「3月1日に解禁!」芦ノ湖で釣れるトラウト5選 おすすめポイントも紹介
鎌倉時代の紀行文・東関紀行に『箱根の海』または『芦の海』と呼ばれた湖がある。富士箱根伊豆国立公園の中に位置し、湖畔には箱根関所や箱根神社、多くの美術館・博物館があり、周辺には温泉街が点在する。神奈川県西部の箱根町にある芦ノ湖だ。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也)
芦ノ湖の釣り
正月におこなわれる箱根駅伝の折り返し点としても有名で、ブラックバスが国内で初めて放流された地としても知られている。
高度成長期に一時は水質の悪化が問題となった時期があったものの、下水道の整備など公害対策が施された結果、今では関東屈指の水質を誇っている。
芦ノ湖では、明治期よりさまざまな魚が移植・放流されている。前述したブラックバスを始め、ヒメマス、ワカサギ、ウグイ、ニジマス、イワナ、ヤマメ、ブラウントラウト、コイ、ヘラブナなど多種多様に及ぶ。国内初のバス釣り発祥の地として、関東では日光・中禅寺湖と双璧をなすトラウトゲームの聖地として、初夏から晩秋までは5~7gの良型のワカサギ釣りが楽しまれ、今ではフィッシングが盛んだ。
3月1日に開幕
3月1日に開幕し、12月14日まで釣りが解禁されている。トラウトゲームでは、ニジマスを中心にブラウントラウト、イワナが成魚放流されているほか、サクラマス(サツキマスを含む)、コーホサーモン(銀鮭)、ヒメマスなどが稚魚放流されている。
60cm超のスーパーレインボーや70cm超のモンスターブラウンもいいが、50~60cm超にまで成長したサクラマスやコーホサーモン、35cm超のヒメマスの引きは強烈。芦ノ湖のワカサギを飽食した野性味溢れるこれらの個体は、釣っても食べても抜群だ。
私の釣果で近年の釣況を紹介すると、記録の残る2018~2024年の50cm超は、15尾、69尾、23尾、17尾、19尾、19尾、7尾。2019年は別格だが、ほぼ毎年20尾前後の50cm超が釣れている。
近年は50cm級の個体は少なく、小さい個体で57~59cmで大半は60cm超の個体だ。春シーズンはニジマス中心、夏シーズンはサクラマスやコーホーサーモン、秋シーズンはブラウンが中心となっている。
昨年は10年ぶりの貧果となったが、ワカサギの湧きがよく、成魚放流された大型のニジマスやブラウンがワカサギを飽食することで、ルアーやフライに見向きもしないことが原因とされた。今年の釣況は解禁してみないと判断できないが、平年並みの釣果が出ることを期待しよう。
魚種別ポイントの傾向
釣りのポイントは湖全域だが、魚種によってその傾向は変わる。
ニジマス
成魚放流されたニジマスは、初期は浅場でよく釣れる。岸際の水深5mほどの場所がポイントだ。特に大型は水深1~2mの浅場を回遊することが多く、陸っぱりアングラーにも60~70cmが釣れることも多い。場所としては、湖尻のキャンプ場前や九頭龍神社前、元箱根湾や箱根湾などの湾内など。
ブラウン&イワナ
ブラウンやイワナなど定着性の高い魚は、急深のカケアガリに着いていることが多く、南岸のトリカブト、西岸全域、東岸の樹木園からプリンス前にかけてなど。
サクラマス
回遊性の高い魚種の場合、サクラマスは水面下15mほどの中層が狙いで、トローリングが圧倒的に有利だが、季節によっては浅場を回遊することもあり岬の突端では陸っぱりで釣れることもある。ポイントとしては岬周りが有利だ。
ヒメマス
ヒメマスの回遊ラインは、おおよそ水面下20mほどのレンジ。ヒメトロと呼ばれるトローリングを中心に釣れるが、秋の産卵シーズンになると婚姻色に体を染めた個体がインレットを中心に集まるため、浅い場所でも釣れる。
コーホーサーモン
コーホーサーモンは底層付近を回遊していることが多く、水深15~30mの場所がいい。ここ2年はまったく釣れていないが、不定期に稚魚放流がおこなわれている。魚食性が高いので、トローリングやムーチングが有利。
ポイント
次はポイントを中心に紹介しよう。漁協の成魚放流はボート店の多い湾内を中心におこなわれている。箱根町湾、元箱根湾、湖尻湾がその中心となる。
それ以外にも、南岸では三ツ石、犬の墓、トリカブト、白浜、平岩。トリカブトは急深のブラウンのポイントで、白浜は遠浅のウェーディングポイント。西岸では、平岩、箒ヶ鼻、ムジナの窪、百貫ノ鼻、立岩、小杉の鼻、立石、亀ヶ崎。いずれも急深なカケアガリのあり、ブラウンやイワナの好ポイントだ。
湖尻は時計回りに、深良水門、七里ヶ浜、早川水門、キャンプ場前、桃源台、神宮。七里ヶ浜から早川水門にかけては水の動きがあり、なぜかウグイが多く釣れる。早川水門からキャンプ場前は、湖尻では一番人気のポイント。大型の実績が高い反面、常に混雑している。桃源台はボート店が並ぶ場所で、放流量が多くレギュラーサイズなら比較的容易に釣れる。
東岸は、防ヶ沢、釜ヶ淵、樹木園、和田の角、プリンス前、箱根園、山の神、成蹊と続く。釜ヶ淵は九頭龍とも呼ばれるワンドで大型の実績が高い。成蹊はウェーディングのフライマンが常にいるポイントで、浅場を回遊する大型ニジマスやサクラマスが狙える。
元箱根湾から箱根湾にかけては、平和鳥居前、吉原窪、弁天の鼻、コベリの鼻、関所下などが好ポイント。コベリの鼻沖には大島・小島と呼ばれる沈み根がある。平和鳥居付近には湧き水があり、大島・小島は海賊船、遊覧船の航路に近く水が動く場所で、このようなポイントは酸素量が多く魚が集まりやすい。
<週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース関東版』2025年2月28日号に掲載された記事を再編集したものになります。