チェス大会でライバルの席に“毒”を塗布 プレーヤーの女「悪口を言われたから」(露)
今月2日にロシアで開催されたチェスの大会で、試合開始前のプレーヤーの女の行動が監視カメラに捉えられた。女は一足早く会場に到着すると、挙動不審な様子で周囲をうかがいながら有毒な化学物質をテーブルに塗っていた。この女は直近の試合でライバルに負けており、犯行動機について「悪口を言われた」と供述している。英ニュースメディア『The Sun』などが伝えた。
ライバルのテーブルに毒を塗る女。その決定的瞬間を捉えた動画がこちら
チェスの試合に用いられるテーブルに有毒な化学物質を塗布したのは、ロシアでプロのチェスプレーヤーとして活躍するアミナ・アバカロワ(Amina Abakarova、40)だ。アミナは今月2日、ロシア南部に位置するダゲスタン共和国の首都マハチカラで行われたチェス選手権の会場に、試合が始まる前に訪れていた。
会場に足を踏み入れるアミナの姿を捉えた監視カメラの映像には、多くのテーブルが並ぶ会場が映っている。かなり早い時間だったのか、ほとんど人はおらず、出入口近くに2人だけが座っていた。この2人の姿を確認しながら入室したアミナは、画面左側にあるテーブルへ向かい、持っていた荷物をテーブルの下に置いた。
その後、周囲を確認するように部屋を見渡したアミナは、1つ手前のテーブルに移動し、置かれていたチェスボードの駒の1つを使い、テーブルの端に何かを塗り付けるような行動をとった。わずか数秒でこの作業を終えたアミナは、再び周囲を見渡してから部屋の出入口へ向かったところで、監視カメラの映像が終わっている。
実はこの時、アミナは長年のライバルであるウマイガナット・オスマノバ選手(Umayganat Osmanova、30)が座る席に、有毒化学物質である水銀を塗っていた。その後、この席に座ったウマイガナット選手は、試合の途中で激しいめまいと吐き気に襲われた。
水銀は直接触れても痛みはないが、皮膚から少しずつ体内に吸収される。すぐに手を洗えば問題はないが、長時間触れていると水銀中毒を起こすことがある。ウマイガナット選手は、体調不良に苦しみながらも試合を続け、最終的に入賞する結果を残した。
のちに、チェス選手権の運営が警察に通報して捜査が行われ、監視カメラの映像によりアミナの犯行が明らかとなった。勾留されたアミナは取り調べで、水銀体温計を壊して、その水銀をテーブルに塗ったことを認めた。今後、アミナが故意による傷害容疑で有罪判決となれば、最長3年の懲役刑が下される可能性があると報じられている。
アミナは犯行動機について「個人的な敵対心によるものだ」と答えており、実際に最近開かれたチェスの大会でウマイガナット選手と対戦して負けていた。この大会後、ウマイガナット選手がアミナやアミナの親族に関する悪口を言い始めたことが、ウマイガナット選手に対して憎悪の念を抱いたきっかけだとアミナは主張した。
ダゲスタン共和国のスポーツ大臣であるサジダ・サジドワ氏(Sazhida Sazhidova)は、「アミナ・アバカロワのような経験豊富な選手が、このような動機を持つことは理解できないですし、皆さんと同様に驚いています。アミナ選手の行為は、その場にいた全員の命を脅かしましたし、最も悲劇的な結果を招いていたかもしれません」とコメントした。
今回のアミナの行為に対して、人々からは「チェス界から追放すべき」「なんて卑怯なことをするんだ」「これは殺人未遂だよ」「数十年は服役すべきだね」などといった声が寄せられている。
画像は『The Sun 「CHECKMATE Watch moment female chess champion POISONS rival by lacing her board with deadly mercury in chilling assassination plot」(Credit: East2West)』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)