アメリカで内戦勃発!資本主義の是非や報道の必要性を語る『シビル・ウォー アメリカ最後の日』監督インタビュー
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』はアメリカ合衆国の分裂を描く、A24最大の予算を投じた大作映画だ。記者を殺害するような独裁的な大統領にテキサス州とカリフォルニア州が同盟して反旗を翻し、19州もが離脱。激烈な内戦のさなか大統領のインタビューを取るため、ジャーナリストたちがニューヨークからワシントンへ向かう物語だ。
もちろん飛行機なんか飛んでいるわけがない。彼らは道中で拷問を目撃し、狙撃手に狙われ、大量虐殺を隠す男たちに出会う……。つまり観客は、現在のシリアやガザやウクライナのようになったアメリカを目撃することになる。これまでも問題作を手掛けてきたアレックス・ガーランド監督に、着想の原点を聞いた。
「SNSはヘロイン中毒の注射針みたいなもの」
――2022年に『MEN 同じ顔の男たち』でインタビューさせていただいた時、ちょうど『シビル・ウォー』を撮り終わってポスプロに入ったところだとおっしゃっていました。脚本を2020年から書き始められたとのことですが、2021年1月6日の親トランプ派の米議会乱入で内容が変わったところなどはありましたか。
いえ、内容は変えていません。親トランプ派の米議会乱入は、それまでに起こっていたことの証拠になっただけで何も変わりませんでしたし、それまで言われていたことがはっきり目に見える形で示されただけのことでした。議会乱入で見られたすべての問題は、もうすでに存在していたんです。実際、何年もの間、多くの人がこのまま続けばああいうことが起こるだろうと言ってきましたよね。それにトランプが選挙に負けたらああいうことをやりそうだと予想していた人も多かった。だから、あの事件で何も変わらなかったじゃないですか。
共和党の中にいくらかでも彼ら自身や国家に対して誠実な人がいれば何かするべきだったし、アメリカの政治が危険域に入ったと示されるべきだった。あの時点こそ将来こうなるだろうと予測したことが起きた時だったのに、結局彼らは現実を見ないふりをして、倫理を無視して、何も起こっていないふりをしたんです。僕は54歳だから、保守派だったロナルド・レーガン元大統領でさえ極右みたいに見えたころのことを覚えています。もしレーガンだったら、1月6日にどうしただろうか。レーガンが極右でも相当、恐怖を感じたと思います。レーガンはちゃんと選挙で選ばれていたし、いまどきの共和党政治家たちよりずっと誠実でしたけれどね。そう、つまりあれで脚本を変えたところはまったくありません。
――ありがとうございます!
これで大丈夫かな? また会えてよかった。
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は2024年10月4日(金)より全国公開