【地震や豪雨など災害時に役立つサバイバル術】家にある身近なもので身を守る9つの知恵とは?
南海トラフ地震臨時情報や豪雨など、日頃の備えを再認識する中、アウトドア雑誌「OUTDOOR」元編集長が伝授!
南海トラフ地震臨時情報や豪雨災害など、日頃の備えが大切だと再認識する日々が続いています。今回は「災害時に役立つサバイバル術」と題し、不測の事態に役立つ9つの知恵を雑誌「OUTDOOR」元編集長の小林孝延さんに聞きました。聞き手はSBSアナウンサー近江由佳。
<目次>
1.新聞紙はダウンに匹敵する保温力あり
2.ゴミ袋で作るポンチョ
3.ポリ袋で作る簡易長靴
4.段ボールは快適万能素材
5.アルミ箔は万能キッチンツール
6.水道水をペットボトルで長期保存
7.ポリ袋でご飯を炊く
8.レトルト食品の消費期限の落とし穴
9.常設簡易トイレを作ってみる
近江:キャンプでのサバイバル術は災害時にも役立つことが多いと思います。早速、小林さんがおすすめする9つのサバイバル術を教えてください!
1.新聞紙はダウンのような保温力あり
小林:まずは新聞紙です。新聞紙は非常に使い道が広く、アウトドアでも持って行くと便利です。クシャクシャと丸めると空気の層ができ、保温性が高くなります。それを服の中に入れるだけでダウンジャケットと同じ原理で保温力を持つので、緊急時の寒さ対策に有効です。
近江:新聞紙を捨てずにとって置くことが大事ですね。
2.ゴミ袋で作るポンチョ
小林:次はゴミ袋です。ポリ袋は防水性があるので、袋の底に首が出る穴、両脇に両手が出る穴を開けてかぶると、それだけで雨合羽のような形になります。腰の部分を紐で縛れば風よけにもなります。
体を温めるために一番大事なのは風を通さないこと、雨に濡れないことです。合羽がない時は簡易的にゴミ袋を被せることで緊急時に短時間であればポンチョ代わりになるのでぜひ試してみてください。
3.ポリ袋で作る簡易長靴
近江:3つ目はレジ袋で作る長靴ですね!
小林:足元が濡れると不快感が非常に強くなり、体温も奪われやすくなります。災害時で一番危険なのは体温低下なので、夏場でも濡れないことが非常に大事です。
足元の防水にレジ袋が有効ですが、この時、靴の上からレジ袋を履くのではなく、靴下の上にポリ袋を履き、その上に靴を履くのがポイントです。そうすると、破れにくく、足元の快適性が保たれ、体温も奪われにくくなります。
近江:靴下の上からポリ袋を履くんですね!覚えました。
小林:足元をガムテープで留めるとなお安心ですね。
4.段ボールは快適万能素材
小林:4つ目は段ボールです。段ボールは緩衝材として作られているので、最初から空気の層が入った構造になっていて、非常に保温性・断熱性が高いです。
何枚か家にストックしておくと、ガムテームでつなぎ合わせれば保温シェルターになったり、床に重ねて敷くとべットマットの代わりになったり、目隠しや間仕切りにも使えて使い道が多いです。
近江:しっかり取っておいて、いざという時に使いたいですね。
5.アルミ箔は万能キッチンツール
小林:5つ目はアルミ箔です。私も必ずキャンプ道具や災害グッズの中に入れています。重ねて使えば簡易的なフライパンの代わりになり、目玉焼きを焼くこともできます。丸めて形を作れるので、食器にも鍋のふたにもなります。
使い終わったら、くしゃくしゃに丸めれば金たわしの代用にもなるので、汚れ物を洗うこともできます。懐中電灯やろうそくの後ろに置いておくと反射板になって明るくなったり、焚き火の周りに陣幕のように置くと輻射熱で暖を取ることもできます。懐中電灯の電極などの応急修理に使うこともできます。
近江:そんなに使い道があるなんて面白いですね。たわしになるのは想定外でした。
小林:少ない道具もそれぞれ複数の使い方をして最後まで使い切るという発想を持っていると、いざという時に役立つと思います。
6.水道水をペットボトルで長期保存
近江:続いて6つ目は水道水をペットボトルで長期保存ですね。
小林:実は水道水もちゃんと工夫をすれば長期保存ができます。飲み終えてよく洗浄したペットボトルに水をすり切り1杯入れてふたをすれば、東京都の場合は常温で3日、冷蔵保存で7日間は大丈夫と発表されています。
日頃から水道水をペットボトルに入れておく習慣をつけておくと報道を聞いて買いに走るなどパニックにならなくていいと思います。
7.ポリ袋でご飯を炊く
小林:7つ目はまたポリ袋です。ポリ袋でご飯を炊くと水や燃料を節約ができます。耐熱性のあるポリプロピレン、保存用のジッパー付きポリ袋などに水と米を同量入れ、口をしっかり締め、水を入れた鍋に入れて20分程度炊きます。沸いた湯は他の用途としても使えます。
近江:なるほど〜!
8.レトルト食品の消費期限の落とし穴
小林:次はレトルト食品です。日常の食事、そしてキャンプから非常食まで大活躍のレトルト食品ですが、消費期限に差があることは案外知られていません。
メーカーや製法で多少の差はありますが、トレーに入って透明なフィルムでふたされているものは短く、中の見えない袋に入っているものはかなり長い傾向があります。防災袋の中身は時々チェックし、期限が近いものは、アウトドアで実際に調理、試食をしてみてください。
近江:家に帰って早速チェックします!
9.常設簡易トイレを作ってみる
小林:次はトイレです。一番の心配事といえばトイレだと思いますが、簡易トイレを作る方法として、座面を外したいすとバケツを使って作るのがおすすめです。基本はバケツにポリ袋を広げて、汚物を毎回処理することになりますが、抗菌凝固剤を使う衛生的な「携帯トイレ」も販売されています。いすのフレームにタオルを巻いたり、シートや着替え用テントで目隠しをすれば一時的に用を足すことは可能です。
近江:トイレは確かに気になっていました。もしもの時に備えてどこでもトイレができるように女性はワンピースを準備しておくのもいいですね。
※2024年8月22日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。今回お話をうかがったのは……小林孝延さん
1967年福井県出身。編集者。エッセイスト。出版プロデューサー。学生時代から趣味だったアウトドア雑誌の読者モデルを経て出版の世界に。月刊誌「OUTDOOR」編集長をはじめ多数のアウトドア雑誌、ムック、書籍をプロデュースする。その後女性向け生活誌のフィールドへ転身。月刊「天然生活」を創刊して「暮らし系」と呼ばれる新しい女性誌カテゴリーを創出した。その後フジテレビ発行の月刊「ESSE」の編集長に転身。料理と暮らしをテーマにした雑誌、書籍を多数プロデュースする。料理レシピ本大賞入賞および部門賞(2016年・2019年・2021年)ほかこれまでプロデュースした料理ムック・書籍は1000万部以上の販売実績がある。