イカダからヤエン釣りとエギングでアオリイカを狙う【三重】両釣法合わせて8匹をキャッチ
アオリイカといえば堤防からのエギングやヤエン、船ではティップランやボートエギングなどさまざまな場所と釣り方で狙える秋の大人気ターゲットだ。秋になると、春~初夏に生まれた新子が少しずつ大きくなり、数も型も狙えるという一年で最も熱いシーズン。そこで今回は三重県・南伊勢町迫間浦にある宝成渡船でイカダに渡り、ヤエンとエギングの二刀流でアオリイカを狙ってきた様子をレポートしたい。
エギングの釣り方
基本的な釣り方はエギをキャストしたら、ボトムに着底させてから数回シャクってステイさせる。再度着底したらまたシャクリを入れてステイ。この動作を繰り返していく。エギがボトム付近でアクションとステイを繰り返して、アオリイカの興味を誘うようなイメージで動かすのが大切だ。
シャクってステイしているタイミングでアタリが出ることが多く、手元に衝撃が伝わってくるようなアタリもあれば、ラインが緩んだり横に不自然に動いたりと、ラインにしかアタリが出ない場合も少なくない。そのためシャクった後のステイのタイミングでは、ラインとロッドを一直線にして張らず緩めずの状態を作っておく。
その際ラインの動きに集中して、不自然な動きが出たら即アワせることができるように準備しておこう。
足元でのヒットも珍しくないので、最後まで気を抜かないように集中したい。イカダとなると深場を狙うケースも出てくるので、フォールスピードの速いタイプのエギも合せて用意しておくと良いだろう。
エギングタックル
専用のエギングロッドとPEラインは0.6~0.8号、リーダーは2号1ヒロくらいでOK。リールは2500~3000番クラスで、一日中操作しても疲れにくい軽いものを選ぼう。エギのサイズは、2.5~3号くらいが秋のエギングにはちょうど良い。
エギングではドラグのセッティングが大切で、エギをシャクったときにドラグが軽く出る程度に調整しておく。不意に強いアタリが出たときや、大物のファーストランでもドラグの調整ができていればこれをかわすことができる。
ヤエンの釣り方
ヤエン釣りとは、生きアジをエサにした仕掛けを投げ入れて、アオリイカがアジを食べている間に、ヤエンと呼ばれる掛けバリで引っ掛ける釣り方だ。ラインの先にチヌバリ3号くらいのサイズのハリを結んでおき、そのハリをエサとなるアジのゼイゴにセットする。キャストした後はアジの動きを妨げない程度にラインを張り、ドラグをズルズルに緩めてアオリイカのアタリを待つ。
アオリイカがアジを捕らえると、エサ場まで引っ張って持っていった後に食べ始める。アオリイカはエサを食べ始めると、夢中になって少々のことではアジを離そうとしなくなる。
そのタイミングを見計らって、ラインが45度くらいになるまでリールを巻いて引き寄せたら、ヤエンをラインにセットして、滑り台の要領でヤエンをアオリイカまで送り届ける。アオリイカまでヤエンが届いたところでサオ先を下げてからサオを上げると、ヤエンが跳ね上がってアオリイカに掛けバリが掛かるという仕組みだ。
ヤエンタックル
ヤエン専用ザオや磯ザオ1.5~2号くらいのものが扱いやすい。ラインはナイロンやフロロカーボン2号前後が標準となる。ラインにヤエンをセットして滑らせていかなければならず、ヒットからヤエン投入のタイミングを待つという釣り方のためPEラインではなく、ナイロンやフロロカーボンのモノフィラ系ラインをチョイスしよう。
釣れてくるアオリイカがコロッケ~トンカツサイズくらいまでなら、ヤエンのサイズはS。それ以上が出るようならMで良いだろう。
最後にリールだが、リアドラグ式のスピニングリールで2500~3000番程度の大きさのものを選ぼう。ヤエンの釣りでは、アジを抱いて引っ張っていくときに違和感を与えないように、ドラグをフリーにしておく必要がある。通常のリールでも釣れないことはないが、ドラグフリーとロックをワンタッチで切り替えられるリアドラグ式が圧倒的に使いやすい。
実釣開始
午前6時前にイカダに乗り込みいざ実釣開始。まずは仕掛けを入れたままで待てるヤエンから開始してみる。生きアジを投入しから道具を整えていると、いきなりジジーッとドラグの音が鳴る。すぐにアタリが出るとは思いもせず整理を中断。サオを手に持ってラインの緩みを取り、少し待っているとアオリイカの動きが止まった。
頃合いを見てヤエンを投入してからサオを操作していると、ヤエンにびっくりしてしまったのかアジを離してしまった。この辺りの駆け引きがヤエンの面白いところではあるが、いきなりのチャンスを逃してしまう。
すぐに仕掛けを入れ直して次のアタリを待つ。その間にエギングの準備をして、二刀流でアオリイカを狙っていく。
ヤエンでアオリイカを連打
