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Immigrants 移住者たち 何を求めて、何をするか〈横須賀市〉

タウンニュース

ZINE『ヨソモノ』横須賀ぐらし。を発刊するライター 木内アキさん

観察者の視点でまちを見る

その土地にしがらみのない”ヨソモノ”の視点で住むまちの魅力を捉えていく──。それが何かの言語化を試みたZINE(私的な小冊子)を今春、発刊する。タイトルは「『ヨソモノ』横須賀ぐらし。」。居場所を持ちながら、コミュニティやチームといった明確な所属をもたない移住者の木内アキさんが、「ナカとソトを自由に行き来できる立場を利用して横須賀を切り取っていく」ものだ。基地の街、自然豊か、海軍カレーとネイビーバーガー…。多くの人に浸透している固定観念や思い込みの枠を超える事物を提示して、新たな気づきを与えていく。

人を軸にしてモノやコトを伝える文筆業を生業にしている。今から5年前、「東京を出たい」というクリエイターの夫の提案で新たな住まい探しを始めた。西東京、相模原、小田原と候補地の物件を訪ね歩き、「たまたま来てみた」横須賀にたどり着き、心地よいフィット感を得た。横須賀中央では米軍属にスーツ姿の人、白い制服に身を包んだ防大生、親子連れ、年配者が通りを闊歩。”ごちゃ混ぜ”の日常が「横須賀」にしかない風景に思えた。現在、暮らす衣笠城址近くの立地は、使い古された言葉で表せば、静かでスローな時間が流れる環境といったところだが、満ち足りた都心とは異なる生活のリアルを身近に感じることができた。当人はそれを「他人事ではいられない」と表現。地域経済が後退すれば、公共サービスが縮小し、ごく身近なところではバスの運行本数が減らされてしまう。主体性を持って地域と関わることが必須な環境だという。

横須賀が抱える最大の課題である「人口減少」対策にも一家言ある。今回の冊子はそれをテーマに選んでいるわけではないが、提言としてのニュアンスは含んでいる。「私自身を含め、横須賀を面白がっている移住者が、何を気に入ってこのまちを選んでいるかのリサーチでもある」。総花的なアンケート結果でなく、数値化できない定性を捉えることが大事というのが持論。観察者の視点で発信していく。

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