日本初のエコロジー・パーク「生態園」開園35周年!千葉県立中央博物館で記念展示 6月8日まで開催中【千葉市中央区】
千葉県立中央博物館の敷地内にある日本初のエコロジー・パーク「生態園」が開園35年を迎え、ユニークな展示会を6月8日まで開催中です。
守り育て調べ続ける研究員たちの頑張り
1989(平成元)年、初代館長の故・沼田眞氏が英国のエコロジー・パークや米国のアーボリータムを手本に日本初の「エコロジー・パーク生態園」を造りました。
千葉市の畜産試験場跡地の6・6ヘクタールの造成地に房総の木や草を植え、多様な自然を再現しました。
開園から35年以上過ぎた今も、園は変化を続けているといいます。
舟田池方式と名付けられたザリガニ退治
この森を造り、守り、育て、調べ続けてきた研究員たちの頑張りと成果を見るユニークな展示会が現在開催中です。
案内してくれたのは展示課研究員の西内李佳(りか)さん。
南房総の森を木や草や土までも移植しようと踏ん張った研究員、アオコを封じるために「舟田池方式」という新方式を編み出した研究員、いろいろなワナで昆虫1000種以上発見した研究員など…展示会では独自の研究方式を惜しげもなく披露しています。
ある研究員は数千本の樹木の幹回りを一本一本測り、森の発達の程度が、35年かかって自然林に匹敵する値になったという、想像を超える時間と労力を使った調査方法と結果を展示しています。
ようやく「大人」になった生態園は、豊かな生態系を都市の中で気軽に体験できる場所として、千葉県の自然を学べる生きた野外展示場として、これからも研究員たちとともに存在感を増していくことでしょう。
(取材・執筆/マット)
【研究員のエピソード】
研究員N
鴨川市の開発予定地の森を土まで丸ごと移植したら守れるのではと考えた。
研究員H
91年3月にアカマツ林をつくったが99年秋ごろマツ枯れを発見。伐採したら雑木林に変貌してしまった。
研究員Y
海岸植生の予定が内陸の草が増えてしまい、海水と同じ塩水をまいて実験。結局、雑草を1本ずつ除去する。
研究員H2
「森の中が暗くて怖い」と女の子に泣かれ、ペーパークラフトのおみやげ付きのワークシートを発明。
鳥類担当O
関東南部特有の、目の上の眉毛のような模様が薄い、またはない珍しいエナガを生態園でも発見。
研究員N2
外来種のシュロの伐採に手を妬き、シュロが実をつけ鳥が食べて運ぶ前や幼苗の間に処分した。また、木登り研修を受け高所の枝落としはお手のものだとか。
研究員H3
舟田池にアオコが発生。原因はアメリカザリガニの大量発生と特定。駆逐するために池の水量を調整しザリガニをサギなどが取りやすくする水位攪乱(かくらん)「舟田池方式」を編み出す。
研究員T
他の研究員と共にいろいろなトラップで1000種以上の昆虫を発見、中には希少種も。
期間内イベント
【観察会】
5月17日 湿地再生の現場を裏方からのぞく
6月1日 生態園のモデル植生現地ツアー
6月7日 生態園で身近な鳥を観察しよう
【講座】
5月5日 プランクトンの小宇宙をのぞく
6月21日 小型きのこをみつけよう
【ミュージアムトーク】
4月19日、5月6日、5月25日、6月15日
同時開催ミニ展示
生態園から始める房総の自然観察
~6月29日
生態園オリエンテーションハウス
入場無料
「房総のミニチュア生態園」展
ホームページ/https://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/exhibition/events/event-12962/
同時開催ミニ展示
ホームページ/https://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/exhibition/events/ep-boso_2025/
「房総のミニチュア生態園」展
場所/千葉県立中央博物館
住所/千葉県千葉市中央区青葉町955−2
会期/~6月8日(日)
時間/午前9時~午後4時30分(最終入館午後4時)
休館日/月曜日(祝日の場合は翌平日)
入場料/300円、高大生150円、中学生以下と65歳以上、障がい者は無料
問い合わせ
電話番号/043-265-3111 同館