3年後に水道料金見直しも? 修学旅行に来てもらえる四日市、市議会で一般質問始まる
三重県の四日市市議会は6月11日、本会議で一般質問が始まり、初日は新風創志会の石川善己さん、山田知美さん、辻裕登さん、早川新平さん、平野貴之さん、谷口周司さんの6人が質問した。市側は、2028(令和10)年度に水道の収益が赤字になる可能性があり、このころには値上げが検討されるかも知れないことを示唆した。
辻さんは、全国で事故も起きている上下水道管の老朽化を取り上げ、市の更新状況を質問した。市側は、水道が総延長2161㎞のうち法定耐用年数を過ぎているのは794㎞(36.7%)、同様に下水管で総延長1366㎞のうち263㎞(19.3%)と説明。材質によって違いはあるため、ただちに危険ではないが、おおむね予定通り布設替えなどが進んでいると答えた。
辻さんは名古屋市などで水道利用料が上がったことに触れ、四日市の状況を質問。市側は、水道は長く値上げをしていないが、収益は減少してきており、最近の物価高騰などもあって維持費もかかるとして、「長寿命化や組織の効率化に努めてはいるが、令和10年度ごろは赤字になる可能性がある」などと、利用料金の値上げにつながる可能性に触れた。
〇修学旅行に補助金を出してもいいのでは
谷口さんは、学習の集大成ともいえる修学旅行が、児童生徒数の減少や物価上昇、観光バスの運転手不足などから、旅行業者から断られるようになっていると指摘、大事な機会をなくさないよう、行政が補助金を出してもいいのではないかと求めた。青森市の修学旅行費補助金制度なども紹介した。
一方、公害を体験し克服した町として、環境問題を考えてもらえる四日市に就学旅行で来てもらってはどうかと提案した。ナガシマスパーランド、鈴鹿サーキット、湯の山温泉など、近隣の自治体と協力することで周遊先としても誘致できないかとした。市側は、修学旅行の行先はコロナ禍前に戻っており、ビジネス客が多い四日市の特色を生かした取り組みの方に現実味があり、修学旅行誘致の検討順位は高くないとした。谷口さんはものづくりやSDGsの観点で誘致に力を入れる北九州市の例を紹介し、「行ってみたいと思える四日市にしていく努力をすべきで、あきらめずに考えてほしい」と求めた。
〇聴覚障害の人に届く防災の情報を
石川さんは、聴覚障害の人が地域の防災訓練に参加していない背景に、そもそも情報が届いていない事情があると指摘、方策を求めた。市は、LEDによる発光でメッセージを示す「アンブルボード」を使用することや、指で文字板を押して意思を確認できるボードを市独自に検討中で、年度内に仕様を決め、市内119の指定避難所に配置したいとの回答をし、聴覚障害に限らず、あらゆる人に情報が届くようにするとした。
山田さんは、中学でのキャリア支援を充実させてほしいとし、名古屋市などが採用しているキャリア形成の専門家「キャリアナビゲーター」を配置してほしいと求めた。不登校の子や、中学を卒業したが進学も就職もしない子にもキャリア支援の情報が提供されるようにしてほしいと求めた。
〇住吉運河の念書、長く未解決
早川さんは、天カ須賀地区の住吉運河に関する念書の存在について取り上げた。昭和28年の台風による水害で、護岸工事が必要とされ、工事進捗のため、土地を県に寄付した住民たちが、その後、埋立に方針が変更されたことで土地が返還されると念書を示したが、県がこの文書を本物と認めていないことで長く未解決になっているという。早川さんは「文書の信ぴょう性を住民側に求めるのは酷である」と市の対応をただした。
平野さんは、水泳の授業が民間スイミング施設に委託され、学校のプールが使われなくなってきたため、跡地をソーラーパネルの設置場所にして学校で電気を使えるようにしてはと提案した。市側は、グラウンドの拡張や駐車場用地の確保など、それぞれの状況に合わせて検討していると回答した。平野さんは「光害」についても取り上げた。