糖尿病専門ドクターが「ハンバーグVSステーキ」で血糖値を検証!「肉料理なら安心」は誤解でした
糖尿病内科医の山村 聡さんは、自身のYouTubeで血糖値に関する情報を発信し、多くの反響を呼んでいます。書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』(KADOKAWA)は、YouTubeで特に人気のあったテーマを厳選し、さらに動画では伝えきれなかった情報や、本書だけの新しい内容を盛り込んだ1冊です。「これを食べたら、血糖値はどれくらい上がる?」この切実な問いに答えるため、著者が実際に食べ、血糖値の変化を検証。具体的なデータと、血糖値を上げにくい食品の選び方、食事の工夫をわかりやすく解説しています。今回はこの本の中から、誤解している方が多い「血糖値を上げにくい食べ物」についての比較・検証をご紹介します。
※本記事は山村 聡(著)による書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』から一部抜粋・編集しました。
【ハンバーグVS.ステーキ】みんな大好きお肉対決!どちらが血糖値を上げるのか
【初期値】
ハンバーグ:95mg/dL
ステーキ:97mg/dL
コンビニハンバーグ:107mg/dL
↓(ハンバーグ:60分後 ステーキ、コンビニハンバーグ:40分後)
【最大値】
ハンバーグ:110mg/dL
ステーキ:115mg/dL
コンビニハンバーグ:148mg/dL
【上昇幅】
ハンバーグ:15mg/dL
ステーキ:18mg/dL
コンビニハンバーグ:41mg/dL
ハンバーグやステーキといったみなさんに人気の肉料理。果たして血糖値はどれくらい上がるのでしょうか。
また、ハンバーグとステーキでは、どちらが血糖値を上げるでしょうか。
ビーフ100%のハンバーグ(約180g)と、サーロインステーキ(約200g)とで検証してみました。
まずは、ハンバーグです。
初期値は95mg/dLで、ゆっくりと血糖値が上昇し、ピークは60分後、110mg/dLを記録。上昇幅は15mg/dLでした。
一方、ステーキ。
初期値は97mg/dLで、ハンバーグと同様にゆっくりと上昇し、40分後にピーク。115mg/dLになりました。上昇幅は18mg/dLです。
ハンバーグも、ステーキも、ほとんど血糖値は上昇しなかったといってもよいと思います。上昇幅は15~18mg/dLくらいありましたが、これはおそらく、ハンバーグやステーキに使われているソースによるものと考えられます。ステーキの場合、どこの部位をステーキにするかによって、あるいは脂肪の多い肉か、そうでもないかなどによって、含まれる栄養成分は少しずつ違ってきます。
共通していえるのは、どのステーキも、炭水化物(=糖質)は非常に少ないという点。このため、血糖値の急上昇はほとんど起こらないと考えられます。
また、ステーキは、たんぱく質より脂質を多く含んでいるケースのほうがずっと多いようです。
脂質が多いと、糖質の消化・吸収が遅らせられるので、血糖値の上昇がゆるやかで、ピークも低めになります。
今回のステーキにおいても、そうした傾向は見られるといってよいでしょう。検証で扱ったハンバーグは、その変動データからもわかる通り、脂質とたんぱく質が多めで、炭水化物が少なめだったと考えられます。
ただ、一般的にいって、ハンバーグについては少し注意が必要です。コンビニなどで販売されている加工食品のレトルトのハンバーグについては、ハンバーグを作る際、ひき肉同士をまとめるのにつなぎが使われていることが多いです。そこにある程度の量の炭水化物が含まれるケースがあることです。そのつなぎの炭水化物によって血糖値が上がる可能性があるのです。コンビニのハンバーグで検証してみました。
初期値は107mg/dLで、食後血糖値が急上昇し、40分後にピーク。148mg/dLまで血糖値が上昇しました。上昇幅は41mg/dLでした。
内容量を確認すると1食(145g)中に、たんぱく質16 ・8g、脂質12・2g、炭水化物15・6g(糖質14・2g)。つまり、ある程度の量しっかり糖質が入っていると、肉料理といっても、これだけの血糖値上昇が起こってしまうということなのですね。肉料理だからといって、血糖値が上がらないと信じ込むのは禁物。内容成分量を確認して、糖質の少ないものを選ぶことをおすすめします。
結論
・ハンバーグもステーキも、糖質が少なめのものは血糖値上昇を引き起こさない
・つなぎに糖質が使われたハンバーグは例外。内容量を確認しよう