キス釣り攻略の6つのポイント【時期・釣り場・仕掛け・釣り方・誘い・エサ】を徹底解説
堤防やサーフ等の砂地に棲むシロギス。パールピンクの魚体はまさに「砂浜の女王」で、釣趣も食味もよく人気のターゲットです。このページではそんなキス釣りの時期・釣り場選び・タックル・仕掛け・釣り方・誘いといった攻略のためのポイントを紹介します。また、ちょい投げと遠投投げ釣りの違いなども解説していきます。
キス釣りの概要
その美しい魚体から「砂浜の女王」などとも言われるシロギスは、その呼び名の通り砂地に棲む底生魚です。本州以南の日本全国に広く分布しており、水深50mまでの浅い海に生息しています。そのため、堤防や砂浜からオモリを付けて投げる「投げ釣り」で狙いやすい魚です。
底生魚ではあるものの、海底に張り付いて暮らしているわけではなく、海底よりも少し上の層(10~20cm)を泳いでいるのも特徴。そのためか、意外と遊泳力も高く、良型が掛かったときは引きも楽しめる魚です。
また、普段は群れで過ごしており、1匹釣れると同じポイントで複数尾釣れることも多く、いかに多点掛けを狙って数を伸ばせるか工夫するのも、キスの投げ釣りの楽しみの一つと言えるでしょう。
ちょい投げと投げ釣りの違い
キスの投げ釣りでは近場狙いのライトな装備で行えるちょい投げと、本格的な遠投投げ釣りでタックルがガラリと変わるのが特徴です。この記事では2つの釣り方の違いと釣り方も解説していきます。
キス釣りの場所選び
まずはキスが釣れる場所について解説していきます。どのポイントでも共通する条件としては、底質が砂地や泥であること。その上で、カケアガリや窪みなどの起伏を好むため、地形変化のある釣り場が狙い目になります。根掛かりの多さとの兼ね合いにはなりますが、岩場や海藻などが絡む場所もキスのエサが多く好スポットです。
キス釣りに向く砂浜
砂地に住むキスは砂浜(サーフ)で狙いやすい魚です。中でも狙いたい場所は小さな川が流れ込むポイント。見た目でわかりやすい好ポイントで、流下物をエサとする生物が溜まりやすく、それをエサとするキスも寄りやすいです。
また、周囲より一段高く波が盛り上がる場所は海底に瀬があり、その回りは狙い目となります。
離岸流の払い出しも、沖にエサが流れてきやすく海底に変化ができるためキスが溜まる好条件です。見つけ方は、離岸流が流れている箇所は深くなっているため白波が切れている事が多いです。また、砂浜に砂利や粒子が大きな砂、ゴミなどが溜まっているなどの砂浜の変化でも見つけられます。
それ以外には適度に海藻や沈み根など障害物が存在するポイントも狙ってみましょう。
キス釣りに向く堤防
キスを堤防で狙う場合は、砂浜に隣接する釣り場が定番ポイントとなります。堤防内で狙いたいポイントは船道で深くなっている場所(ミオ筋)が鉄板。
また、沖の堤防や沈み根など障害物回りも好釣果が期待できます。高水温期は沖側ではなく、港内にキスが溜まる場合もあるので広く探ってみましょう。
磯も隠れた好ポイント
磯場の近くにはキスのエサとなる生物も多く、海藻などの居着き場所も多いので実は好ポイントとなります。もちろんゴツゴツとした岩礁帯ではなく、砂浜の海水浴場が隣接するような、投げ釣りが成立する砂地の地磯などが条件となります。
キス釣りの時期について
キスは水温によって深場と浅場を行き来する魚。季節によっても狙うポイントが変わってくるので四季ごとの狙い方を解説します。水温の高い時期なら波打ち際など非常に浅い場所にいることもあり浅場狙い。水温が低い時期は深場狙いを基本にポイントを選んでみましょう。
春は遠投が必要な場面も
