【人気エッセイストが提案】心も体も喜び、満たされる「十五夜」の過ごし方
センスよく暮らしたい、おしゃれだと思われたい、そう考えている方はたくさんいると思います。でも、センスっていったい何で、どうやったら身に付くのでしょう? 『センスいい人がしている80のこと』(扶桑社)は、50種類の仕事、約50か国を旅してきた作家・有川真由美氏が「センスいいな」と思った魅力的な人のこと、感性を磨くためにやってきたことを満載した1冊です。 今回はその中から、センスがいい人がしていた「作法」についてご紹介します。マネしやすいことばかりなので、日々の生活に取り入れてみるのもいいかもしれません。
※本記事は有川真由美著の書籍『センスいい人がしている80のこと』から一部抜粋・編集しました。
十五夜の満月を、お月見すること
クリスマスやハロウィンなど、みんなで楽しむ現代的なイベントには、「みんながやるから」と、多くの人が気合を入れ、わいわいと盛り上がるものです。
古来、美しい自然や四季に恵まれたこの国では、月を愛でたり、太陽に感謝したりする風習を大切にしてきました。そんな、いまにも通じる"暦"の行事を大切にすることこそ、心も体も喜び、満たされることではないかと感じるのです。
なかでも秋の満月を鑑賞する「十五夜」は、特別なイベントでした。平安時代の貴族はお月見をしながら、歌を詠んだり、管弦楽器を楽しんだり。江戸時代には庶民に広がり、無事に稲を収穫できた喜びを分かち合う収穫祭の日になりました。
私が幼かった半世紀前は、地域で盛大に相撲大会が開かれたり、家にススキや芋や栗を飾ったり、大きな月を眺めながら、わいわいと小豆の餡子がのったお団子を食べたり。いまより"月"が身近にあって、十五夜だけでなく、子供ながらに月の満ち欠けを確認し「今日はおぼろ月夜だなぁ」なんて、しみじみしていました。
人間の生体リズムは、潮の満ち引きとともに、月の満ち欠けから影響を受けているといいます。満月を見ると、なぜか高揚した気分になること。出産が満月の日に多いこと。女性の月経や、肌のターンオーバーが28日周期(月は29.5日)なことも、まるで体にプロミングされているような神秘を感じます。
じつは、芋類の収穫を祝う旧暦8月15日の「十五夜」のほかにも、栗や豆の収穫を祝う旧暦9月13日の「十三夜」、田の神様に感謝をする旧暦10月10日の「十日夜」にも、お月見をする習わしがあります。「十五夜」「十三夜」「十日夜」の「三月見」が晴れると、よいことがあるとか。
芋や栗やお団子を食べながら、満月を見上げてみてはいかがでしょう。
何千年も前からそこにあった月と、月を愛してきた人びとに想いを馳せて。