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好奇心の男・増井雄一郎(masuidrive)が続けてきた、興味の対象にBETする技術者人生【聴くエンジニアtype】

エンジニアtype

好奇心の男・増井雄一郎(masuidrive)が続けてきた、興味の対象にBETする技術者人生【聴くエンジニアtype】

聴くエンジニアtype

お風呂に浮かべた桶の上にPCを載せ、笑顔でプログラミングに勤しむーーそんなSNSアイコンでおなじみの「風呂グラマー」こと増井 雄一郎さん。エンジニアとしてはもちろんのこと、プロダクトファウンダー、起業家、そして時にはDJと、多彩な才能を発揮してきた増井さんを一言で紹介するならば、「好奇心旺盛な人」だろう。

常に新しい興味の対象を見つけ、少年のように夢中になれる。失われることのない興味の源泉や、それに打ち込むバイタリティーはどこから生まれるのか。

Product Founder & Engineer
増井 雄一郎さん(

@masuidrive

「風呂グラマー」の愛称で呼ばれ、『トレタ』や『ミイル』をはじめとしたB2C、B2Bプロダクトの開発、業界著名人へのインタビューや年30回を超える講演、オープンソースへの関わりなど、外部へ向けた発信を積極的に行なっている。「ムダに動いて、面白い事を見つけて、自分で手を動かして、咀嚼して、他人を巻き込んで、新しい物を楽しんでつくる」を信条に日夜模索中。 日米で計4回の起業をした後、2018年10月に独立し'Product Founder'として広くプロダクトの開発に関わる。 19年7月より株式会社Bloom&Co.に所属。現在は、CTOを務める

【MC】
エムスリー株式会社 VPoE
河合俊典(ばんくし)さん(

@vaaaaanquish

Sansan株式会社、Yahoo! JAPAN、エムスリー株式会社の機械学習エンジニア、チームリーダーの経験を経てCADDiにジョイン。AI LabにてTech Leadとしてチーム立ち上げ、マネジメント、MLOpsやチームの環境整備、プロダクト開発を行う。2023年5月よりエムスリー株式会社3代目VPoEに就任。業務の傍ら、趣味開発チームBolder’sの企画、運営、開発者としての参加や、XGBoostやLightGBMなど機械学習関連OSSのRust wrapperメンテナ等の活動を行っている

純粋な興味×目的意識が爆発的な行動力を生む

飲食店のDX支援サービス『トレタ』や食を起点としたSNS『ミイル』をはじめ、さまざまなB2C、B2Bプロダクトの開発に携わってきた増井さん。そんな増井さんが今ドハマりしているのが「機械学習」だという。

増井さん:近年流行のLLMやOpenAIのAPIを使うわけではなく、音声領域に関する機械学習に興味があるんですよね。自分で学習モデルを作ったり、ローレベルなコードの勉強をしたり……。最近は数学や統計の勉強もしています。

しっかり数学を勉強せずとも人生やっていけるかなと思っていたのですが、やっぱり逃げきれないなとここにきて思うようになりました(笑)

これまでとは異なる領域に深く足を踏み入れんとしている最中の増井さん。そのきっかけは意外なところにあった。

増井さん:離れて暮らす祖母の耳が聞こえづらくなっていることを知って老人性難聴について調べてみたところ、原因の一つが「日本語の子音の弱さ」だと知ったんです。

だとしたら、音声認識の技術で音の中から子音だけを抽出して強調できたらいいのでは? と考えているうちに、いつしか機械学習の勉強をするようになっていました。かれこれ2年間は私用な時間のほとんどを機械学習の勉強時間に充てていますね。

興味を持ったら一直線。そのスタンスは昔から変わらないという。

ばんくしさん:機械学習に行きつくまでの流れから、増井さんの「興味を持ってからの行動力」のすさまじさを感じますね。

増井さん:基本的には興味がないことはやらないし、興味があれば分野に関わらず突き詰めてしまうのは昔からなんですよね。本来やらなくちゃいけないことが他にあるかもしれないですけど……。

ばんくしさん:「本当は興味があること」よりも「やるべきこと」を優先する人の方が一般的には多いと思うのですが、増井さんの行動原理には何らかのロジックがあるんですか?

増井さん:「興味があるから」しかないですね。だって、祖母の難聴が改善されても自分のキャリアには何の影響もないですし、補聴器の専門家は他にいますし。ただ調べてみたら面白かっただけです。

結果として機械学習の知識は仕事に活きていますが、狙ったわけではないです。

だがそんな増井さんにも、興味があって手を出したが長く続かなかったものは、少なくないという。それについては「やっぱり『学んだ結果、それを使って何をしたいか』という目的があるものの方が打ち込めますね」と自己分析する。

増井さん:学んだものを使う理由は、別に仕事じゃなくてもいいんです。だからいろいろと勉強していても「仕事のために」とはあまり思わない。仕事が楽しいから結局はつながりやすいけど、自分の中に目的さえあれば、究極的にはエンジニアリングでなくてもいいのかもしれないですね。

興味とキャリアは、必ずしも紐付けなくていい

仕事のために、とは思わない。そう語った増井さんに、ばんくしさんは多くのエンジニアが抱くであろう疑問をぶつけてくれた。

ばんくしさん:興味駆動の人の中には、興味を原動力にさまざまな挑戦ができる一方で、その興味が自分の仕事やキャリアに紐付けられないことに悩んでいるケースもあると思うんです。そういったジレンマはないですか?

増井さん:もちろん紐付けられたら楽だし役にも立つだろうけど、絶対ではないですね。数年後のキャリアよりも、目の前のものに対する興味の方が強いので。

ブレることなく興味駆動を貫いてきた増井さんだが、その一方で過去には「数手先を読んで行動した成功体験」もあるという。

増井さん:まだRuby on Railsが商用で使われていなかったころ、「この1年はRubyの仕事しか受けない」と決めて活動したことがありました。大々的に宣言したおかげでRubyを使う仕事をいただくようになり、たくさんの知見が得られたのは大きな成功体験の一つですね。

一方で、英語は何度チャレンジしても身にならない。英語が身に付けられたら仕事上役に立つことは分かっているんですけどね……。

ばんくしさん:やっぱり興味があるところにベットし続けることが大切ということですね。その結果、今の増井さんがあるんだということがよく分かりました。

増井さんの話からは興味駆動の強さをひしひしと感じるが、デメリットはないのだろうか。次回、増井さんが感じている自分の弱みと、興味に突き動かされながらも着実に成長を続けてこられた理由に迫る。

※本記事は聴くエンジニアtypeオリジナルPodcast『聴くエンジニアtype』#64、#65をもとに執筆・編集しております

文/赤池沙希 編集/秋元 祐香里(編集部)

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