「1日1ページの読書」で十分。エンジニア芸人が積み重ねてきた“無理のない”ルーティン
聴くエンジニアtype
ZOZOのデータエンジニアとして活躍する一方、お笑い芸人という別の顔も持ち合わせる奥山喬史さん。データエンジニアとしての専門性を高めるためにも、芸人としてより面白いネタを書くためにも、日々のインプットや自己研鑽が欠かせない。
二足のわらじで活動しながらも「学び」を止めないようにしているという奥山さんの話からは、エンジニアと芸人、双方に共通する成長の積み重ね方があった。
【前回はこちら】「技術者としては目立たなくていい」エンジニア芸人が沼るデータの世界https://type.jp/et/feature/28275/
株式会社ZOZO
データエンジニア・データ基盤エンジニア
奥山喬史さん(@pokoyakazan)
学生時代は情報理工学科にて、自動運転の研究に没頭する。大学院卒業後は新卒入社した企業でデータエンジニアとしてデータ基盤の運用業務に従事。2022年2月より株式会社ZOZOにジョインし、それまで同様データエンジニアとして従事するかたわら、お笑いコンビ「下町モルモット」として活動するほか、「ぽこやかざん」として大喜利や深夜ラジオへのネタ投稿などにも取り組んでいる
無理のないルーティンで「1日1%」の成長を目指す
数々のエンジニアとの対話を通して、「エンジニアの成長の秘訣」に迫ってきた『聴くエンジニアtype』。奥山さんにも同様のテーマをぶつけたところ、成長のためにしている具体的な工夫を教えてくれた。
奥山さん:「手を動かすこと」「本を読むこと」「アウトプット」。この三つは、どんなに時間がなくても毎日続けています。1分でも良いので、とにかく毎日やることを大切にしているんです。
毎日やる、短時間でもいいーー。
口にするのは簡単だが、実際にやるとなるとなかなか難しい……ということは多くの人がイメージできるだろう。それでも奥山さんがこのスタイルを貫いているのは、ZOZOのカルチャーの一つである「日々進歩」が自分の価値観と合致したからだという。
奥山さん:全社集会で、社長が言った「1日1%で良いから成長しよう」という言葉が、僕にはすごく刺さったんです。それからですね、「少しでいいから、毎日こなす」というのをすごく心掛けるようになったのは。
どんなに難しい技術書でも、毎日1ページずつ読み進めればいつかは必ず読み終わります。芸人としての活動も同じで、毎日少しずつネタを書いたりラジオにメールを送ったりし続ければ、いつか実を結ぶと思うんです。
すぐには成果が出ないかもしれないけど、毎日続けることでいつか何かの役に立つことがあるかもしれないと信じています。
未来に向けた地道な努力を積み重ねている奥山さん。しかし、あくまでも「無理なく」続けることを大切にしている。
奥山さん:毎日続けていると、各タスクにかかる時間や効率的なやり方が分かるようになってくるんです。
すると、自分に合った無理のないルーティンができる。無理がないから続けられる。そうやって良い循環を作っていくことが、成長への近道になっています。
最初は真似でいい。盗んだ技術はいつしか自分の血肉に
成長のための心掛けとして、奥山さんがもう一つ挙げたことがある。それが、「強い人を真似る」という方法だ。
奥山さん:新卒で入社した会社で、「よく分からないけど、とにかくすごい」と思える二つ上の先輩がいたんです。エンジニアとして憧れたので、「この人が今の僕と同じ新卒時代にできていたことは、最低限できるようになろう」という目標を立てました。
その先輩が書いたドキュメントをひたすら見たり、おすすめの技術書を聞いて読んだり……。とにかく真似をしながら技術を盗んでいきました。
以降も奥山さんは、他のエンジニアの強みを見つける度に、それを真似ながら力を付けていった。しかも、ただ「手法を真似る」だけではない。奥山さんは、もっと深い部分から模範しているという。
奥山さん:技術的な部分を真似するのではなく、その人の考え方や嗜好性、価値観まで深く掘り下げるんです。どれくらいの頻度でどれくらいの量の勉強をしているかとか、最近読んだ技術書や普段のルーティンとか、時には仕事に関係ないような、好きな漫画を聞くこともあります。
人間性が理解できると、それまで宇宙人に見えていた人が意外と身近に感じられるようになる。すると、共通言語で会話ができるようになって、その人の言っていることが何となく分かるようになってくるんです。
小手先の技術だけでなく、そこに至るまでの過程や全体像まで理解する。このプロセスは、自己成長だけでなくエンジニアとしての仕事の質を高める上でも役立ちそうだ。
※本記事は聴くエンジニアtypeオリジナルPodcast『聴くエンジニアtype』#77、#78をもとに執筆・編集しております
文/赤池沙希 編集/秋元 祐香里(編集部)