「危機意識を持ち、モアベストを尽くす」東広島署新署長・大野勝俊氏に聞くSNS型詐欺被害や自転車盗増加の課題と対策
東広島署の新署長に着任して約4カ月の大野勝俊氏。「危機意識を持って、さまざまな事案に対処していきたい」と意気込む大野署長に話を聞いた。(日川)
― 管内の当面の課題は。
SNS(交流サイト)を使って金銭をだまし取る投資詐欺やロマンス詐欺の事件が増えていることと、身近な犯罪が増加傾向にあること。
SNS型詐欺は、SNS上で被害者と信頼関係を築き、金をだまし取るのが特徴で、昨年、管内では44件の被害が発生、被害額は3億7600万円に上り、件数、被害額とも県内ワーストだった。
身近な犯罪では、自転車盗の増加が目立つ。昨年は300件で、おととしと比べ50件増えた。
手口周知し防ぐ
― 対策は。
SNS型詐欺は、被害届を出さない人もおり、被害の認知件数は氷山の一角だと思っている。東広島市は適度に都会で、投資やインターネットに精通する若い世代や金融機関が多く、ターゲットになりやすい。被害に遭わないためには、投資詐欺の手口を知っておくことが大切。
東広島署としては、啓発イベントや、県警のアプリ「オトモポリス」などを通して手口を発信し、被害の抑制に努めたい。自転車の盗難の原因は無施錠が大半。自転車の利用者には、駐輪の際の鍵掛けを呼び掛けていく。
横割りの組織で対応
― 署長に就任し約4カ月。決意を。
東広島署管内は安芸津町の海辺から、北部地域の山間部まであり、想定しうる事案は多岐にわたる。どんな事件・事故が発生するか分からない。そのことに対処するためには、想定する事案ごとに、横割りで対策班を作り、事案ごとに訓練を進めていきたい。例えば、強盗事件が起きれば、刑事一課だけではなく、生活安全課や、交通課などと連携。指揮本部を作り任務を分担して事件に対応していく。
― 警察官を志した動機は。
二つあって、一つは学生時代に剣道に打ち込んでいたこと。警察官には剣道の鍛錬を行う人が多く、稽古や試合などで一緒になることがあって、警察官を身近に感じていた。もう一つは、警察官は、一般的に知名度が高く、周囲に「警察官です」と胸を張って応えられ、自分に自信が持てる職業かなと思ったことかな。
― 署員に訓示していることは。
私の警察官人生の大半は刑事畑。詐欺や横領、選挙違反などの犯罪を摘発する捜査二課を中心に歩んできた。大切にしてきたのは危機意識。事件が発生してから考えるのではなく、発生する前からのイメージトレーニングを大切にしてきた。
警察の仕事には、絶対はないし、一つとして同じ事案はない。だから、署員にはモアベスト、モアベターを尽くすために、危機意識を持って日頃から考えるくせを付けよう、と伝えている。
東広島署 署長 大野勝俊(おおの かつとし)/1965年生まれ。広島市出身。大学卒業後、1988年県警入り。刑事部捜査二課管理官、捜査一課次席、機動捜査隊長、尾道署長、警務部留置管理課長などを経て、昨年12月から現職。座右の銘は「目標を達成してからの継続は力なり」。
プレスネット編集部