キスの適水温はおよそ15度~25度で、15度以下になると水温の安定した深場に落ちます。そのため、春先はまだ深場にいることが多く、サーフでの遠投釣りなどがメインです。徐々に水温が上がるにつれて浅場に移動し、水深の浅い堤防のちょい投げでも釣れるようになります。
夏は産卵期で尺ギスが狙える
6月頃になるとキスが産卵で浅場にやってくるため、近距離でも釣れるようになります。
成長した親のキスが狙えるので、良型ゲットのチャンスといえる季節です。水温の上昇で活発にエサを追う時期でもあり、ピンギスも含めて数釣りを狙えます。
秋は落ちギスシーズン
水温の高い9~10月頃はまだまだ近距離で狙えるものの、水温低下とともに徐々に深場に移動しはじめます。この深場に移動するキスを「落ちギス」と呼び、この時期は越冬を意識してエサの食いも良くなるため好釣果が望めます。晩秋の11月ごろになると深場を狙う必要が出てくるため、遠投するなど狙い方を変える必要があります。
冬はポイント選びが鍵
冬になると完全に深場に落ちるため、深場へ遠投するか、10m以上水深のある入り江や湾内など限られたポイントでしか狙いにくくなります。また、水温が低く活性も落ちるため、誘いもゆっくり行うなど工夫が必要です。テクニカルな釣りにはなるものの、この時期の越冬ギスは脂を蓄えており非常に美味しく、狙う価値は十二分にあります。
キスの釣れる時間帯
キスは昼行性で明るい時間に活発に動きます。特に活発になる朝夕のマヅメ時を絡めて釣行に行くのがオススメです。
夜は釣れない?
基本的に夜は寝ていることが多いキス。ただ、エサを取る個体もいるようで、アタリの数は昼間よりも減るものの夜でも狙うことができます。特に警戒心の高い大型のキスは夜に動くことが多いのか、夜に釣れるキスはサイズが良い傾向があります。夜釣りのコツとしては、あまり仕掛けを動かさず置き釣りスタイルで狙うほうが釣果に繋がることが多いです。
特に暑い夏場は涼みながら狙うことができるので夜釣りも選択肢に入れてみましょう。
キスのちょい投げ釣り仕掛け
夏場など浅瀬までキスが入り込む時期や、水深のある堤防で近距離からも狙えるポイントの場合、ライトに楽しめるちょい投げ釣りがオススメです。
手持ちのルアーロッドなども流用でき、さほど体力やテクニックも必要としないので初心者でも挑戦しやすいスタイルとなります。
ちょい投げのタックル
ロッドは、専用ロッドはないので3~8号程度のオモリを投げられるルアーロッドや汎用竿などを使うことが多いです。
あまり硬くてパワーのあるロッドではなく、アタリを取りやすいロッドのほうが引きも味わえて楽しめます。
リールはスピニングリールで2000~3000番。道糸は「飛距離」と「感度」に優れたPEラインの1号程度が基本。また、天秤への絡み防止のため、PEラインの先にはフロロカンボンライン3号程度のリーダーを1mほど付けるといいでしょう。
ちょい投げに使う天秤
天秤は各メーカーからチョイ投げ専用のものが発売されています。固定式、遊動式、半遊動式、ジェット天秤など様々な種類があり、それぞれにメリット・デメリットがありますが、ロッドを手持ちして行うちょい投げ釣りなら固定式のテンビンがオススメ。アームの形状はL字型が以前まで定番でしたが、ここ最近売られるようになった逆V字型がアタリを取りやすく使いやすいです。
オモリの号数としては3~8号程度が標準で、軽いほど感度が良く、キスの群れを散らさないので釣りやすくなります。潮の流れなどに応じて、手持ちのなかで軽いものを使うといいと思います。
ちょい投げに使う仕掛け
扱いやすさと感度を重視して1m以下の短いものがオススメです。
