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物価高で学生生活ピンチ 奨学金返済を助ける動き

TBSラジオ

きょうは「奨学金」のお話です。物価高の影響もあって、「奨学金を借りていても大学生の暮らしは楽にならず、むしろ厳しさを増している」。そんな調査結果を今月、若者支援を行うNPO「D&P(ディーピー)」が発表しました。

奨学金の陰で追い込まれる学生の声

そこで、物価高の中で学生が直面しているリアルな生活ぶりを、「D&P」理事長の今井 紀明さんに伺いました。

NPO「D&P」理事長 今井 紀明さん

やはり「一日一食しか食べてない」とか「食事をとる量を減らしている」、もしくは「昼夜、食べないようにしている」とか、そういった声が学生さんから届いていると。皆さんが知ってるような有名私立大学や、国立大学の学生からの相談とかも来ているような状況です。

今、仕送り金額も年減っていますし、学生によっては、親御さんの介護をしながら学生々活を送っているとか、親御さんに逆にお金を送ってるみたいな場合とかもあるんですよね。そういった学生たちが今、窮地に陥っている。

うちの子(相談を受けている子)たちも、支援していくと、学生の子たちは就職していくので、サポートすれば社会につながっていくと思うんですけれども、その手前でこういう苦しい状況に陥ってしまって、学業を断念してしまう状況っていうのは、社会として変えていく必要性があるかなと、私は思いますね。

<D×Pでは、奨学金に悩む学生への食料支援に加え、LINEを使った進路・生活相談サービス「ユキサキチャット」も運営し、日々の不安や将来の相談に寄り添っています(HPより)>

この深刻な実態の背景として、仕送り額が年々減っていることがあります(文科省の調査で、この30年で半分以下に減ったと明らかになっています)。さらに、物価は2020年から比べて1割以上 上がっているのに、奨学金の金額は据え置き。

今井さんたちは、そうした学生に「ごはんセット」を送る食料支援を続けていますが、申し込みは年々増えているそうです。

若手社員の「お金がない」から始まった 奨学金返済サポート

大学生の2人に1人が奨学金を利用しているといわれる中、企業が「返済を肩代わりする」新しい支援の形が広がっています。そばチェーン「ゆで太郎」を運営する、「ゆで太郎システム」の井田 高志さんに伺いました。

ゆで太郎システム 井田 高志さん

「奨学金補助制度」ですね。会社から直接、奨学金の機構さんの方に、返済を代わりにさせてもらっています。月々「1万5千円」を上限に、8年間、代わりに返済をさせてもらっています。

きっかけはですね、弊社の代表の池田がですね、若手社員との食事会っていうのを企画してまして、その中で「普段何を食べてるの?」という話をしたときに、その若手の社員たちが「カップ麺とか、冷凍のパスタをよく食べてます」ということで…。「たまには外食をしろと。いろいろ勉強のためにも外食をするように」とアドバイスをしたんですけども、「お金がない」と言われてしまった。給料はちゃんと払っているので「そんなにないわけないだろう」という話をする中で、「いや、実は奨学金の返済があるんです」という中で、「じゃあ、その分を補助してあげようか」というところから始まりました。

ゆで太郎の「代理返還」は、社員本人ではなく、会社が奨学金を直接返してくれる仕組みです。例えば大学4年間で奨学金を借りると、総額は200万~300万円ほどになるケースも多いのですが、卒業して社会に出ると、毎月1万~1万5千円を、20年近く返し続けることになります。名目は「奨学金」ですが、実態は学生ローン=借金とも言えます。

でも、ゆで太郎では、そのうちの8年間分、最大で「144万円」を会社が肩代わりしてくれるので、約3~4割が「会社もち」。ぜんぶタダになるわけではないが、返済の大きな負担をぐっと減らしてくれます。

社長の鶴の一声で、10年前に始まったこの制度、当時は業界でも珍しく注目を集めたそうですが、最近ではこうした会社が徐々に広がっているようで、いまでは全国でおよそ1000社にまで拡大。代わりに返してくれる期間は、長く勤めることになるので、その分、人が定着してくれるというメリットもあるようです。

地元に戻れば返済ゼロ 長島町の「ぶり奨学金」

一方で、こうした企業の工夫に加えて、自治体でもユニークな奨学金の仕組みが広がっています。鹿児島県・長島町の町長、川添 健さんに伺いました。

鹿児島県 長島町・町長 川添 健さん

これはですね、再び長島に帰ってきてくれれば、全額利子も返してあげます。奨学金として免除してあげます。

この長島町というのはやっぱり、高校が地元にないということ、もちろん専門学校もないし、大学もないし。そういう状況でですね、24~5歳までの間がポーンと人口が減少しているんですよ。勉強してきた子どもたちが帰ってきてくれないかなという思いで作ってあります。

「長島町・ぶり奨学金」というふうに名付けています。(魚の)ぶり。「ぶり奨学金制度」です。

「ぶり奨学金」は名前の通り、出世魚のブリのように、一度町を出てもまた戻ってきてほしい…そんな願いを込めて作られた制度です(ちなみに、鹿児島県・長島町はブリの養殖日本一)。

人口はおよそ9千人の町ですが、子どもたちは進学のたびに町を離れて、そのまま帰ってこないのが課題でした。そこで打ち出したのが、進学するときに「毎月3万~5万円」を受け取れる奨学金。卒業後、10年以内に戻ってくれば、街がその返済をすべて肩代わりしてくれる仕組み(これまでに100人ほどが利用し、消防士や漁業など、すでに半分近くが地域を支える存在として戻っているそうです)。

このアイデアはほかの地域にも広がっていて、同じくブリの産地「富山県氷見市」でも「ぶり奨学金」をスタート。群馬県下仁田町では「ねぎとこんにゃく下仁田奨学金」という制度まで登場。全国の過疎地で、新しい「地元に戻す仕掛け」として広がりつつあるんです。

自治体も企業も、いろんな工夫で学生を支えようとしている中で、その制度を実際に使えるのはごく一部。奨学金は「学びを支えるはずの制度」なのに、今は逆に学生を追い込んでしまっているようにも聞こえます。

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)j

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