学生×市職員 ゲームで働きがいを体験 公務員の離職に歯止めを
ボードゲームを活用して公務員の魅力を体験--。志望者の減少や若年層の早期離職などで公務員の人手不足の課題が深刻化する中、その仕事の魅力や働きがいをリアルに知ってもらおうと、新たな試みが2月11日、相模原市内であった。市職員と公務員志望の学生がゲーム形式で体験学習に挑戦した。
「市職員の離職が多く、1年間で100人が普通退職するという事態が昨今続いている。事業や事務の継承が危うくなっている。一つの要因としてミスマッチがあるのでは」と話すのは、市職員であり、今回の体験学習会を主催した相模原地方自治研究センターの武田秀雄理事長。
相模原市職員を志望する学生と現職員に公務員の魅力とキャリア形成を具体的に考えてもらおうと企画したという。公務員を志望する学校法人大原学園(町田校)の学生12人と相模原市の職員12人が参加した。
今回取り入れたのは株式会社BeOne(島根県松江市)と島根大学、全日本自治団体労働組合との協働で考案された対話型ボードゲーム「公務員ステップ」。元松江市職員で同社の代表取締役、丹羽野真也さんが講師として司会進行を務め、参加者がゲームに挑戦した。
ゲームのルールは、学生と職員のペアとなり、サイコロを振って各コマのイベントを消化しながら獲得した協力ポイントを競っていくもの。イベントには人事異動やクレーム対応などもあり、学生と公務員が話し合ったり、学生が知りたい情報を公務員が答えたりしながら、「対話」を通じて公務員のリアルな仕事を体験した。
同学園1年の長谷川小陽さんは「仕事内容が漠然としてわからないことも多かったが、(ゲームを通して)大枠として市のやることの輪郭が具体的にわかり、興味が持てた。市職員を含め、目指している仕事について調べて自分に合っているかを考えたい」と話した。
中央区役所地域振興課の前美砂子さんは「学生はやりたいことがいっぱいあっていい。そういうのが後々やりがいにつながるのかもしれない。やりたいことを持つことが大事だと思う」と話した。
武田理事長は「今回はリアルな公務員の仕事を理解してもらうことが趣旨。参加した学生からはいい意味でも悪い意味でも知れてよかったという意見があり、開催してよかった。今回はセンターが試行的に行ったが、できれば市の取組として広がるといい」と話している。