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長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督が８９歳で死去

6月3日、巨人の終身名誉監督であり、選手、そして監督として輝かしい実績を残し、国民的人気を博した「ミスタープロ野球」長嶋茂雄氏が、肺炎のため、89歳で亡くなりました。

長嶋茂雄氏は1958年に巨人に入団。以降、17年間の現役生活の中で、首位打者6回、ホームラン王2回、打点王5回など数多くのタイトルを獲得。59年6月の展覧試合の本塁打など、記憶にも強く刻まれるプレーで、国民的なスター選手として活躍。

果たして、もし長嶋茂雄氏が21世紀に現役でプレーしていたら、どれほどの評価をされていたのでしょうか？　「がっつり! プロ野球」32号（2022年11/15号） にて掲載した「妄想年棒記事」を再掲いたします。

昭和のスーパースターが21世紀にプレーしていたら？球界のレジェンド今なら年俸はいくら？

ＦＡ制度の導入を機に、選手の年俸が一気に高騰した日本球界。では、過去の名選手たちが「もしも」現在の日本球界でプレーしていたら一体どれくらい稼いでいるのか?! 妄想を存分に交えながら検証！

新人でトリプルスリー!?１年目から大幅ＵＰ確実

日本プロ野球界が誇る不世出のスーパースター:長嶋茂雄
【妄想生涯年俸】
76億5500万円(年平均4億3640万円)

日本プロ野球界が誇る不世出のスーパースター、長嶋茂雄。「ミスタープロ野球」が現代のプロ野球界でプレーしていたら、はたしてその年俸はいかほどか……。長嶋の１年目の年俸は１８０万円（推定。２００万円という報道もあり）。当時、サラリーマンの平均月収が１万６０００円であることからも、破格の金額であることが分かる。

それもそのはず、長嶋は六大学で通算８本塁打のリーグ新記録を樹立したスーパースター。当時はまだドラフト施行前で選手獲得は自由競争だったが、今なら複数球団の１位指名競合は間違いなし。正真正銘のスーパールーキーだった。

当然、現在に置き換えるのであれば契約金１億円＋出来高５０００万円、年俸１５００万円と新人最高条件なのは間違いない。しかし、本当に凄いのはこの後。１年目の長嶋は打率・３０５、29本塁打、92打点、37盗塁を記録。ルーキーながら本塁打、打点の二冠王に輝き、あと１本塁打でトリプルスリーという異次元の記録を叩き出した。ちなみにこの年、長嶋は伝説の「ベース踏み忘れ」で本塁打を１本損している。

オフには倍増の３６０万円で契約更改をしているが、当然、現在であればその金額はさらに跳ね上がる。過去のプロ２年目最高年俸は和田毅の８０００万円。ここは一気に１億！という気もするが、ひとまず９０００万円と想定してみる。

２年目以降も長嶋の打棒は凄みを増す。59～61年まで３年連続首位打者、１年目から６年連続最多安打（当時は連盟表彰なし）。今ならその年俸も、倍々ゲームで上昇するはずだ。３年目には１億円、４年目には２億円、５年目には３億円……。成績を見ると、「記録より記憶に残る男」というより、「記録にも記憶にも残る男」と言った方がしっくりくる。

63年にはプロ６年目で４度目の首位打者、２度目の打点王を獲得し、年俸は早くも４億円に（実際は１４００万円）。ここから２年間はやや成績を落とすも、年俸ダウンといえるほどではない。そして迎えた66年。長嶋は５度目の首位打者を獲得するが、現在であればこの年に海外ＦＡ権を取得する計算になる。

前年には国内ＦＡ権も取得している計算になるが、巨人から国内他球団へ移籍する可能性は当然ながら低い。この成績であれば日本人野手の評価が低くなっている現在でも、間違いなくメジャーを交えての争奪戦となるだろう。とはいえ、ここで「メジャー移籍」を妄想しだすと、もはや年俸の想定は天文学的過ぎて不可能。

巨人であれば当然、メジャー並みの大型契約を提示するはず。もろもろ鑑みた結果、本誌がはじき出した長嶋茂雄の国内引き留め額は「７年総額49億円」。年平均７億円の超大型契約だ。日本球界での過去最大契約は、松中信彦の７年総額45億円（推定・出来高含む）。これを基準に、さらに金額を上乗せしてみた。