短い仕掛けではキスがエサを食べたときに違和感を感じて離してしまう可能性がありますが、ちょい投げでは軽い小さなテンビンとオモリを使用するのであまり問題にならないことが多いです。
針はエサを吸い込むように食べるキスの特徴に合わせた、キス専用のものを使用します。主な針の形は流線針、きつね針、袖針などがありますが、小型も含めた数釣りであれば吸い込みやすく針掛かりの良いキツネ針か袖針タイプの4~6号程度の小針。大型を狙う場合は軸が長い流線型の7号以上のハリを使うといいでしょう。
ちょい投げでのキスの釣り方
ちょい投げの一連の動作は以下が基本となります。
(1)仕掛けが狙いのポイントを通過するように、狙ったポイントのやや沖にキャストします。
(2)魚影が濃い場合は置き竿でも釣れるものの、誘いが有効な場面が多いです。
誘い方はリールを巻くか、竿を横に構えて手前に引き、天秤で底を引きずるのが基本。カケアガリなどの狙いのポイントだけで誘い、それ以外は高速で巻いて手返しを早くするやり方も効果的となります。
(3)探ってきてアタリがなければ違うポイントにキャストし広範囲に探ります。
もしアタリがあれば、キスのアタリはブルブルと明確なので、アタったら軽くサオを立てるくらいのアワセを入れ、テンションを緩めないように巻き上げてきます。
また、キスは群れでいるためアタリがあったら直ぐに回収せずに追い食いを待つのも手です。完全に仕掛けを止めていると掛かったキスが暴れて仕掛けが絡まるので、ゆっくりと巻いて追い食いを待ちます。
なお、魚影が薄いポイントや活性が低いときや、良型が掛かって仕掛けが絡む可能性が高そうなときなどは追い食いを待つより一匹ずつ確実にキャッチしていく方がいい場合もあるので、ケースバイケースで対処しましょう。
キスの遠投投げ釣り仕掛け
キスが深場に生息している時期は、投げ釣り専用タックルを使用して遠投して狙う必要が出てきます。ちょい投げで使うタックルと比べて長い竿を使うので、投げるのにコツがいりますが、遠投が利き群れのいるポイントを広範囲に探れることや、長い仕掛けを扱えるので多点掛けを狙いやすいのがメリットです。
長い竿を振り抜いて思いっきり仕掛けを遠投する爽快感も魅力で、より遠投するために投げ方などを工夫し改善していく、スポーツのような楽しさもあります。
投げ釣りのタックル
投げ竿には先調子と胴調子があり、胴調子は遠投性に優れているものの、キスのアタリが伝わりにくく使いこなすのに時間がかかるため上級者向け。最初の一本であればキスのアタリに敏感で、ハリ掛かりが良く扱いやすい先調子をオススメします。
また、ロッドの長さは4m程度が使いやすいです。ロッドのオモリ負荷は、大きいほど反発力があり、キャスト時にパワーが必要になるため、一般的には男性なら25~33号、女性なら20~27号を目安に選ぶといいと思います。リールは大型の投げ釣り専用スピニングリールが使われ、道糸は25mごとに色分けされた専用のPEラインにチカライト(テーパーライン)をつないで使用します。
投げ釣りに使う天秤
遊動式や固定式の逆V字型等はアタリ感度がいい反面食い込みづらく、固定式L字型は感度が劣るが飛距離は出やすくキスの食い込みも良くなります。
そのため広範囲を探る必要がある投げ釣りでは、遊動式・逆V字型でポイントを探り、ポイントを重点的に攻める際はL字型にチェンジといった使い分けも有効になります。
ロッドの感度や使いやすさなどに合わせて、自分にあった天秤と使い方を探し出してみましょう。オモリはロッドの標準負荷が基本ですが、少し軽いオモリを使うと身体への負担も少なく扱いやすいです。
