一つでも心当たりがあるなら今すぐ見直したい! 職場の「会議の4悪」と「残念な7つの会議」とは
みなさんの会社では、働き方改革に向けて、さまざまな業務効率化に取り組んでいることでしょう。日本企業の長時間労働の一因として、「3大ムダ」があるといわれています。3大ムダとは、「会議」「資料作り」「メール」です。3大ムダのうち、メールや資料作りは、自分なりに工夫すれば時短できますが、悩ましいのが会議です。会議はたった一人の力では変えられません。筆者がコンサルをしている会社の社員からは「うちの会社の会議って長いんです……」と悩みを打ち明けられることも。そこで本連載では、生産性の高い会議にする方法をお伝えします。自社では気付きにくいこともあると思いますので、会議をより充実させるための一助にしてください。
計画と準備で会議の成否は決まる
会議とは、人が一堂に会して議論をすることです。社内会議では社員同士が集まりますが、人は十人十色ですから価値観や考え方が違って当たり前。ダイバーシティの言葉にある通り、多様な従業員がいるからこそ、多様な価値観や発想が生まれます。
つまり、会議は互いの知や経験が結集する、かけがえのない場です。ビジネスでは正解のない議題も多くありますが、一人で考えるよりも、みんなで意見を出し合って結論を導き出すのは価値の高い仕事です。それなのに、どうして会議が3大ムダに入ってしまうのでしょうか。時間をかけすぎずに効果がある会議を開くには、どうしたらいいのでしょうか。一緒に考えていきましょう。
一般的に会議を開くときは、参加者に時間と場所、議題を知らせます。「いつ」「どこで」「何を」話し合うのかは、必要最低限の情報です。会議の時間は、開始時間とともに終了時間もきちんと決め、守りましょう。目安は最大60分とし、延長できないように会議室は60分しか予約しないのがコツです。
また、議題とともに、参加者がやるべきことを明確にするとよいでしょう。事前に資料を送って読んでおいてもらったり、宿題を出したりするのも◎。「各自の考えを1分間で話してもらいます」と知らせておけば、メンバーは準備して会議に臨むので、時間を有効に使えます。なんとなく集まり、雑談して解散という事態を防ぐことができるのです。
会議にもコストがかかっている
会議にはコストがかかっています。業務時間に準備をしたり集まったりするわけですから、人件費はもちろん、光熱費や資料印刷代なども加算されます。コロナ禍以降はオンライン会議も普及したため、会議のために出張や移動する人は減りましたが、できるだけムダは省きたいものです。
では、会議はどれだけの利益を生み出すのかというと、会議自体は利益を生みません。会議で決めたことを実行して初めて利益に結び付くのです。
生産性が高い会議をするためには、役割分担を決めましょう。管理職が議事進行をしてしまうと、部下は指示を受けたり、質問に答えたりして受け身になりやすく、議論が活発にならない可能性があります。
そうならないよう、ファシリテーターを決めましょう。ファシリテーターは、話し合いの交通整理役。いるといないのとでは成果に大きく差がつくので、ファシリテーターはスムーズな議事進行になくてはならない存在です。ほかにタイムキーパーや、ホワイトボードに書く書記、議事録作成係も決めておくと万全です。参加人数にもよりますが、全員になにかしらの役割を与えたり、持ち回りにしたりすると、傍観者がいなくなるので主体的な会議運営が期待できます。
とはいえ、「ファシリテーターっていったい何?」「ファシリテーションは難しいスキルでは?」「議事録なんて書いたことがない」と心配する人もいるでしょう。でも安心してください。どなたでも簡単にできるように、本連載でやり方やヒントを順にお伝えしていきます。
職場で残念な会議をしていない?
あなたの職場の会議を振り返ってみてください。生産性の高い会議をしていますか?
ここで、「会議の4悪」を紹介します。会議の4悪とは、次の(1)~(4)のことです。とはいえ、ちょっと言葉が堅いので、「→」のあとにわかりやすく説明します。
会議の四悪
(1)会して議せず → 発言しない人が参加している
(2)議して決せず → 結局何も決まらない
(3)決して行わず → 決めたことを実行しない
(4)行って責を取らず → 誰も責任を取らない
会議の4悪は、いずれも避けたいものばかりなので、社内の会議室に掲示している企業もあるくらいです。
さらに「残念な7つの会議」を挙げます。
図表:残念な7つの会議
1目的やゴールが不明確な会議
・何のために集まるのか、何をもってゴールにするのかが事前に決まっていない
・参加者が会議で何をすればよいのか、わからない
2結論が出ない会議
・話がまとまらず、意思決定や次の行動につながらない
3準備不足の会議
・議題や資料が事前に共有されない
・参加者が資料を読んだり意見を考えたりしていない
4情報共有で終わる会議
・メールやチャットなどで送れば済む内容なのに、会議中に時間をかけて資料を読み上げている
5タイムマネジメントしない会議
・会議の開始時間のみ決まっていて、終了時間が決まっていない
・終了時間が過ぎているのに延長している
・話の長い人がいても、発言に制限時間を設けていない
・タイムキーパーがいない
6参加者が多すぎる会議
・会議に出なくても業務に支障がない人まで呼んでいる
・人数が多く、発言する機会がない
7発言しにくい雰囲気の会議
・上司が一方的に話して、部下は聞くだけである
・たとえ意見があっても自分からいい出しにくい
・目上の人に反対意見をいうと、あとでにらまれそうなので躊ちゅう躇ちょしてしまう
いかがでしょうか。7つのうち思い当たるものはありましたか? 気付くことが第一歩。 一つでも思い当たることがあれば、会議の見直しをするチャンスです!
自分一人で改善できることもあれば、職場の人と一緒に改善すべきこともあります。次回からは、生産性の高い会議にするためのヒントをお伝えします。