)3,400円
※一口羊羹160円、和風ゼリー135円、栗かのこ250円 等との詰め合わせあり
さつま焼ができるまで
① あんを炊く
北海道産小豆を煮てあく抜きし、さらしあんに。ザラメを使ってあっさりとしたこしあんに仕上げる。
② 包餡(ほうあん)
❶を小麦粉と卵で作った生地が、包餡機を通って出てくる。
③ 成形
❷を一つずつ串に刺して成形する。
④ 塗り
卵黄ドリュールを塗る。
⑤ 焼き
1本ずつ丁寧に焼き上げる。
⑥ 完成
一つずつ袋包装する。
Profile
野崎勝義さんと三代目夫人のカヨさん
長年のファンの皆さんを裏切らない味を守っていくことと、初めての方や観光客など、どなたにも喜んでもらえる「さつま焼」をきっちりと作り続けたい。さつま芋の形なので、いずれは芋あんにも創意工夫して挑戦してみたいですね。
施設情報
名称:御菓子司 春日庵
ふりがな:かすがあん
住所:奈良市中新屋町29
営業時間:9:00~18:00 ※茶房は11:00~17:30(LO 17:00)
定休日:不定休 ※茶房は木曜、第2・4水曜
駐車場:あり
TEL:0742-22-6483