市民病院の経営改革説明会 早くも「やり直し」求める声
2027年4月に医療法人伯鳳会による指定管理へ移行する方針が固まった赤穂市民病院の経営改革に関する市民説明会が17日から始まった。
牟礼正稔市長ら幹部職員が経営形態を移行するに至った経緯や理由などを説明した一方、移行後の収支見通しの資料はなく、出席した市民からは「もう一度説明会を開いてほしい」と早くもやり直しを求める声が出た。
説明会は赤穂市の主催で来月2日まで市内各地区公民館9か所で開く。初日は上仮屋南の城西公民館であり、牟礼市長と溝田康人副市長をはじめ市長部局と病院から関係部署の幹部職員が出席した。
説明会で市は、現行の経営形態を今後も持続した場合、今後5年間の平均で年17・4億円の赤字が生じ、実質的な市の負債が毎月1億円ずつ積み重なっていくと説明。「一般会計でこれ以上支えるのは困難で、安定的かつスピード感をもって経営形態の移行手続を進める必要がある」とした。
伯鳳会について▽赤穂市内で長きにわたり病院を運営し安定的な医療を提供しており、地域の医療環境を熟知▽療養機能および介護老人保健施設を有しており、法人内でスムーズに連携できるーなどとし、指定管理者を公募せずに同法人に絞って契約交渉を進める考えを示した。
その上で、指定管理移行後の市民病院について、▽現在の場所で公立病院として存続し、市民病院のすべての診療機能の維持を目指す▽中央病院の外来と救急を市民病院に統合▽医療費は厚生労働大臣が定める診療報酬により決定するので増えることはない▽民間の経営ノウハウやスケールメリットを活用し、より安定した質の高い医療サービスの提供と効率的な運営を図るーなどと説明。契約期間は「10年を想定している」とした。紹介状のない患者の初診時にかかる選定療養費は「県、国との調整、地域の医師会の了解が必要だが、取らない方向で調整している」とした。
経営形態の移行に伴って市民病院から伯鳳会に移籍する医療従事者の処遇については「一定期間の現給保障を考えている。できる限り今の待遇を維持するよう努めていく」とした。今後実施する職員アンケートで移籍希望者の見込みを確かめた上で、保障期間を設定するものとみられる。
質疑応答では、「中央病院に丸投げというのはどうなのか」「公立病院として維持することの市民にとってのメリットが見えない」といった意見があり、牟礼正稔市長は「丸投げではない」「赤穂市のコントロールが効くようにやっていきたい。民間に売り渡してしまうと物を申せない」などと答弁。「これだけの赤字を積み重ねたことについて謝罪があってしかるべき」と責任を問う声には「反省点はある」としたものの、謝罪の弁はなかった。
また、「なぜ経営が悪化したのか解析がない」「今後の収支がどうなるのか。精査した上でもう一度説明会を開いてほしい」との批判や要望があり、市は「今回は方向性を説明した。収支バランスの資料がなかったことはおわびする。現時点で決まっていないことが固まれば、収支がある程度見えてくるかと思う」としながらも、説明会のやり直しについては「検討したい」と答えるにとどめた。
今後の説明会の開催日程は次のとおり。開始時刻は午後6時半(市民会館のみ午後2時)。問い合わせはTEL43・6985(病院特命担当)。
▽18日(火)=高雄公民館
▽19日(水)=尾崎公民館
▽20日(木)=有年公民館
▽25日(火)=塩屋公民館
▽26日(水)=赤穂西公民館
▽28日(金)=御崎公民館
▽29日(土)=市民会館
▽12月2日(火)=坂越公民館