ビッグローブ、地方のDX&デジタル教育推進の新施設 熊本玉名市に誕生...「地方ビジネスを全国に展開する一歩に」
インターネット接続サービスのビッグローブ(東京都品川区)が2025年3月13日、地元企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)や、市民のデジタル教育を推進する新施設「BIGLOBEイノベーションベース」を、熊本県玉名市の高瀬商店街に開設した。
地域のイノベーションを目指す一般社団法人higocolor(ヒゴカラ/熊本県玉名市)が施設を運営する。コワーキングスペースの提供や各種セミナーの開催、起業支援に加え、海外との連携プロジェクトなどを通じて地域内外をつなぐ拠点として展開する方針だ。
横山克也副社長「地域活性化を後押しする思いで」
BIGLOBEイノベーションベースは、もともと生地屋だった2階建ての空き家の1階フロアを改装した約80平方メートルの施設。熊本県立大環境共生学部の学生5人が内装をデザインした。かつて貿易と商業で栄えた高瀬の歴史を体感でき、移動可能な畳スペースやコミュニケーションを促すキッチンなどを融合させた空間となる。
13日午前に行われたお披露目会では、ビッグローブの横山克也副社長や玉名市の藏原隆浩市長、ヒゴカラの上平健太理事代表らが出席。横山氏によれば、24年10月にネットワーク拠点を九州に開設したことが、今回の施設に回線を提供するきっかけだった。
「DXの推進やデータ教育の発展を踏まえた地域活性化を後押しする思いで、今回参画した次第でございます。この九州から地方ビジネスを全国に展開する第一歩として成功させる一助になればと思っております」
ヒゴカラ・上平健太氏「選択肢のある地域を共創し、世界基準の人材が育つ拠点」
ヒゴカラの上平氏は、施設のコンセプトを「選択肢のある地域を共創し、世界基準の人材が育つ拠点」に設定したと話す。全国的に少子高齢化や人口減少が進み、地域の人々が活躍できる場の選択肢が少なくなることが課題だと指摘する。
課題解決に向け、BIGLOBEイノベーションベースでは、多様な選択肢を作ることで、地域を盛り上げる機会の創出を促す。具体的な内容としては、ビッグローブと共催するインターネット教室や、生成AIを活用した画像や動画の制作、地域外の専門家によるセミナーなどを予定。3月28日には、地元の小学生を対象にしたインターネット教室を実施する。
なお、ヒゴカラでは、台湾のスタートアップ誘致などを通じ、海外の高度人材との関係づくりなどに取り組んでおり、BIGLOBEイノベーションベースを地域と海外がつながる拠点としても活用したい考えだ。
内装デザインに携わった熊本県立大の学生は、この取り組みを通じて、「自分自身も玉名市内外の他の若い世代にも関心を持ってもらえるような活動に挑戦していきたい」と感じたと話す。
藏原市長は、「この高瀬商店街に新たな施設が開設されることを嬉しく思う」と思いを述べた。地元企業のDX推進や市民のデジタルリテラシーの充実は重要だとし、「未来の可能性を切り開く場所として活用されることを心から願っている」との期待を示している。
正式なグランドオープンは4月末を予定している。