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SKRYU、超満員の豊洲PITで絶唱「音の上では自由! 歌うことが俺の生きる理由だ!」

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SKRYU

「SKRYU Live Tour 2024-25 -STARDOM-」2025.01.13(mon)豊洲PIT

SKRYUが昨年11月から行っている全国ツアー「SKRYU Live Tour 2024-25 -STARDOM-」の東京公演を1月13日に豊洲PITで開催した。この日は“豪華絢爛”スタイル。本ツアー最大規模の会場もパンパン。開演前から熱気に包まれていた。

暗転してファンキーなSEが流れると、カラフルなジャケットを着こなす“スター然とした”SKRYUがステージに登場する。ステージ中央に設置されたお立ち台に上り「調子どうだ、豊洲PIT! 今日は一緒に伝説作ってくれる人はどんだけ※%$#¥!?」と聞き取れないほどの高音でシャウト。観客からは待ってましたと大歓声があがる。SKRYUは熱烈なエネルギーを一身に浴びて「Stardom」からライブをスタートさせた。

SKRYU

SKRYU

各地のクラブから日比谷野外音楽堂までマイク一本でのし上がってきた彼は、叩き上げのエンターテイナー。「Heated」「VIP」「Maegami」「Real My House (House Remix)」はコールアンドレスポンスや細かいMCで場内の全員に気持ちを届けていく。「配信を見とる父ちゃんも、実は駆けつけてくれたお母ちゃんも、地元を飛び出して心配をかけたけれども、この会場を見てくれたら安心してくれるんじゃないかな」というMCから「Mou Vah」を歌う。さらに「Magic Potion」「MUNASAWAGI」で観客のテンションを高めて、2025年も絶好調なSKRYUにぴったりな「Golden Time」へ。「MOTEKI」では観客全員が手拍子で盛り上げ、「俺はキムタクになれませんけどねえ。……キムタクも俺になれない……(笑)」とリリックを引用したMCから「ハイブランド(Remix)」へ。この曲にはお笑いコンビ・ラランドのサーヤがフィーチャーされた。

さすが芸人というべきか、大舞台に臆することなく、すごい声量で完璧なスピットを聞かせた。SKRYUとのトークタイムではこんなやりとりが。

サーヤ(ラランド)

SKRYU / サーヤ(ラランド)

サーヤ:(私からのLINEを)既読無視してるからね。

SKRYU:なんか知らない言葉で……。

サーヤ:セルビア語で“き◯たま”って送ったのに。“がんばれ”みたいな気持ち込めて。

SKRYU:“き◯たま”が、ですか……?。じっくりと考えて(LINEを)返そうと思ってました。

SKRYU

DJ chaka

短いやり取りで爆笑をかっさらう。人気芸人の登場に騒然とする場内。SKRYUは「ざわつけ、ざわつけ。ほんとに大好きなアーティストのみなさんと、そして俺のことが大好きな人と大好きなことについて話すことができて嬉しい」と満面の笑みで語って、「女の子に履いてほしい衣類ナンバーワンは……」と性癖を開陳する「Tight Skirt」、男性のエチケットをテーマにした「Esthetic」を歌った。表情や動きをしっかりコントロールすることで、ぎりぎりの内容をハラスメントではなく笑いに変えてしまうのがSKRYUのすごいところ。また「一回きりの人生を悔いなく生きよう」という骨太のメッセージが大前提となっていることも大きいだろう。「Haaaan!!」では観客を左右に分けての、コールアンドレスポンス合戦を実施。信じられないほどの歓声が湧き上がってきた。1MC1DJでこの馬鹿騒ぎを作り出せるSKRYUとchakaのコンビは最強だ。

SKRYU

Fuma no KTR / SKRYU

衣装チェンジを経て後半は「Like Water For Chocolate」「Cheap Luxury」「Midnight Marauders」といったスタイリッシュなR&Bを披露する。ここでスペシャル演出としてSKRYUのお父さんから電話がかかってくる。スマホのスピーカーから「豊洲PITにお集まりのみなさん、いつもSKRYUを応援してくれて本当に嬉しいです」と声が響く。それを聴くSKRYUも嬉しそうな表情だった。

