大谷翔平選手も愛する「岩泉ヨーグルト」、どうして龍のキャラか知ってる? 本拠地「岩泉」に行ってきた!
MLBワールドシリーズ優勝も記憶に新しい世界的アスリート、大谷翔平選手。岩手県出身の同選手が、インタビューで県の名物を聞かれて「岩泉ヨーグルト」を挙げたエピソードは有名だ。
コメントを受けて岩手県外でも人気沸騰。キュートなドラゴンがプリントされた乳製品たちは、全国的な知名度を獲得したと言っていいだろう。そんな岩泉は、人口1万人にも満たない山間部の小さな町だ。地域の人なら誰でもわかる、鮮やかなブルーの龍の正体はご存じだろうか?
・「龍泉洞」で知られる岩泉町
岩手エリアではホテルの朝食ビュッフェの定番メニューであるほか、道の駅などで「ちょいちょい見かける」岩泉ヨーグルト。しかしホームを挙げるならば、やはり岩泉町だろう。どうせなら本場で買いたい! と出かけてみた。
県庁所在地の盛岡市から、三陸方向に向かって内陸部をひた走る。距離にすると80kmほどなので一見余裕に思えるが、民家もコンビニもない山道が続くため体感的にはかなり長く感じる。
製造を統括する岩泉ホールディングスは、町内で2つの「道の駅」を運営している。中でも「道の駅 三田貝分校」は、町立小学校の分校跡地を利用した施設だという。正面には大きな時計が掲げられ、節目の時間にはチャイムが流れる。
学校机など、在りし日を思わせるアイテムが随所に! 物販は購買部、レストランは給食室と呼び、フードメニューも「日替わり給食風セット」や「きなこあげぱん」など学校がイメージされている。ただハードウェアを再利用しただけでなく、コンセプトに沿った店舗づくりがミニ・テーマパークみたいで素晴らしい!
そして何より、岩泉ヨーグルトとその関連アイテムがずらり! トートバッグやレードル(ヨーグルトをすくうお玉)といった雑貨や、ギフトにぴったりの箱入りセット品もある。
さてさて、商品にプリントされているドラゴンのキャラクター。そのまま「ゆるキャラ グランプリ」に出てもおかしくない完成度の高いデザインで、手にはヨーグルトを持ち、「シーッ!」というように指を立てている。
彼の名は「シークレット龍ちゃん」! 美味しさの秘訣は内緒……という意味が込められているという。
さらになぜ龍なのかというと、日本三大鍾乳洞のひとつとされ、岩手を代表する神秘の名勝「龍泉洞」がすぐ近くにあるのだ。全容は解明されていないものの、一部ルートが観光用に公開されている。
あまりに水が澄んでいるので遠近感が狂うが、もっとも深い第三地底湖は水深98m! スマホを落としたら絶対に拾えない。
龍泉洞の名前は昭和期に、水神を意味して命名されたそうだが、それ以前から地域には龍伝説が残る。近くの宇霊羅山(うれいらさん)から龍が飛び出し、水が湧き出て龍泉洞になったんだとか。洞内は細くうねうねと曲がりくねり、龍が飛び出た穴だと言われれば納得だ。
全国に鍾乳洞はたくさんあるかもしれないが、龍泉洞の “水の美しさ” は別格! その青さは「ドラゴンブルー」と呼ばれる。
照明があまり派手でなく、シンプルなのも個人的に好みだ。洞内には急な階段も多いものの、見学路が整備され、健康な大人なら楽しんで歩ける。筆者の見学時には就寝中だったようだが、天然記念物のコウモリにも会えるかも!
・代表商品がこちら!
いろいろ買い込んできたが、なんといっても看板商品は岩泉ヨーグルト。手に持つと「ずっしり重い!」というのが第一印象になるだろう。
ヨーグルトはもっっっっっちりと粘度が高く、ちょっと傾けたくらいじゃ皿に移せない。スプーンから落とすときには、ドスッと効果音をつけたくなるほど密度が濃い。
そして味は濃厚だ。ヨーグルト特有の酸っぱさや刺激がまったくなく、どこまで行ってもまろやか。「ヨーグルトはシャバシャバ派だ!」という人にはおすすめできないが、少し食べただけで満腹になりそうなボリューム感がある。
「岩泉のむヨーグルト」はヨーグルトの濃厚さをそのままに、するりと飲めるように加工した商品。岩手に近づくと、高速道路のSAなどでよく見かけるようになる。飲めるくらいの粘度とはいえ、やっぱり濃いので、口の周りに丸く「ひげ」ができるぞ。
ヨーグルトが美味しいということは、すなわち牛乳が美味しいことを意味する。「龍ちゃん牛乳」は、優しく飲みやすい味ながら、クリーミーなコクがある。無添加なのに、はっきりと甘みがあることにびっくり。低温殺菌のため、短時間でも必ず冷蔵庫に入れるなど、管理に少し気をつける必要がある。
その牛乳を使った「岩泉コーヒーミルク」もまた、「生クリーム入ってる!?」というくらいリッチな味わい。どの商品にも共通するのが「こっくりとしたクリーム感」と言えそうだ。
「岩泉クリームシチュー」は、湯せんまたはレンジで温めて食べるレトルト商品。「インカのめざめ」が使われている。
もとから甘いジャガイモだけあって互いに味を補完し、コーンスープのようなスウィートな味わい。こってり濃厚だが、チーズ臭さがまったくなく、スープ感覚で飲める。
・「シークレット龍ちゃん」カワイイ
地域で生まれ、地域で育った商品たちだが、今ではイオンや成城石井など全国で購入可能。ネットショップもある。また、岩泉ホールディングスが運営するもうひとつの施設「道の駅いわいずみ」にも関連商品が並ぶ。龍泉洞の湧き水を使ったスキンケア用品も特産品だ。
清らかな地下水があり、龍神がいて、美味しいヨーグルトが生み出される岩泉町。何度も目にしているうちに、いつのまにか「シークレット龍ちゃん」のトリコになっていることに気づくだろう。
参考リンク:岩泉乳業オンラインショップ
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.