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【ピエール瀧が行く ファンキー!公園】調布市・狛江市「多摩川住宅」敷地内にあるバラエティーに富んだ公園群〈前編〉

さんたつ

_MG_1491のコピー

ピエール瀧さんと一緒に公園の魅力を探求していく「ファンキー!公園」!今回は、東京都調布市/狛江市の「多摩川住宅」敷地内からお届けします。

多摩川住宅敷地内の公園

ピエール瀧

1967年、静岡県出身。1989年に、石野卓球らと電気グルーヴを結成。音楽活動の他、俳優、声優、タレント、ゲームプロデュース、映像制作などマルチに活動を行う。近著は『ピエール瀧の23区23時 2020-2022』(産業編集センター)。

派閥ができそうなくらい、バラエティーに富んだ公園群

—— 今回は、調布市と狛江市にまたがる団地、多摩川住宅にやってきました。団地マニアにはとても有名な場所でして、敷地内にはいくつか公園があるのですが、遊具がどれもユニークでファンキーということで。一気に巡っていこうと思います。

了解。ここはいつできたの?

—— 1964年に建設開始、66年から入居が始まったそうです。特撮ドラマ『スペクトルマン』のロケも行われたそうです。

『スペクトルマン』の放送って71年だっけ? その時代の団地か。こんだけ団地の棟が建ち並んでるのに、音がほとんど聞こえないな。なんにも生活音とか聞こえないってことは、入居者の平均年齢が結構高そう。で、ここは「宇宙公園」っていう小さい公園だけど、それぞれの公園に名前がついてるんだね。この遊具が宇宙ってことかな?

どうやら昭和のコンクリ遊具が息づく公園群ってことだろうな。今の基準だとこういうの作れないだろうし、むしろ今だとこっちの方がコストかかるんじゃない? 今日はこういうのを巡る感じね。

—— そうですね。数が結構あるんで、テンポよく移動しましょう。

じゃあ次行ってみよう。ここは「かえる公園」か。カエルの遊具があるけど、さっきもあったよね。うわ、あれは何だ!?とっくりみたいな形のヤツ。

—— あれは給水塔ですね。団地全体で5基あるそうです。

あっちの方にも見えるけど、あれがこの団地のトレードマークなんだな。レトロ感満載だね。幼稚園がある。なんかこっちのかえる公園の方が宇宙感あるな(笑)。あ、このキノコのテーブルのやつ、うちの実家近くにもあった! なんか懐かしい感じの手触り。俺が子供の頃からだから、多分50年はこのまんまだよね。この異常なまでのキノコの密集ぶりはちょっと面白いな。このたたずまいはさ、昭和40年前後の業者の仕業だね。

—— 団地ができたばかりの時は、子供たちが集まってにぎわったんでしょうね。

まあね。子供の数も多かっただろうしね。今来ると懐かしい感じを覚えちゃうけど、できたばかりの頃はこういう団地はちょっと未来っぽい趣があったんだろうね。清潔で現代的な生活をっていう感じ? 敷地内にポツポツ置いてあるオブジェとかそんな嫌じゃないもんね。しかし広大な団地だな。当時は一大プロジェクトだったんだろうね

文化的生活を想起させるデザインやレイアウト

—— 続いてこちらが「大公園」です。

広場じゃん、もう。「バザーやります!大公園に集合!」みたいな感じある。あ、でも鉄棒だけあった。

鉄棒をあの向き(動線に対して直角)で配置したのは、若干の意地悪さがある気がするけどな(笑)。俺の実家の近所の公園もこの感じの鉄棒だった気がする。ここにもオブジェがあるな。

あの給水塔やこういう遊具見てると、当時の移住者にアート作品と暮らすみたいなプレゼンをしてる感じがちょっとするよね。文化的生活をちゃんと標榜してるっていうか。

だって木もさ、ちゃんときれいに公園や建物を囲むように配置してあるじゃんか。ここは団地マニアの間で人気が出るのは分かるなあ。もちろんここも当時のゼネコンが造ったんだろうけど、それだけじゃなくてなんか都市デザインを感じるよね。

—— あそこがこの団地の真ん中ですね、スーパーのコープがあります。

ちゃんとそういう商業施設もあるんだね。テニスコートとかもちゃんとある。

—— 1回道を渡ります。それで、ここが「ぐるぐる公園」ですね。なんにもないんで次に行きましょう。次が「やま公園」。新しめの遊具が多いんで、ここは子供がいっぱい遊んでますね。

そうだね。キッズがいっぱい遊んでる。俺としてはもっとコンクリ遊具が多い方がうれしいけど、小っちゃい子たちにしてみたらここはうれしいだろうな。ここはキッズが集うゾーンだね。

—— 次の公園は「さんかく公園」です。

丸じゃんか(笑)。どこが三角なの?

—— どうやら昔は三角の形をした遊具があったみたいです。

なるほど。三角のジャングルジムとかかな。でもさ、ここある意味団地の完成形じゃない? 高島平とか巨大な団地っていうのはもっとあるけど、このコンクリート遊具を考えたり、設計しながらデザインしたりって本当に楽しかったと思うんだよね。自信を持ってお送りするこの多摩川住宅!って感じするもんな。

—— で、ここが「ぐるぐる公園」part2ですね。ここも新しめの遊具が揃ってますね。

そうだね。でも、あんまりアクティブじゃない子が、この遊具の上で「ドラえもん」を読んでる感じがするっていうか(笑)。邪魔されたくないみたいな。アクティブな子たちはさっきの「やま公園」に行って、運動したい派はちょっと違うところ行ってさ。「今日はどこどこ集合〜」みたいな派閥とかあったんだろうな。女子がよく集う公園とか。そういうのもこの団地内でありそうな気がする。なんか独自なルールがあって、それをみんな守ってそうじゃない? 公園の色がそれぞれ全然違うもんね。

—— 今いるのは分譲エリアなので、それも影響してるかもしれないですね。

なるほど、それもあるかもね。ここって今いくらくらいなんだろうな。エレベーター無くて階段だけだから、その辺はなんかネックになりそうだね。駅からもまあまあ遠いし。これで今団地の半分くらいきたのかな?

—— そうですね、ここの大きい道路が、団地の真ん中を通っている多摩川住宅中央通りです。向こう側に渡って、また次の公園に向かいましょう!(後編に続く)

多摩川住宅敷地内の公園

水飲み場:なし トイレ:なし
自販機:なし  灰皿:なし

多摩川住宅敷地内の公園
住所:東京都調布市染地3-1-115 ほか/アクセス:京王電鉄京王線国領駅から徒歩15分

構成=カルロス矢吹 撮影=横井明彦
『散歩の達人』2025年4月号より

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