成績を見ればもっと巨額の契約を結べる気もするが、「７年」というのが最大の評価の証し。事実上の「巨人終身雇用手形」に他ならない。大卒の長嶋はこの時点で32歳。契約満了は39歳になる。長嶋は翌年以降もハイパフォーマンスを維持し続け、68～70年には３年連続で打点王を獲得。

しかし、72 、73年はガクッと成績を落とす。７年契約が終了した時点ではすでに往年の輝きは失っていたが、それでも巨人という球団、Ｖ９を含めたそれまでの貢献度を考えれば、現役最終年の年俸も４億円程度が妥当な数字だろう。

長嶋茂雄 年度別成績＆年俸

1958年 130試合 502打数 153安打 29本塁打 92打点 37盗塁 36四球 15敬遠 打率.305 OPS.931
年俸（推定）180万円/今なら?（妄想）1500万円

1959年 124試合 449打数 150安打 27本塁打 82打点 21盗塁 70四球 17敬遠 打率.334 OPS1.038
年俸（推定）360万円/今なら?（妄想）9000万円

1960年 126試合 452打数 151安打 16本塁打 64打点 31盗塁 70四球 32敬遠 打率.334 OPS.964
年俸（推定）720万円/今なら?（妄想）1億5000万円

1961年 130試合 448打数 158安打 28本塁打 86打点 14盗塁 88四球 35敬遠 打率.353 OPS1.108
年俸（推定）960万円/今なら?（妄想）2億円

1962年 134試合 525打数 151安打 25本塁打 80打点 18盗塁 51四球 7敬遠 打率.288 OPS.876
年俸（推定）1000万円/今なら?（妄想）3億円

1963年 134試合 478打数 163安打 37本塁打 112打点 16盗塁 86四球 18敬遠 打率.341 OPS1.094
年俸（推定）1000万円/今なら?（妄想）3億円

1964年 133試合 459打数 144安打 31本塁打 90打点 13盗塁 96四球 15敬遠 打率.314 OPS1.017
年俸（推定）1400万円/今なら?（妄想）4億円

1965年 131試合 503打数 151安打 17本塁打 80打点 2盗塁 50四球 12敬遠 打率.300 OPS.830
年俸（推定）1800万円/今なら?（妄想）4億5000万円

1966年 128試合 474打数 163安打 26本塁打 105打点 14盗塁　58四球 14敬遠 打率.344 OPS.999
年俸（推定）1800万円/今なら?（妄想）4億5000万円

1967年 122試合 474打数 134安打 19本塁打 77打点 2盗塁 37四球 4敬遠 打率.283 OPS.802
年俸（推定）3200万円/今なら?（妄想）7億円

1968年 131試合 494打数 157安打 39本塁打 125打点 8盗塁 66四球 12敬遠 打率.318 OPS1.011
年俸（推定）3200万円/今なら?（妄想）7億円

1969年 126試合 502打数 156安打 32本塁打 115打点 1盗塁 38四球 1敬遠 打率.311 OPS.915
年俸（推定）4140万円/今なら?（妄想）7億円

1970年 127試合 476打数 128安打 22本塁打 105打点 1盗塁 40四球 1敬遠 打率.269 OPS.782
年俸（推定）4560万円/今なら?（妄想）7億円

1971年 130試合 485打数 155安打 34本塁打 86打点 4盗塁 59四球 8敬遠 打率.320 OPS.976
年俸（推定）4560万円/今なら?（妄想）7億円

1972年 125試合 448打数 119安打 27本塁打 92打点 3盗塁 63四球 11敬遠 打率.266 OPS.836
年俸（推定）4920万円/今なら?（妄想）7億円

1973年 127試合 483打数 130安打 20本塁打 76打点 3盗塁 37四球 3敬遠 打率.269 OPS.740
年俸（推定）4920万円/今なら?（妄想）7億円

1974年 128試合 442打数 108安打 15本塁打 55打点 2盗塁 24四球 0敬遠 打率.244 .675
年俸（推定）4920万円/今なら?（妄想）4億円

通算 2186試合 8094打数 2471安打 444本塁打 1522打点 190盗塁 969四球 205敬遠 打率.305 OPS.919
年俸（推定）4億3640万円/今なら?（妄想）76億5500万円

出典：『がっつり! プロ野球(32)』