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【やるべきことに手が回らない!】限界管理職のための心を守る仕事術を専門家に聞いた

MEETS

30代40代になると、自身のタスクをやるだけではなく、後輩や部下のサポートも役割に入ってくる人が多いでしょう。そして、プレーヤーとしての役割とマネジメントの役割と両方を抱えていると、毎日「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」「また、終わらなかった」と焦る、しんどいという声も聞きます。

実際、マイナビ転職の「管理職の悩みと実態調査」では、現在管理職である人の約3割が業務負荷の高さを悩みとして回答。管理職になって「残業時間・会議などの拘束時間・休日などが悪化した」と回答している人は約半数にのぼりました。

とはいえ、管理職になって給与など待遇が良くなったと回答している人が7割超でもあることから、管理職を辞退する決断も難しく、自身の年収アップやキャリアアップを目指していくうえでは、管理職や後輩のマネジメント的な役割は避けて通るのが難しいところ。

そんななかで、少しでも残業を減らし、成果を出すためには、どのような点を意識して仕事を進めていくと良いのでしょうか。業務負荷やプレッシャーのなかで、心身の健康を損ねず働き続けるためには、どんなことが大切なのでしょうか。

キャリアコンサルタントの林碧さんの解説から、持続的に年収アップ、キャリアアップしていくための、仕事術のヒントを探ります。

キャリア・コンサルタント

林 碧(はやし みどり)
株式会社キャリアイズ 代表取締役社長、国家資格キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士2級、両立支援コーディネーター。 企業人事経験および個別相談対応経験を活かし就職・転職の相談からライフキャリアビジョン構築、育児・傷病など個別事情との両立まで、幅広い相談に対応。通算4000件以上の個別面談実績、年100件以上の研修登壇実績を保有。特に若年層のキャリア形成支援を得意とし、大学での登壇実績が豊富である他、企業向けの育成者研修や若手定着支援、人材コンサルティングも実施。日経Xwomanアンバサダー。小学生・保育園児の2児の母。


•業務負荷の高さが常態化している際は要注意です
•タスクは優先度と緊急度で整理しましょう
•過度な完璧主義には要注意
•辛いと思ったら早めに周囲にSOSを

業務負荷の高さが常態化している際は要注意です

マネジメントの役割と並行してプレーヤーの役割もこなしている人は、多くいらっしゃることでしょう。回答している私自身、マネジメントに関する仕事の傍ら、自身の仕事も行っています。

そういう状態にあるとどうしても行うべき仕事の全体量は多くなるもの。「やることが多すぎる」「仕事が捗らないまま一日が終わってしまった」という感覚は、私自身も心当たりがあります。

このような業務負荷が高い状態は、一時的に生じる分にはやむを得ない部分もあるでしょう。繁忙期や一時的な人員変動でこのような状態になるケースもあるでしょうし、本人がやりたいことをやる為に、望んでこの体制を享受しているケースもあると思います。

ただし、これが常となっている場合は要注意です。高すぎる業務負荷が常態化すると精神的に疲弊し、大きな体調不良につながってしまう懸念もあります。本人も焦りを持つような場合は、かなり高い負荷がかかっている状態です。そのままにして当人に急な体調不良などが生じると、チーム全体に悪影響をもたらしかねません。チームとしてもそのような状況を改善していく体制作りが求められます。

ただ一方で、当事者として渦中にある人は、何をどうしたら現状を脱することができるのか、対処方法を見失っていることケースも多いでしょう。今回は高い業務負荷にはどう対処するといいのか。タスクマネジメントの観点と、メンタルマネジメントの観点でお答えしていきます。

タスクは優先度と緊急度で整理しましょう

常に焦りに追われている状態にある場合は、まずは深呼吸。今ある業務をマトリックスに分けて整理してみましょう。優先度と緊急度という軸で整理してみてください。膨大にある業務ですが、そのなかで本当に急いで対応しないとならないものは、実は限られているはずです。

心の余裕がない状況、息つく間もないような状況のなかにいるときは、まずは緊急度の高いタスクの処理に集中しましょう。「本当はできると良いこと」は緊急性が高い仕事を片付けた上で戦略的に手をつけられると良いですね。「するべきことが終わりきっていない」、と自分を責めてしまうような状況は精神的にも良くありません。緊急度の高い仕事が完遂できたら、まずはそこに対処できた自分たちを褒めてあげる、そんな心境で向き合うことで達成感を持って仕事が進めやすくなります。

緊急度と併せて、優先度を考えることも重要です。優先度は、その仕事のなかで、「自分でやらなくてはいけない仕事」はどれか、という観点です。仕事のなかには、自分にもできるが、他のメンバーにもできる仕事と、自分以外にはできない仕事があるはずです。