徳利 / SKRYU

valknee / SKRYU

続けてお父さんは「改めまして、みなさんに新年のご挨拶をしたいと思います。あけまして……(小声で)おはよーございやーす」と代表曲「How Many Boogie」へと誘う。この父にして、この子あり。さすがだ。さらにFuma no KTRもステージに来て、エネルギーを放出する。歌い終えたKTRは「泣きそうや。(満員のフロアを見て)エグいやん。めっちゃ人おる〜」と感極まった様子。SKRYUはKTRとがっちり肩を組んで「2024年、世界を揺るがした曲だ」と胸を張った。KTRは満面の笑みで「今年アルバム出すからチェックしてくれや」と叫んでステージを後にした。「こんな幸せを独り占めにしてはいかん」と「居酒屋」のイントロが。すでに20曲目に突入しているのに、まるで疲れを感じさせないラップで観客をベロベロに酔わせていく。そこに徳利、valkneeも加わる。すべての合いの手で合唱が起こった。続く「Music Stage On」のリリック「『推しです!』なんて言われても俺はアイドルじゃない/めちゃラッパー/路上のフリースタイルそれがルーツ/故に口パクなんて言語道断」をパフォーマンスで証明する。だが「mizore fiction」では、音楽で成功したこと、ラップへの愛情、同時に湧き出る内面の欲望を吐露する。言葉をみっちり詰め込んだこのラップバラードは、レーザーのスポットライトで情感を演出した。この流れに、サービス精神満点のエンターテイナーでありながら、真摯に音楽と向き合うSKRYUの本質を垣間見た。

SKRYU / GADORO

CHICO CARLITO / SKRYU

ライブもいよいよクライマックスへ。DJ PMXプロデュースの「Grand Prix(Remix)」ではGADOROを呼び込んだ。2人で歌うフック「あの日背を向けたあなたにも/見せたい姿だって/走り切った先にある/栄光のGrand prixへ」には特別な味わいがあった。歌い終えたSKRYUは「東京で出会ったラッパーの戦友だったり、友達だったり、ローカルを飛び出して夢を追っていった俺も含め、出所が違う仲間だったり、同じ音楽の上で違う価値観を共有しあって、みんなと同じ景色を共有できるっていうのは、ありえない(ほど素晴らしい)ことなんだなって思うし、あの日憧れたラッパーだったり、あの日憧れたステージだったり、聴く側から歌う側になって、こんなに最高の顔が俺の目の前に集まってくれて、噛み締めても噛み締めも味が止まんねえな」と、この瞬間を堪能し、「東京に来てお金もなかった時、何したらいいかって言ったらやっぱ音楽を作ることで。喉がガラガラになってる時でもみんなの前でライブをする瞬間に、ここが俺のオアシスだなって思う」と話して「Desert Dreams(Remix)」に続けた。フックではみんなが自然と手を上げる。2番ではCHICO CARLITOが現れて、ハスキーな声で歯切れの良いラップを聴かせた。

SKRYU

SKRYU / DJ chaka

感動的な空気が漂う中、SKRYUは「人生を賭けた一世一代の公然猥褻をしに来ました」と宣言。「Mr.Scandalous」でお立ち台の上に立ち、堂々とシャツを脱いで肌をさらした。観客の声がさらに大きくなる。その熱狂の中で「Screw Driver」と「頃合いのいい頃に」も歌った。さらに「Mountain View」はアカペラ。「スマホのライトで俺を照らして」とリリックを変える。すると場内が観客のスマホライトでパッと明るくなった。その感動的な光景を目のあたりにしたSKRYUは「満を持して一発叫ぶのさ/“俺やっぱラップしてて良かった”」と気持ちを届けた。

SKRYU

SKRYU

最後にSKRYUは「最高の景色を(見せてくれて)改めてありがとうございました」と挨拶して、「お前たちの期待を背に2025年、俺はまごうことなく超Super Starになってやる」とツアータイトルに込めた思いを絶叫。曲中でも「音の上では自由! 歌うことが俺の生きる理由だ!」とシャウトする。SKRYUの根っこにあるピュアなキャラクターが表現されたような瞬間だった。そして「イメージの裏側でまた会おう」という言葉と共に暗転し、2時間弱のショウを締め括った。アンコールはなし。計算された演出と、それをこなす圧巻のパフォーマンス。豊洲PITに集まった人たちは超Super Starから強烈なエネルギーを受け取った。

「SKRYU Live Tour 2024-25 -STARDOM-」ファイナルはSKRYUの地元である島根・島根県民会館 大ホールで2月8日に実施される予定だ。

取材・文=宮崎敬太 撮影=JUNYA S-STEADY

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