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釣り好きが実際に行った夏休みの自由研究【自然界にメダカはいないのか探してみた】

TSURINEWS

自然界に天然のメダカはいるのか(提供:TSURINEWSライター・泉陽登)

この時期になると思い出すのは自由研究。当時の自分は宿題を放棄してずっと釣りをしていた記憶があります。そんな自分はどんな自由研究をしていたか。そこはやっぱり魚に関することをテーマにしていました。その中の一つとして、印象深く残っているのはメダカに関する自由研究。今回は、自分が小学生の時に行ったメダカの自由研究の内容をざっくりとした形で語ろうと思います。

そもそもなぜメダカ?

自由研究の題材にメダカを選んだ理由。それは家で飼っていたメダカが品種改良、つまり人工的に造られた魚だと知り、“普通”のメダカはどこにいるのか気になったからです。品種改良のメダカがいるなら、普通のメダカもホームセンターやアクアリウム屋さんにいるものだと当時は思っていました。

自分が考えていた“普通のメダカ”とは川や池で泳いでいる、いわゆる“自然の中にいるメダカ”のことです。しかしショップで売られているのは品種改良されたメダカたちだけで、店員さんになぜ普通のメダカを売っていないのかを聞いても分からないとのことでした。

売られていないのなら、どこにいるのだろう、自然の中でしか会えないのかとぼんやり考えていた時に店員さんが、「そのメダカがどこにいるのか自由研究でやってみたら?」と言われたのをきっかけに、“自然のメダカはどんな場所にいるのか”という題目で自由研究を始めました。

かなりフワッとした形ですが、小学生だった頃の自分ができる精一杯の考えだったのでそこはご愛嬌。

メダカ(提供:TSURINEWSライター・泉陽登)

メダカの生態

メダカの名前は知っていても、生態については詳しく知らなかったのでまずは調べることに。当時小学生だった自分が、メダカについて調べる方法は図書館に行くことでした。いくつか図鑑を調べると、自分の知らなかったことがたくさん知れて楽しかったことを今でも覚えています。

かなり分厚い魚の図鑑をいくつかめくり、生息している場所や地域、食べるものなどを調べているうちに、とても衝撃的な事実を知りました。それは、メダカが絶滅危惧種のリストに載っていたことです。

メダカが1999年に絶滅危惧種2類に指定されていたことを当時初めて知り、ホームセンターやアクアリウム屋さんでなぜ売られていないのかが子供ながらに理解できました。

自転車漕いでメダカ探し

メダカは全国の水田周辺の水路に生息しているが、絶滅危惧種のリストに載っているため商業、観賞目的では売られておらず自然の中でしか出会えない。この時点で自由研究内容の大半が終わることに。

しかし、自分はどこかもどかしい気分でした。どうしても本当にいるかどうか知りたい、調べたことが本当かどうか確かめたいと思っていました。そこで、親に無理を言って一緒にメダカを探しに行ってほしいとお願いしました。

本来ならここで終わりにしてもいいのですが、どうしても普通のメダカを見たかったため、実際に探しに行くことにしました。

メダカがいそうな水路(提供:TSURINEWSライター・泉陽登)

ついにメダカ発見

図鑑の生息場所は大半が水田周辺の水路だったので、自転車を漕いで田んぼ道へ。何匹かは見つけられるだろうと思いましたが、いくら探してもメダカは見つからず、絶滅危惧種だということはあながち間違いではないと思い知らされました。

なかなかメダカが見つからない(提供:TSURINEWSライター・泉陽登)

ようやくそれらしい魚を見つけ捕まえたと思ったのも束の間。その大半がカダヤシと呼ばれる外来魚で、その他はクチボソの子供などでした。

しかし、最後に探した水路でやっとメダカらしき姿を確認。網で捕まえ観察したところ、紛れもなくメダカでした。自然の中にいるメダカを見たのはこの時が初めてで、すごく新鮮な気分でした。

ついにメダカを捕まえた(提供:TSURINEWSライター・泉陽登)

その場所は今でもお世話になっている釣り場で、今も変わらずその生態系を保っている貴重な場所です。

何故いなかったのか

メダカを見つけられて満足な自分でしたが親から、「なんでメダカが全然見つからなかったのか調べてまとめた方がいい」と言われまとめることに。自由研究は宿題なので、心配していてくれていたのでしょうが、正直かなり面倒がっていた記憶があります。そんな自分を、親がなだめながら一緒に作業してくれたことを今でも覚えています。

最初にまとめたのは今でも問題の外来種。外来種として真っ先に思いつくのはブラックバスやブルーギルといった魚でしょう。しかし、外来種が問題視されるのは、在来種の食物や生存空間を奪うことです。

そのため、カダヤシといった小魚でも環境に影響を及ぼしてしまう恐れがあります。在来種の危機的状況は今でも変わらず、対策が進んでいないのも事実。この問題が解決するのは当分先になりそう……。

土地開発と農薬にも原因があるかも

次は土地問題。メダカがいなかった水路はコンクリートで整備された場所で、メダカが生息するために必要な水生植物がない状態でした。現代の河川では、コンクリートで整備されていたとしても、植物が生い茂る場所はあります。そのため、メダカにとっては何もないよりかは幾分マシでしょうが、最適な環境とは言い難い状況です。

コンクリート護岸はメダカが住みにくい(提供:TSURINEWSライター・泉陽登)

そして、家族が調べてくれた中に農薬問題がありました。農薬を使用することで、水に薬が溶けてその成分が生き物を死滅させるといったものでした。探した場所には、メダカでなくとも魚はいたため、メダカがいない原因としてみるには可能性的は低かったですが、一応書くことに。

メダカがいなかった原因として、外来種、土地開発、農薬と3つの原因についてまとめた形で自由研究は終わりました。今思えばこれらの問題は全て人為的なものだと考えられること。問題提起しても、その原因の根本には“人間”が関わっていることは、現代でも同じことが言えます。

当時の自分が感じたこと

普通(自然)のメダカはどこにいるのかという好奇心から始めた自由研究。結果として、自然界が壊されていることが知識的にも体感的にもわかる自由研究になりました。

当時の自分としては、とても複雑な気分でした。かなり早い段階で色んな釣りを体験し、様々な魚を釣ってきました。その中にはブラックバス、ブルーギルといった外来種もいます。

それだけでなく、普段から目にする魚も外来種に含まれていることを図鑑で知った時はものすごく驚いた記憶があります。ニジマス、タイリクバラタナゴ、ハクレン、ソウギョ、アオウオ、そして何気なく川や水路で見るコイなど。釣って喜んだ魚が外来種で、本来ある環境を危機的状況へと変える要因があると考えた時、モヤモヤが止まらなくなりました。

自由研究で新たな問題に気づけた

その日から魚たちに対する考えが変わり、釣れたら喜んでいいのかどうかが分からなくなった時も多々ありました。

外来種だけでなく、土地開発や農薬問題などで魚の居場所が奪われることに自分はどうすることもできず、一人悶々としていました。この問題を解決するにはどうすればいいか、当時小学生だった自分にはあまりにも難しい問題すぎて答えを出すことはできませんでした。

今でもはっきりとした答えはないですが、まずは人間が少しずつ変わるのがいいのではと思います。人間中心に物事を考えていることがそもそも違い、本気でこうした問題を解決するには人間を最優先にしないことから始める。

そうしない限り、このような問題は解決できないのではと今の自分を思います。みなさんはどう感じているでしょうか。今回の話が参考になりましたら幸いです。

<泉陽登/TSURINEWSライター>

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