そのなかでも、「自分以外にはできない仕事」に集中して取り組むようにし、自分以外にもできる仕事を他者に分担・指示することがチームの成果を大きくすることにつながっていきます。もし「自分にしかできない」仕事が多いという場合は、業務の委譲がうまくいっていないことが問題かもしれません。

「自分にしかできない」理由に目を向けてみましょう。他のメンバーがやり方を知らないことが理由だという場合は、逆を言えばやり方を教えることで他のメンバーもできるようになります。

メンバーだけでは不安だ、失敗しそうだ、という不安が理由の場合も、部下を信用して勇気を出して預けてみると、意外にもすんなり業務適応していくかもしれません。また、「自分の決裁が必要な仕事」という場合も、事務的な部分を委譲できるケースや、他のメンバーに業務を預けて自分は最終確認に回ることで、前に進められるケースもあるでしょう。

業務委譲は委譲するやりとりにかかる時間がネックとなり進めにくい、後回しにしてしまうというケースもありますが、忙しいなかでも意識的に時間を割いて進めることで、結果的に自分自身の業務負荷を下げることにつながっていきます。

特に、「自分は常に仕事に追われて忙しくしているが、周囲はそれほどではない」という場合は、自分の仕事を他者に渡すことで状況を変えられる可能性が高いといえます。緊急度の高い仕事をこなしつつ、随時、業務委譲していくことで状況改善が図れるでしょう。

過度な完璧主義には要注意

「やることが終わらない」と感じている人は、もしかすると完璧主義的な思考に陥っているのかもしれません。というのも、できていることよりもできていないことが目につくからそう感じてしまうと言えるからです。

やろうと思っていたことの100%ができずとも、80%ができていれば、大丈夫。お客様に迷惑をかけていないのであれば、とりあえずは大丈夫。など、自分の合格ラインを少し下げてあげることも、余裕を持って仕事を進めていく上では重要です。

また完璧主義な人は、無意識のうちに「できないと伝えることが苦手」で「断りたくない」と思ってしまいやすく、それが仕事量を増やすことにつながってしまっているケースもあります。業務においては期待値を事前に調整することが非常に重要です。

あらかじめ「どこまでであればできるがこれ以上は難しい」と伝えることで、必要以上の仕事を行わなくて良くなるケースもありますし、「先方が何を期待しているのか」を確認することで100%の納品が難しい状況であったとしても、相手が納得できる仕事が可能となるかもしれません。

断るのではなく、期待値を一致させて仕事を進めていくために、対応できるラインをあらかじめ周囲や顧客に伝えていく意識を持てるといいでしょう。
また、完璧主義であればあるほど、業務委譲を苦手とする傾向があります。完璧な引継ぎができないことを理由に業務を手放せないケースや、他者の細かなミスが気になるが故に業務を預けにくくなってしまうのが理由です。

自身にも他者にも寛容な気持ちで、ある程度うまくいけば大丈夫、カバーできる範囲のミスは生じても問題無い、とおおらかに受け止める意識を持つことが、結果的にチームや後輩の成長につながっていきます。

辛いと思ったら早めに周囲にSOSを

業務負荷の高さが辛い、心身の疲労を感じる、という場合は、それをぜひ周囲のメンバーにも伝えましょう。業務分担の見直しや業務委譲はひとりで進めようと思っても進めにくいものですが、周囲を巻き込むと一気に進むことが多いです。

もしかすると、皆さんが気付いていないだけで、周囲の人は何かできることはないか、助けられることはないかと心配しているかもしれません。早めに声を上げるということも大切です。時間やスケジュールに余裕があれば対応者を変えられるという場合もありますし、顧客に相談余地が出ることもあります。現状の業務体制を続けるのは難しいと感じる場合、少しでも早く周囲と相談した方が状況は好転していくでしょう。

また、適宜休息を取ることも重要です。休日はしっかりと休みリフレッシュを取るほか、高い負荷がかかる仕事の後は有休を取るなど、積極的な休みも活用しましょう。ときには長期休暇を取ることで、自分がいなくてもチームはうまく回るのだと実感することが、過度に仕事を抱えすぎなくなることにもつながるでしょう。

周囲の助けを得ていく力を「受援力」と表現することもあります。この「受援力」も現代社会を生きるうえでは必要なスキルのひとつ。無理して乗り越えるだけではなく、周囲の助けを借りることや周囲を信頼することも、大切にしていけると良いですね。皆さんが負荷を抱えすぎずに、日々の仕事で成果を上げていくヒントになれば嬉しく思います。

制作:マイナビ転職編集部

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