【鉄輪むし湯】別府市鉄輪温泉街にある石菖の濃い香りに包まれた蒸風呂
今でも多くの人に親しまれている「別府音頭」。昭和9年(1934年)にレコードが発売され、当時花形コンビと言われた西条八十(やそ)と中山晋平が作詞・作曲を手掛けたこの新民謡は別府の発展とともに有名になりました。
今回は、別府音頭の中でも「一夜千両のお湯が湧く」と歌われる別府温泉・鉄輪温泉街にある『鉄輪むし湯』をご紹介します。
アクセス
『鉄輪むし湯』へは、JR別府駅から鉄輪方面へ車でおよそ15分。
いでゆ坂を通り、熱の湯通りに入ったところにあります。
『鉄輪むし湯』のすぐ近くには「むし湯広場(むし湯ポケットパーク)」があり、鉄輪温泉の開湯の祖である一遍上人をモデルにした「一遍湯かけ上人の像」があります。
自分の体に不調がある部分、治したい部分があれば、上人像の同じ箇所に湯をかけて治癒を願ってみてはいかがでしょうか。
『鉄輪むし湯』には、駐車場はありません。
『鉄輪むし湯』を利用した方は、「熱の湯前駐車場」及び「鉄輪温泉地区駐車場」のコインパーキングが2時間無料になりますので、鉄輪むし湯の受付までお申し出ください。
「熱の湯前駐車場」は、『鉄輪むし湯』を通りすぎ熱の湯通りを100mほど進んだ場所にあります。
12台駐車でき、うち身障者等用駐車場が1台整備されています。
「鉄輪温泉地区駐車場」は、いでゆ坂をさらに下に200mほど進み左折した場所にあります。こちらには19台駐車できます。
歴史
『鉄輪むし湯』は、鎌倉時代の建治2年(1276年)に時宗開祖・一遍上人(いっぺんしょうにん)によって創設したと言われており、今でもその伝説が語り継がれています。
明治29年(1896年)に出版された南豊温泉記には、 「建治二年の春、時宗開祖の一遍上人が紀州熊野大神の勅を受け、念仏をしながら諸国を遊行。同二年の秋鉄輪の地に到着。鉄輪地獄を埋めてこれを温泉とした。しかし、なかなか地獄はおさまらなかったので、三問四方のところに浄土三部経、法華経などの一字一石を埋め、これを蒸湯として衆生保養の安楽土と変らせた。」という記述があります。
「一遍湯かけ上人の像」があるむし湯広場には、「旧鉄輪むし湯跡」もありますので是非ご覧ください。
無料の「足蒸し」
『鉄輪むし湯』の入り口には、足蒸しができる建物があります。
「足蒸し」の営業時間は7時30分から19時まで。
無料で利用することができます。
利用する際は、膝まで素足になり、足元にある蓋をあけ中に足を入れます。
木枠を膝の上に被せタオルで隙間を塞いだら、10分から15分足蒸しを楽しみましょう。
タオルがない場合は、『鉄輪むし湯』内でタオルの購入ができます。
「足蒸し」には、筋肉若しくは関節の慢性的な痛みや運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害などを改善してくれる効果があるとされています。
受付と料金について
『鉄輪むし湯』の暖簾をくぐると右に券売機があります。こちらで入浴券を購入し、受付の方に渡しましょう。
『鉄輪むし湯』は、中学生以上が入浴可能で、一人700円です。
むし湯に入る際必要になる浴衣も220円で貸し出していますが、Tシャツと短パンを持参しても良いそうです。
その他にも、むし湯オリジナルTシャツやタオルの購入ができますので、お見逃しなく。
受付は入り口左です。地獄蒸しができる湯治宿で有名な大黒屋の「地獄蒸し玉子」も販売されていますので、お風呂上がりにもチェックしてみてくださいね。
受け付け奥には、鉄輪温泉の開湯の祖一遍上人の木像があります。
むし湯の利用方法
券売機で購入した券を受付に渡し、まずは男湯と女湯に分かれた脱衣所へ向かいます。
脱衣所には、コインロッカーが設置されています。
①体を洗い浴衣に着替える
浴室で体を軽く洗い、全身の水気を拭き取り浴衣に着替えましょう。
別府市HP「鉄輪むし湯の入り方」によると、お化粧をされている方は落としてむし湯に挑む方が気持ち良いということです。
②タイマーを受け取る
スタッフの方からタイマーを受け取ったら8分から10分にセットし、タオルを持って1メートル四方の木戸を開けむし湯に入ります。
③むし湯を楽しむ
中は8畳ほどの石室になっています。
『鉄輪むし湯』の特徴は、石菖(せきしょう)というショウブ科ショウブ属に属する多年生植物で、清流沿いにしか群生しない薬草を使用している点です。
岩場に生えショウブに似ていることからその名前がついたという石菖が温泉で熱せられた床の上に敷き詰められているので、そこにタオルを敷き石を枕にして寝転がりましょう。
この時、大変熱くなっている石の枕にもタオルをかけるのをお忘れなく。
室温は70度だということで、石菖の濃い香りとすっかり汗をかいてしまうような熱気が漂っています。
石菖の良い香り、実は施設内に入る前からその蒸気と溶け合った芳しい香りが辺りに漂っていました。
「むし湯広場」には詩人・野口雨情がむし湯に入り残した歌碑もあり、肌に移るほどの香りが楽しめることがわかります。
④体についた石菖を払い温泉へ
入り口横のゴザの上で体についた石菖を払い、ゆっくり温泉に浸かりましょう。
泉質は、保温効果がよく湯冷めしにくい「ナトリウム−塩化物泉(塩化物泉)」。
神経痛や冷え性などの症状に効果があります。
⑤ロビーでゆっくり
温泉から出たら、ロビーでゆっくり水分補給などをしてくつろぎましょう。
マッサージ機もあります。
『鉄輪むし湯』の歴史などに関する資料も揃っています。
みなさんも、別府温泉の中でも一際賑わいを見せる鉄輪温泉街で、石菖の香りにつつまれてみてはいかがでしょうか。