ドイツ人が1年で最も楽しみにしている季節 ~アドベントとクリスマス【しあわせ気分のドイツ語】
テキスト『しあわせ気分のドイツ語』から、イラストレーター・高橋ユウさんの連載「ドイツライフ in ドルトムント」をご紹介します。
テーマは、ドイツのクリスマスについて。ドイツの人達にとって、クリスマスとその準備期間であるアドベントが1年で一番ワクワクする季節だそうです。
ドイツの静かなクリスマス
街がクリスマス色に変わり始める11月。ドイツ人が1年で一番楽しみにしている季節がやってきた。ドイツのクリスマスは12月24日から26日までの3日間。だがその前の「クリスマスを楽しみに待つ期間」に触れずにドイツのクリスマスは語れない。クリスマスイブ前までの4回の日曜日ごとに1本ずつ蠟燭に火をともしてクリスマスを待ちわびるアドベントクランツ、クリスマスイブまでの日めくりカレンダーことアドベントカレンダー、幼稚園や学校、親しい友人間で行われるクリスマスお茶会、クリスマスクッキー作り、プレゼントの購入などイベントが盛り沢山。クリスマスを迎える準備に追われながらも、それを通じて家族や親しい人達と交流し、多くの時間を共有する。それはもはや宗教行事を超えたドイツの文化であり、そんな時間をドイツの人達はとても大切にしているのだ。
そしてドイツと言えばやはりクリスマスマーケット。寒くて暗いドイツの冬を吹き飛ばすかのように、美しく温かい明かりが街中にともり、ホットワインを片手に大切な人達と賑やかな楽しい時間を過ごす。そして12月24日の昼頃までには大抵が終わりを告げる。なんとクリスマスの日には本場ドイツのクリスマスマーケットは閉まるのだ! さらにスーパーもデパートもどこもかしこも閉まり始め、街は静寂に包まれる。あのクリスマスまでの賑やかさと忙しさが噓のような静けさ。いよいよ「クリスマス」が始まるのである。
静けさの中、教会の鐘の音だけが静かに響き渡り、家族や大切な人と幸せな時間を過ごす。この1か月間の怒濤のクリスマス準備期間を駆け抜けた、疲労感と安堵に包まれながら。賑やかな日本のクリスマスとは真逆の、ドイツの静かなクリスマス。それは日本の除夜の鐘を聞きながら新しい年に想いを馳せる空気と不思議と似ている。
イラスト・文:高橋ユウ(たかはし・ゆう)
イラストレーター。愛媛県生まれ。2人の男児の母。2015年より6年間、家族でドイツ、ドルトムントに暮らす。ホームページでドイツでの暮らしや個展情報などを発信。「OZmagazine」(スターツ出版)や「キンダーブック」(フレーベル館)、『Eile mit Weile会話ではじめるドイツ語文法』(三修社)など多くの雑誌や書籍でイラストエッセイや漫画を発表。https://www.takahashiyuh.com/
◆『しあわせ気分のドイツ語』2024年12月号
◆イラスト・文 髙橋ユウ