投げ釣りに使う仕掛け
ロッドが長い分、ちょい投げよりも針数が多く長い仕掛けを扱えます。針数は初心者なら4本程度ではじめてみて、慣れてきたらもっと針の数が多い仕掛けを使うといいです。
また、針のタイプの選び方は、ちょい投げと同じ基準でOKです。
遠投投げ釣りの釣り方
(1)仕掛けが狙いのポイントを通過するように、狙ったポイントのやや沖にキャストします。
(2)リールを巻くか、竿を横に構えて手前に引き、天秤で底を引きずり誘います。カケアガリなどの狙いのポイントだけで誘い、それ以外は高速で巻いて手返しを早くするやり方も効果的です。
(3)探ってきてアタリがなければ違うポイントにキャストし広範囲に探ります。
投げる距離などに違いはありますが、基本的にはちょい投げと一連の動作は変わりません。
違いがあるとすれば、回収までに時間がかかることや、針の多い長い仕掛けを扱えるため、より多点掛けを積極的に狙っていくスタイルが基本となります。仕掛けを絡ませないでいかに多点掛けを成功させるかという点も、本格的なタックルを使用したキスの投げ釣りの醍醐味の一つ。アタリがあったらリールをゆっくりと巻いて、仕掛けが緩まないよう意識しながら追い食いを狙ってみましょう。
キス釣りは誘いが重要!
キス釣りでは前述したように仕掛けをサビく、いわゆる「引き釣り」が一般的な誘い方になります。引き釣りではサビくスピードをその日のキスの活性によって変化させるのがコツです。
サビくスピードが遅いほど遊泳力のないフグなどのゲストにエサを取られる確率が高くなりますが、キスの活性が高くないとあまり速いスピードのサビキでは食ってこないこともあります。キスがエサを食べられる適度な速さを見つけましょう。
また、リールの巻き抵抗が変わるカケアガリなどで仕掛けを一旦ステイさせ、キスに食わせのタイミングを取るのも効果的となります。そのほかの誘いでは、天秤を底から持ち上げて落とすリフト&フォールのような誘い方が有効な場合もあります。
キス釣りのエサ
キス釣りではエサを投げ込むので、外れにくいゴカイなどの虫エサが使われることが多いです。また、虫エサは針の軸に沿ってまっすぐに刺せるので、エサを吸い込むように捕食するキスに向いているという理由もあります。
よく使われる虫エサは「イシゴカイ(ジャリメ)」「アオイソメ」「チロリ(東京スナメ)」など。特にイシゴカイは細身で柔らかく吸い込みもいいほか、匂いや動きでもアピールできるので使いやすいです。
アオイソメは発光するので夜釣りに強いほか、やや太いのでじっくり食わせる置き竿の釣りに向きます。チロリは手に入りづらいのが難点ですが状況に応じて絶大な高価を発揮する特エサにもなるので、売っていたら少量でも買っておくのがおすすめです。
エサの付け方
タラシはあまり長くすると、食い逃げが多くなるので1cm前後までの短めが基本。置き竿などでしっかり食わせる場合や、良型主体なら2~3cm程度と長めに取ってアピール力を高めるのもいいでしょう。
代用エサは?
代用エサとしては、パワーイソメなどの人工餌や、イカの短冊、塩辛などが使われます。使う場合は動かないので、引き釣りで動かしてアピールし、イカのように硬いエサは食い込みを考慮して細長くカットして付けましょう。
キスの料理と持ち帰り方
キスは非常に美味しい魚として知られています。天ぷらが定番ですが、塩焼きや干物、良型は刺身にしても美味しいです。
持ち帰る際は、複数尾釣れても手間を取られない氷締めをして持ち帰るのがオススメ。クーラーボックスに海水と氷を入れて、釣れたらすぐにキスをクーラーボックスにいれましょう。
<松村計吾/TSURINEWS編>