英語に合った「頭の動かし方」とは?基礎からきちんと英文読解【NHK 基礎英語】
暑い夏、涼しい家の中で腰を据えて英語学習に向き合ってみよう、と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんな夏の英語学習の手引きのひとつとして、過去の「基礎英語レベル2」テキストより英語学者北村一真先生による英語学習解説記事の一部を抜粋して特別公開します。
英語の文のしくみって、日本語とはずいぶんちがうなぁ・・・
すらすら読みたいのに、あれ?ってなることが増えてきた・・・
もっと英語が得意になりたいけど、どうすればいいの?
そんなみなさんの疑問や悩みの解決のヒントとしてご活用ください。
動詞の基本パターンから、
文のしくみを理解しよう
英語にふさわしい「頭の動かし方」に慣れていこう
「英語がすらすら読めたり聞けたりできるといいな」と思っている人は多いのではないかと思います。そのためには、英語の話しことばや書きことばを前から順番どおりに理解していく力をつける必要があります。ではどのように学習すればよいでしょうか。いろいろな答え方があると思いますが、そのうちの1つは間違いなく英語の文法の枠組みを頭に入れて、それに沿った考え方ができるようになることです。英語と日本語の文法は基本のところからかなり異なっているため、英語にふさわしい頭の動かし方をするには一定の練習が必要になります。たとえば、「ジョンが部屋を掃除した」という文を考えてみましょう。
ジョンが 部屋を 掃除した
S O V
John cleaned the room.
S V O
「誰が?」に当たる部分が文の最初に来ている点では英語も日本語も同じですが、それ以降が違います。日本語では「何を?」に当たる「部屋を」が先に、「どうする?」に当たる「掃除した」が最後に来ていますね。これに対して、英語では「どうする?」に当たるcleanedが先に来て、「何を?」に当たるthe roomが最後になっています。文法的に言うと、日本語はS(=主語)O(=目的語)V(=動詞)という語順になっているのに対し、英語はS(=主語)V(=動詞)O(=目的語)という語順になっているということです。これは偶然ではなく、基本的にほとんどの日本語、英語の文に当てはまるルールです。
「動詞」が出てきたところで、次の展開を予想・推理する
何を当たり前のことを、と思われるかもしれません。しかし、英語の構造に沿って頭を動かすことができるようになるためには、この違いをきちんと理解しておくことが重要です。前の段落で見たとおり、日本語では「どうする?」に当たるVの部分が普通は最後に出てきます。つまり、「ジョンが部屋を掃除した」という文を読んでいる人は、「掃除した」ということばが出てきたところで、この分が伝えたい情報はすべて出そろったと安心して一区切りつくことができるわけです。
一方、英語ではそうではありません。cleanedが出てきた時点ではまだ重要な情報が欠けているため、後に何が続くのかと身構えている状態です。さらに言うと、動詞のタイプによって後ろに続く形もある程度決まってくるので、cleanedというVの性質や意味を考え、「何を掃除したのか?」と続く内容を予想することが必要になります。日本語と違い、Vが出てきた時点で未解決のことがたくさんあるということであり、英語をスムーズに読んだり聞いたりするためにはこの点に慣れなければなりません。
北村 一真
きたむら・かずま 英語学者。杏林大学外国語学部准教授、中央大学法学部兼任講師。慶応義塾大学大学院後期博士課程単位取得満期退学。学生時代に大学受験塾で難関大学対策の英語講座を担当。著書に『英文解体新書』『英文解体新書2』(研究社)、『英語の読み方-ニュース、SNSから小説まで』(中公新書)など。
※2022年4月時点の情報です。