天気は良かったが、風が強くてエギングには少々難しい状況。やりにくいなーと感じつつ、ヤエンのサオから伸びるラインを見ると、明らかに不自然な緩みが見える。ラインスラックを取ってサオ先で聞いてみると、アオリイカがついている反応だ。どうやらアジを手前に引っ張ってきていたようだ。足元まできていたため、すかさずヤエンを投入してサオを曲げると、待望のアオリイカのファーストラン。しかもなかなかのサイズだ。
無理せずじっくりやり取りを楽しんでネットインしたのは、500g近くはあろうかという良型アオリイカ。ヤエンはこのスリリングなやり取りが最高に楽しい。1匹目から15分後、続いてのアタリもヤエンに出る。しかしこれはドラグ音がジッ!と一瞬鳴って静かになったまま。ある程度引っ張っていってくれるかと思いきや、これではヤエン投入のタイミングがつかめない。
こうなったら、何となくイカがアジにかじりついている様子をイメージをしながらヤエンを落としていくしかない。ヤエンを入れてからふわっとサオを持ち上げるが空振り。ヤエンをさらに送り込んでもう一度アワせるとヒットだ。すぐに水面に浮いてきて、水面でブシューブシューとスミを吐いて怒っている。小型だったのでゆっくり引き寄せてこちらもネットイン。活性が高いタイミングでヤエンで連発だ。
エギングでもヒット
さらにエギングでもヒットが続く。ボトムからエギをシャクり上げてステイさせた途端、トンッとサオ先を引っ張る分かりやすいアタリが出た。とっさに体が反応してサオを曲げると、アオリイカ特有のジェット噴射。秋らしい元気なアオリイカに笑みがこぼれる。
しっかり掛かっていたのを確認し、そっと抜き上げて御用だ。ヒットエギはヤマシタのエギ王LIVEの3号、レッドグレープだった。やはり活性が高いのか、手元にまで伝わってくる強いアタリと、アオリイカのジェット噴射がめちゃくちゃ気持ちいい。
さらにエギングで追加した私は、アジが流されてしまっていたヤエンのサオをチェック。するとあれ、イカが乗ってる?
1匹目と同様のパターンで、アオリイカがアジを手前に引っ張ってきているらしい。ヤエンを落としてテンションをぐーっとかけると、よし乗った。しかし想像以上に掛かりが浅かったのか、水面に出た瞬間にフッと外れてしまった。惜しい。
ヤエンは食い逃げ多発
ここからヤエンはなかなか難しい展開となってしまう。この後も何度かアオリイカのアタリがあるのだが、ヤエンを送り込んでもキャッチできない。間違いなくイカがアジを食っており、頭の一部がかじられているケースも多々あった。
そのおかげでアジを消費してしまい、サビキでアジを狙ってみるが回遊がないのか、アジの追加ができず万事休す。そこでサビキは諦めて、残ったアジでヤエンを頑張りつつ、エギングで狙うことを決断した。
少し時間が空いて、今度はエギングに反応がある。ボトムからシャクり上げたところで触りがあったものの乗らず。エギに興味は示しているはずと、再度ボトムからアクションを入れて長めにステイを取っていると、ラインに違和感が出た。ぎゅっと引っ張るようにアワせると、生命反応が伝わってくる。
リールを巻いてきてもさほど抵抗を見せず、すんなり寄ってきたのはコロッケサイズのアオリイカだった。やはりヤエンで待っている間にエギングができると、取りこぼしが少ないかもしれない。
最終釣果は8匹
エギングでヒットさせた直後にヤエンタックルからドラグ音がする。何度かラインを出して持っていった後、動きが止まって静かになった。よしここだ、とヤエンをセットして投入。水中に滑り込んでいくヤエンを見送ってから、ヤエンを跳ね上げるようにサオを操作するとヒット。
教科書通りの釣れ方で浮かれていたのが一転、水面に出てきたアオリイカを見て青ざめる。触腕1本にかろうじて掛けバリが掛かっているだけだ。これを見た途端やり取りが慎重になる(笑)。バレないようにそーっとそーっとネットに誘導して取り込んだ。
ここで用意したアジが弾丸切れ。その後はエギングのみに集中。エギングでもポツポツとアオリイカを追加していき、最終的にはヤエンで3匹、エギングで5匹と合計8匹のアオリイカを手にすることができた。
イカダなら二刀流も可能
アオリイカのイカダ釣行はいかがだっただろうか。ゆらゆらと海の上で揺られながら、気ままに釣りを楽しめるのは最高にぜいたくな時間だと思う。1人で釣りに向き合うも良し、仲間同士でイカダの上でワイワイやりながら釣りを楽しむも良し、楽しみ方の幅が非常に広い釣りだ。またイカダであれば乗り合いでない限り、全方位が自分のポイントとなる。エギングやヤエン、またウキ釣りなどいろいろな釣り方を楽しんでいい。
周囲を気にせずいろいろな釣り方でアオリイカを狙えるイカダ。釣り方に限らず、アオリイカが狙えるハイシーズンを迎えているので、ぜひとも足を運んでみてほしい。
<週刊つりニュース中部版APC・戸松慶輔/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2024年10月25日号に掲載された記事を再編集したものになります。